カテゴリー: 経営環境

二女から聞いたドイツと日本の働き方事情~比較の対象とされる両国の文化の違い~

まず、はじめに私も含めて多くの国民が今の政治の姿勢について多くの不満を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

森友学園や加計学園問題での首相の絡んだ問題について、財務省という「最強の省庁」の文書改ざん問題など2017年の流行語大賞になった「忖度」問題(実は私はそれまで私の語彙の中に「忖度」という単語は入っていませんでした。)や「働き方改革法案」や「カジノ関連法案」などについて世論調査では、約7割の人が真相を究明すべきだとか、もっと審議を尽くすべきだという実状でした。にもかかわらず、なぜ拙速な対応をするのか私には理解しがたい問題がうごめいています。

さらに死者・行方不明者が200人を超えるほどの甚大な被害を出した西日本豪雨(平成30年7月豪雨)、気象庁が異例の緊急会見を行った7月5日から、政府が非常災害対策本部を設置する7月8日までの間に約66時間も要しており、政府の対応の遅さが大きな非難を浴びました。

また、その対応が遅れただけでなく、気象庁が緊急会見を行った後の7月5日夜に、自民党議員が国会議員宿舎で開かれた「赤坂自民亭」という懇親会を開催し、安倍首相や小野寺防衛大臣も参加、そのドンチャン騒ぎしている様子を参加した議員たちがSNSにアップし、大きな非難を浴びていました。
同様に、被害が拡大している7月7日、安倍首相が午前11時に私邸に戻っていたことも非難を浴びていました。

「被災地のことを話し合うべきだ」という野党の反対を押し切り、この「働き方関連法案」も「カジノ法案」も強行したことは、政府が災害対応をおざなりにしているのではないかという疑念を強く抱かせる結果となりました。(スマダン・ホームページ参照)

人命救助より、様々な問題点が指摘されている両法案が審議不足な上にさらに強行採決をする必要があったのでしょうか。疑問を呈さざるを得ません。

「働き方関連法」の問題点がどこにあるのかをつぶさに論じませんが、日本は同じような「勤勉な性格」だとか、同じ第二次世界大戦の敗戦国だということで比較されることが多いですが、以前このブログでも書きましたが、私の二女は中学校の英語の教諭をわずか2年で辞めて、ドイツの国際人道団体の職員として働いて5年になります。

ところが、二女は今年になって体調を壊しその原因がかかりつけ医の診断で貧血であることがわかり、食生活を改善するなどの努力をしましたが一向に改善しませんでした。主治医は、もしかして他の何かの病気が「わるさ」をしているかもしれないと婦人科の受診を勧められました。

婦人科の医師はポーランド人で母国のポーランドの病院で働くよりもドイツの病院で働く方がかなり高い給料をもらえるのでその病院で働いているらしいのです。その女医の診断で、女性特有の病気で腹腔鏡を使った手術と3日位の入院の必要があることがわかりました。もちろん、ドイツでは治療費も手術費用も入院費も無料です。二女が働いている職場で、このような場合の対応が日本の研究データと合っているかどうか検証を試みました。

その研究データは、世界の働き方シリーズを特集している「Fujitu FSAS Portl For clood」のホームページを使いました。(一部改変しています。)早速、その中身を見てみましょう。

世界の働き方

世界の働き方“ドイツ”編

 

 

先進国の中でも、最も労働時間が短いと言われているドイツです。OECD(経済協力開機構)が年間平均労働時間を調査したデータ*1を見ると、ドイツは1,363時間、日本は1,713時間とおよそ350時間の労働時間の差がでています。

2016年、ドイツの1日の労働時間はおよそ6.11時間。日本の1日の労働時間はおよそ7.32時間になります。*2

1日約1.21時間の差が出ているにも関わらずGDP(国内総生産)では、一人当たりドイツでは41,902ドル、日本は38,917ドルと2,985ドルもの差が生まれています。また、ドイツ人口の約8,000万人に対して、日本人口は約1.27億人です。

日本はドイツに比べて1.54倍も人口が多いので、データからみて、いかにドイツのGDPが日本を上回っているかが分かります。同じ「物作り大国」を目指すドイツと日本です。なぜ、ここまでの差があるのでしょうか?それにはドイツの徹底された“働き方”があったのです。

 

 

厳格な労働時間の管理

ドイツでは1日10時間を越える労働は法律で禁止されています。
仮に、1日10時間以上の労働を従業員に強いた場合や、週末に働かされたことが発覚してしまうと経営者のポケットマネーで最高1,500ユーロ(日本円で225万円)の罰金を支払うことになってしまいます。また、最悪なパターンだと経営者が最高で1年間の禁固刑を

厳格な労働時間の管理

ドイツでは1日10時間を越える労働は法律で禁止されています。仮に、1日10時間以上の労働を従業員に強いた場合や、週末に働かされたことが発覚してしまうと経営者のポケットマネーで最高1,500ユーロ(日本円で225万円)の罰金を支払うことになってしまいます。また、最悪なパターンだと経営者が最高で1年間の禁固刑を科せられる場合もあります。

1日の労働は10時間まで許されますが、6ヶ月間の平均労働時間は1日8時間以下にしなければなりません。このため、管理職は繁忙期でも社員が10時間を越えて仕事をしないように細心の注意をはらいます。

それならば、“労働が1日10時間まで可能なのに、6ヶ月間平均で8時間以下にするのは無理なのではないか?”という疑問がでてくるかと思います。それが可能なのです。

効率的な労働時間貯蓄制度

ドイツでは「労働時間貯蓄制度」というものがあり、2時間残業した場合、別の日に2時間早く帰ることができます。残業した分の時間を貯蓄し、必要な時に早く帰ることができるので6ヶ月間で平均8時間以上の労働時間を上回ることがないのです。

このような時間にしばられない働き方の柔軟性が長時間労働につながらず、なおかつGDPが上がるキーポイントではないのでしょうか。

充実した有給休暇

ドイツの企業は週5日勤務であれば、年間に最低24日間の有給休暇を取れるよう法律で義務付けられています。(大半の企業は有給休暇を30日間設けています。)休暇を取るのは当然の権利だという考えを持っており、有給を消化するのは普通です。有給で1ヶ月程度、旅行に行くことも珍しい事ではありません。

プロジェクトごとに進歩状況やタスクが共有されているので、担当者が長期で会社を空けていてもプロジェクトに影響することはありませんし、長期で休暇を取ることは当然の権利なので、取引先の担当が休暇で不在でも怒りはしません。数週間待つことになっても、“休暇だから仕方がない”と考えます。

何故なら、そのクライアントと、その先のクライアントもみんな同じ考え方だからです。

また有給休暇と病気休暇は厳密に区別されており、社員が病気や怪我で働けなくなった場合、有給休暇のほかに6週間まで病休をとることができます。もちろん診断書は必要ですが、6週間は給与の保証があります。そのため、病気で有給がなくなった・・・ということはありません。
そもそも有給休暇は「健康な状態でとるもの」という考え方なので、病欠を有給にあてることはありません。

 


出展:Expedia URL:https://welove.expedia.co.jp/press/

 

日本の有休消化率は、2012年のドイツと比較してあまり取得されておりませんが、「有給休暇国際比較調査2017年」では、取得率が少しづつ改善されつつあります。しかし、未だ有給取得率50%の日本は、世界各国と比較すると最下位となっているのが現状です。

日本のこれから

ドイツの高い生産性の鍵は、いかに効率よく仕事をするか。「短時間労働で仕事を終わらせるか」ではないでしょうか。

また、従業員ごとのニーズに合わせた働き方を尊重していることも結果的に生産性向上につながっているように見受けられます。

日本がこれから「働き方改革」を推進していく上で避けて通れない課題は「労働生産性の向上」です。

労働時間の短縮・残業削減がキーワードになっている今、無駄な時間をいかに削れるかが重要なポイントだと思います。

ドイツと全く同じ働き方にするのは難しいと思いますが、良い部分は積極的にどんどん取り入れ、“仕事の量”を重視する日本から、“仕事の質”を重視する日本に。少しずつ変えていくことが、働き方改革の一歩だと思います。

企業側が従業員の“仕事の質”を向上させる環境を整えていくことで、企業全体の生産性も向上させていく。働き方改革が叫ばれている今、企業側にも努力が求められているのではないでしょうか。

*1 グローバルノート 世界の労働時間 国別ランキング2016

*2 有給休暇国際比較調査2016 (日本の有休消化率は平均50%消費のため、データブック国際労働比較の有休日数を半分にして計算しています。)

 

さてこの分析で不十分なのは、ドイツの場合には有給休暇の次年度の持ち越しがありません。また、祝日が州によって違いますが多くの州が9日だそうです。その祝日には振替がないそうです。その祝日もキリスト教の祭日にちなむもので、振替休日はないそうです。

反対に日本の場合15日の祝日があり、振替休日もあります。最近では2016年から「山の日」が設けられました。これで、お盆の長期休暇(公務員にはありませんが、民間の多くの企業は有給休暇とは別に休暇にしているところがほとんどです。)と連動できる会社が増えてきました。政府は「山の日」は12日にしたかったようですが、世界一の航空事故といわれている日航機墜落事故の遺族に配慮した経過があるようです。

ここで、二女から聞いた話ですが、100人程度の職場なのでうまく調整がとれず、前年の有給取得が全部できなくなり、トップが不利益を被ったので、今年は全部取得するように「キツく」注意されたと言っておりました。そこで、11月に日本びいきの友人と大相撲九州場所と東京見学をメインに帰国する計画のようです。

また、お子さんがいる家庭を最優先に夏休みと併せてまるまる30日の有休取得をする慣習のようです。休暇は、長期で取ることが当たり前のようになっているので、日本のように有給休暇を取ることに対する罪悪感はまるでないようです。

日本の場合には、正月休みやお盆休み、ゴールデンウィークなどのような祭日等で多くの国民が大移動して交通機関の大渋滞や特に航空機に見られる高い料金、それからレジャー施設の大混雑が問題になっていますが、ドイツの場合にはまるでないようです。結局、ドイツの労働者全員が休暇をシェアすることがモチベーションを高くしているのではないかと思います。

しかし、こなさなければならない仕事はたくさんあるので、就業時間中には無駄話は基本的に無いし、昼休みでもサンドイッチを片手にパソコンの前にいることもしばしばだそうです。特に生産現場などでは、午後4時(就業時間は午前8時から午後4時までが標準だそうです。)になったら帰宅することが当たり前のようになっているそうです。私もドイツに行ったとき、二女の住んでいるアパートは30万人の街の一番北の駅付近にありますが午後4時過ぎの電車に乗っても9両編成の列車なのにほぼ満員状態です。無人駅で改札口もありません。その駅だけではなく、大きな駅(例えば州都のディセルドルフ中央駅)でも改札口はあるのですが、日本のように改札券を通す必要もありません。要するに駅員がほとんどいないのです。

ただし、時々列車で改札をしていて、乗車券を持っていなければ、目の玉が飛び出るような罰金を取られるようで、無賃乗車をしている人はいないようです。少し不便と思うことは基本的に日本のような正確な時刻に運行はされていないことと、大幅に遅れる場合も車内放送もないことです。

また、電車のトイレは無料ですが、駅の中のトイレは10€(約120円くらいです)払わなければなりません。ベルリン中央駅では、2€かかりますが、そのうち1€はデポジット(預かり保証金)に似たような制度で、そこで発行されるチケットを加盟店に渡せば1€値引きしてくれます。

電車は確か9両のうち3両は2階建で、徒歩で降りてそのまま自宅に帰る人、自転車で帰る人、そのために自転車用の車両と自転車道が整備されています。片道3車線のアウトバーン(アウトは、英語ではオートを意味し、日本語に直訳すると「自動車が走る道」となります。

ヒットラーなどが飛行場に使おうと整備されたもので、無料です。速度制限がないと聞きましたが、正確には二女曰く、法定速度はないが、推奨速度は130㎞で坂道等は100㎞のところもあるようです。)を使わない人のために駅前に無料の駐車場がありますが、良くこれだけ詰められるのかという止め方をしています。

ちなみに、自宅には駐車場はなく路上駐車です。二女曰く、この駅の近くは割と高級住宅街だということですが、高級車のベンツやBMWはなく、フォルクスワーゲン(日本語に直訳すれば国民車)やオペル、マツダを初めとする日本車が多いです。洗車をする慣習もなく、バンパーなどのへこみも気にしていません。ただし、タクシーや二両連結のバスはベンツ製です。

これも文化の問題かもしれませんが、日本の場合には5分前にはアポイント先の場所に行くことがマナーとされていますが、ドイツの場合には5分遅れて行くことがマナーだそうです。二女に理由を聞くと、約束の時間までにここまでは仕事をこなしていこうという慣習があるとのことです。これも生産性を上げるには合理的な考え方です。

買い物は、コンビニはありません。スーパーも夜8時には閉まります。ガソリンスタンドや空港などの免税店などの例外を除き日曜日には営業はできない法律になっています。法律で決められた営業しても良い日時以外で営業すれば罰金を取られるそうです。

付加価値税(VAT日本で言えば消費税)は、標準税率は19%で軽減税率は7%ですが、日本で予定されている軽減税率8%のような食料品と新聞代のような狭い範囲ではなく、生活必需品と考えられるものはほとんど軽減税率の対象と言ってもいいくらいです。

ホテルの宿泊費も軽減税率なのには驚きました。そもそもドイツで住んでいる人は、レシートでどの商品が7%でどの商品が19%という意識がなく、物価として消費税を考えています。お店の開店時間は9時がほとんどですが、例外的にパン屋さんは5時に開店します。

買い物で驚くのは、包装をするという概念がないことです。日本のような何重にも包装した高級和菓子のような文化はありません。あるところでは、お土産にするのに包装を頼んだら別途料金を請求されました。包装も下手だし、時間もかかり多少いらいらしました。

レジも違いがあり、レジを打つ人は座っています。人に優しいのでしょうか。買い物をしたカートをベルトコンベアーのようなものに置き、仕切りをして他の人の買い物と区別しています。

カートやペットボトルもデポジットになっています。ペットボトルの水もほとんど1.5㍑で統一されています。硬水で炭酸入りが主流です。飲み終わったペットボトルをスーパーにある回収機の中に入れてそこを通過すれば料金がもどってきます。いろいろな意味で合理的にできています。

さて、日本には「病気になるのは自己管理が悪いからだ。」換言すれば、自己責任=自業自得という思考回路があり、突然の病休した穴を埋めるのにオロオロし、病欠してたスタッフを恨んだりします。

しかし、ドイツにはそんな発想がなく「病気になるのは従業員のせいではない。」という風潮だそうです。二女が病気になったときも、休暇中のスタッフが当たり前のように出勤して対応したとのことです。日本の社会保障が大きく転換し、公序、共助自助から、自助、共助、公序になったのと似ています。

病欠の判断は、日本では会社の上司が判断しますが、ドイツでは医師が判断します。病状については、日本では自らが上司に説明することが一般的です。ドイツでは、本人のプライバシーは守られます。

また、日本では後日、有給休暇申請書を提出します。医師の診断書を提出させている会社もあると聞いたことがあります。ドイツでは、医師が書いた「就労不能証明書」を3日以内に提出し、その中に「何日間の療養期間が必要だ。」と書いてあるそうです。その療養期間は、有給休暇とは別に労働者に与えなければならないそうです。

二女の場合には3週間と書いてあったそうで、トップから「3カ所ある保養所のいずれかで静養するか、日本に帰国して静養しなさい。」と言われ帰国を選択しました。

以上書いたように、日本の労働生産性が低く、ドイツのそれがかなり高い理由を二女から聞いたことから書きましたが、キーワードになるのは、労働者に対する「優しさ」や「思いやり」ではないかと思います。

日本の場合は、いかに労働者を安く使うかを最優先として考えているのではないでしょうか。それが、この間の労働法制の改定にも垣間見られます。

日本の労働生産性を上げるためには、中小企業同友会も提唱している「人間尊重の経営」を大企業も含めて、憲法13条に明記してある「個人の尊重」『すべての国民は、個人として尊重される。

生命、自由、及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする』を尊重するような発想の転換が求められると思います。

 

参考に、中小企業家同友会の提唱する人間尊重の経営をそのホームページより紹介します。

人間尊重の経営(にんげんそんちょうのけいえい)

「人間尊重の経営」の考え方の基本となるのも自主・民主・連帯の精神で、それは次の三つの側面から考えることができます。

かけがえのない人生の全面開花を保障する―個人の尊厳(自主) 

人間は一人ひとりが皆違います。同時に、誰もが無限の可能性を持ち、その可能性への挑戦を自主的、主体的に継続できる環境の保障が大切です。社員が働くことを通じて自分の成長を見出し、働きがい、生きがいを実感できる企業こそ社員の自主性が発揮され、個人の尊厳(自主)が尊重される企業といえましょう。

生きること、平等な人間観が民主主義の根幹―生命の尊厳(民主)

人間が生きていくためには、最低限の生活保障が必要です。企業で働くことは、本人及び家族の生活を維持、安定させることが大前提です。企業としては、雇用を守り、賃金を保障する、安心・安全な労働環境を整備することが法的にも義務付けられています。

「人間一人ひとりの生命に軽重はない」といわれますが、これは人類が長い年月をかけて確立した生命の尊厳を守るという人間尊重の価値観であり、そこから平等な人間観が育まれ、民主主義の原点を形成してきたといえるでしょう。

あてにし、あてにされる関係を生み出す―人間の社会性(連帯)

人間は孤立して生きることはできません。人間がより人間らしく生きていくためには、相互に信頼し、「あてにし、あてにされる関係」を尊重することが大切です。このことで、お互いに手を携えあって社会を築いていくという、人間の社会性が高まり、ほんものの連帯をあらゆる組織の中でつくっていくことができます。

企業では、労使間はもとより、職場の仲間と信頼しあい、共に育ちあう関係が育まれることによって、お客様や地域社会からの信頼を高めることができます。

素晴らしい提言ではないかと思います。皆さんは、どう思われますか。

イージス・アショアは必要?~防衛費(軍事費)は、増えるばかり!~

安倍首相は、2015年3月20日の参院予算委員会で、野党から自衛隊と他国の軍との共同訓練について問われた際、「わが軍の透明性を上げていくことにおいて、大きな成果を上げている」と述べ、野党から批判の声が上がりました。

総理の頭の中では、既に日本国憲法9条2項の「陸海空その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを、認めない。」と言う文言が「陸海空軍」ということになっているのでしょう。

恒例のお盆休みの選挙区回りの際、自宅のある下関市で「自民党として憲法改正案を次の国家に提出できるように、取りまとめを加速すべき」旨の発言をしたそうです。同3項に、「自衛隊(軍とは国民の反発があり書けないのでしょう)を明記」することは、朝鮮半島の歴史的な南北・米朝両会談で朝鮮半島の脅威は薄まりつつある中で、その根拠を失ったといえます。

ただ、それを明記することで今でも国家予算の10%を占める防衛(軍事)予算がさらに増えることは確実です。

2018年7月31日の朝日新聞の記事で「陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』の総額が、5千億近くに上ることが明らかになった。トランプ米大統領が安倍晋三首相に求める『バイ・アメリカン【米国製品を買おう】』。最新鋭戦闘機に続く米国の防衛装備調達は米主導が避けられず、価格のさらなる高騰も懸念される。」と報道されました。

また、同新聞の8月10日の記事では「防衛省は2019年度予算の概算要求で、過去最大の5兆4千億円を計上する方針を固めた。18年度当初予算よりも2千億超の増加になる見通し。陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』導入や最新鋭戦闘機F35Aなど米国の高額装備品の購入が全体を押し上げた。」とも報道されました。

米国の2019年度の(18年10月から19年9月)の国防予算が約80兆円になりました。オバマ前大統領の国防費削減の反動で、トランプ米大統領の5つ目の軍隊である宇宙軍の創設、新兵の採用、先端装備への刷新、小型核兵器の開発等々、やりたいことをしようと思えばその不足資金を、バイ・アメリカンや思いやり予算で押しつけてくるでしょう。

防衛省は、7月末に、北朝鮮による弾道ミサイルの可能性が低下したとして航空自衛隊の地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)の撤収をしました。一方は撤収しながら、また一方では報道ごとに金額が増えるイージス・アショアの購入は明らかに矛盾しています。

最近の報道では、6千億円と言われる費用は無駄遣いではないでしょうか?その予算があれば、様々な真に必要な予算に使えます。イージス・アショアの配備計画はやめた方が良いのではないでしょうか。

 

ある方からおもしろい替え歌を教えてもらいましたのでご紹介します。

  無駄遣い音頭    

交響曲:ももたろう

原詩:売れないお絵描家の屋のOKA

アドバイザー:弁の立つ内山新吾

1,無駄遣い 無駄遣い イージス・アショアは 血税の 6000億円 無駄遣い

2,晋三さん 晋三さん アメリカぺこぺこ いいなりで 高い 買い物 ホチみたい

3,やめましょう やめましょう イージス・アショアは やめましょう 平和外交 進めましょう

4,やめましょう やめましょう イージス・アショアは やめましょう 拉致問題も 遠ざかる

5,やめましょう やめましょう 電磁波出して この自然 むつみの里山 こわすのか

6,守れない 守れない イージス・アショアじゃ 守れない 国民 命 守れない

7,無駄遣い 無駄遣 イージス・アショアは 軍事基地 憲法違反の 無駄遣い

注……5番の「むつみ」は、萩市むつみ:合併前は「むつみ村」ここにある自衛隊演習場に造ろうとしちょるんよ。のどかなところで、自然一杯の里山なんよ。夏には「昆虫大国」も開催される里山なんよ。

中小企業憲章と中小企業の日 

2010年6月18日に「中小企業は経済を牽引する力であり、社会の主役である」とうたう「中小企業憲章」が閣議決定されました。その内容を中小企業庁のホームページから検索すると以下のような内容です。

前文では、中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である。常に時代の先駆けとして積極果敢に挑戦を続け、多くの難局に遭っても、これを乗り越えてきた。~中略~現在、世界的な不況、環境・エネルギー制約、少子高齢化などによる停滞に直面している。中小企業がその力と才能を発揮することが、疲弊する地方経済を活気づけ、同時にアジアなどの新興国の成長をも取り込み日本の新しい未来を切り拓く上で不可欠である。

政府が中核となり、国の総力を挙げて、中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ばし、自立する中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、そして、どんな問題も中小企業の立場で考えていく。これにより、中小企業が光り輝き、もって、安定的で活力ある経済と豊かな国民生活が実現されるよう、ここに中小企業憲章を定める。

1.基本理念

中小企業は、経済やくらしを支え、牽引する。創意工夫を凝らし、技術を磨き、雇用の大部分を支え、くらしに潤いを与える。意思決定の素早さや行動力、個性豊かな得意分野や多種多様な可能性を持つ。経営者は、企業家精神に溢れ、自らの才覚で事業を営みながら、家族のみならず従業員を守る責任を果たす。中小企業は、経営者と従業員が一体感を発揮し、一人ひとりの努力が目に見える形で成果に結びつき易い場である。

中小企業は、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たす。小規模企業の多くは家族経営形態を採り、地域社会の安定をもたらす。

このように中小企業は、国家の財産ともいうべき存在である。

一方で、中小企業の多くは、資金や人材などに制約があるため、外からの変化に弱く、不公平な取引を強いられるなど数多くの困難に晒されてきた。この中で、大企業に重きを置く風潮や価値観が形成されてきた。

しかし、金融分野に端を発する国際的な市場経済の混乱は、却って大企業の弱さを露わにし、世界的にもこれまで以上に中小企業への期待が高まっている。国内では、少子高齢化、経済社会の停滞などにより、将来への不安が増している。不安解消の鍵となる医療、福祉、情報通信技術、地球温暖化問題を始めとする環境・エネルギーなどは、市場の成長が期待できる分野でもある。

中小企業の力がこれらの分野で発揮され、豊かな経済、安心できる社会、そして人々の活力をもたらし、日本が世界に先駆けて未来を切り拓くモデルを示す。

難局の克服への展開が求められるこのような時代にこそ、これまで以上に意欲を持って努力と創意工夫を重ねることに高い価値を置かなければならない。中小企業は、その大いなる担い手である。

2.基本原則(項目だけ列挙します)

中小企業政策に取り組むに当たっては、基本理念を踏まえ、以下の原則に依る。

一.経済活力の源泉である中小企業が、その力を思う存分に発揮できるよう支援する 。

二.起業を増やす 。

三.創意工夫で、新しい市場を切り拓く中小企業の挑戦を促す。

四.公正な市場環境を整える。

五.セーフティネットを整備し、中小企業の安心を確保する。

3.行動指針(項目だけ列挙します)

政府は、以下の柱に沿って具体的な取組を進める。

一.中小企業の立場から経営支援を充実・徹底する。

二.人材の育成・確保を支援する。

三.起業・新事業展開のしやすい環境を整える。

四.海外展開を支援する。

五.公正な市場環境を整える。

六.中小企業向けの金融を円滑化する。

七.地域及び社会に貢献できるよう体制を整備する。

八.中小企業への影響を考慮し政策を総合的に進め、政策評価に中小企業の声を生かす。

結び

世界経済は、成長の中心を欧米からアジアなどの新興国に移し、また、情報や金融が短時間のうちに動くという構造的な変化を激しくしている。一方で、我が国では少子高齢化が進む中、これからは、一人ひとりが、力を伸ばし発揮することが、かつてなく重要性を高め、国の死命を制することになる。

したがって、起業、挑戦意欲、創意工夫の積み重ねが一層活発となるような社会への変革なくしては、この国の将来は危うい。変革の担い手としての中小企業への大いなる期待、そして、中小企業が果敢に挑戦できるような経済社会の実現に向けての決意を政府として宣言する。

わが国の中小企業憲章はEUの小企業憲章を参考にしたと聞いています。以下、その要約をDOYU NET(中小企業同友会全国協議会)のホームページから見てみます。

(1)2000年6月にポルトガルで開催されたEU理事会で採択された文書である。

(2)EUでは企業を大企業(従業者数250人以上)、中規模企業(同50~249人)、小企業(同10~49人)、マイクロ企業(同10人未満)に分類している。

(3)この憲章の内容から理解できるように小企業の役割を評価し、それを支援することによって中小企業総体の役割が大きくなることを目指しているのである。

(4)2002年のEU報告書には、「小企業を第一に考えることこそ、EUの企業政策のエッセンスである」(Think small first…)と記述されている。なお、小企業といっても日本における“小規模企業”あるいは“小零細企業”とはその範囲がより大きい規模の方向にずれていることに注意すべきである。

(5)“憲章”の語義として、三つ挙げられている。①契約的性質をもつ国家の根本法に付される名称。例えば13世紀イギリスの大憲章(マグナ・カルタ)。②国家間の文書による合意で、特に多数国間の条約に付される名称。例えば、国際連合憲章。③公的な主体が一定の理想を宣言する重要な文書に付された名称。例えば、1950年の児童憲章。これらの語義からすれば、この小企業憲章は②と③の意味を含むと考えられる。

(6)以上から考えられることは、この小企業憲章は単なる象徴的な存在でなく、確かな現実的な存在であるということである。

ヨーロッパ小企業憲章(翻訳:中小企業家同友会全国協議会)

小企業はヨーロッパ経済の背骨である。小企業は雇用の主要な源泉であり、ビジネス・アイディアを産み育てる大地である。小企業が最優先の政策課題に据えられてはじめて、“新しい経済”の到来を告げようとするヨーロッパの努力は実を結ぶだろう。~中略~小企業は、ヨーロッパにおける社会的・地域的統合はもとより経営革新、雇用創出を推進する存在として認識されなければならない。

それゆえに、小企業経営と企業家精神のための最良の環境が創造される必要がある。

諸原則

上記のことを推進するに当たって、われわれは

1.あたらしい市場のニーズに対応することや雇用を用意することにおいて、小企業がもつダイナミックな諸能力を承認する。

2.社会的かつ地域的発展を促進し、しかも、進取の精神と参加の模範となって行動する小企業の重要性を強調する。

3.企業家精神を、責任のすべての水準における貴重で生産的な生活技能(スキル)として認識する。

4.成功した企業に拍手を贈る。その企業は公正に報いられるだけの価値がある。

5.どのような失敗であれ、それは責任を負うことができる率先と危険覚悟を伴っており、大部分学習機会として考察されなければならないと考える。

6.“新しい経済”においては、知識、貢献、柔軟性などの諸価値を認識する。

EUにおける小企業経営の状況は、企業家精神を奨励し、現行の諸対策を評価し、必要ならば、それらを小企業に役立つように変え、政策立案者に対して小企業経営のニーズに正当な考慮を払うことを確実にする行動によって、改善されることが可能である。この目的のために、われわれは誓約する。

1.ヨーロッパの企業経営がこれから先のさまざまな挑戦に立ち向かえるように、経営革新意欲と企業家精神を高める。

2.企業家の活動の助けになる、規制上・財政上・行政上の枠組みを完成し、企業家の地位を改善する。

3.最も負担の少ない必要条件の基礎の上で、最重要な公共政策の目標と両立する市場へのアクセスを保証する。

4.最良の研究や技術の利用を容易にする。

5.企業のライフサイクル全般に亘って、金融の利用を改善する。

6.われわれの成果を継続的に改善する。そうすれば、EUは小企業経営に対して世界で最良の環境を提供するだろう。

7.小企業経営の声に耳を傾ける。

8.最優良の企業経営に対する支援を促進する。

行動のための指針(項目だけ列挙します)

われわれは、この憲章を支持することによって、小企業経営のニーズに正当な考慮を払いながら、以下の行動指針に沿って活動することを約束する。

1.企業家精神のための教育と訓練

2.費用や時間のヨリかからない開業

3.ヨリ良好な法制と規制

4.技術・技能の獲得

5.オンライン利用の改善

6.単一の市場からのヨリ多くの成果の実現

7.税制と金融問題

8.小企業の技術的能力の強化

9.成功するe‐ビジネスモデルと最優良小企業経営の支援

10.EUおよび各国レベルにおける、小企業の利害のヨリ強力でヨリ効果的な代表の発展

この中で感心するのは、日本の産業政策と違って小さいところから考える思考が必要だと思います。Think small firstという部分です。

日本の企業のうち中小企業が99.7%を占め、そこで働く人が約7割です。その部分を「Think small first」すべきです。

具体的には、中小企業庁は経済産業省の外局ですが定員は202人です。防衛省の外局である防衛設備庁の定員は1,379人です。「Think small first」の思考で考えると、防衛設備庁の定員を超えてその定員は10倍あってもおかしくありませんし、中小企業大臣の存在も必要なのかもしれません。

政府が6月にまとめた、いわゆる「骨太の方針」に中小企業・小規模事業者の発展を期する日として「中小企業の日」を制定する日が盛り込まれるのではないかという期待があったが、実際は盛り込まれなかったのです。

政府には「Think small big」の思考はあっても、「Think small first」の思考はないのではないかと思われます。国際的には「世界中小企業の日」の制定の動きがあります。例えば2015年に国連で発表された持続可能な発展目標がそうです。その動きに呼応をしなければ日本経済の「格差問題」は解消されるはずもありません。

私は昨年末に、中小企業のあるべき姿を投影するような番組を2本観ました。まずは、TBS系の日曜劇場で「陸王」という番組でした。直木賞作家で「下町ロケット」などで有名な池井戸潤原作のドラマ化です。「国際的な大手シューズメーカーの長距離用のハイテクシューズに、昔から使われてきたが今はほとんど使われていない足袋の技術を改良して、様々な圧力をかけるシューズメーカーに屈せずに、最後は涙なしに観られなかった感動的な大逆転を演出した場面になった物語」を、足袋メーカー「こはぜ屋」の社長を演じた役所広司の演技力のすごさや、若手の人気俳優の山﨑賢人、竹内凉真のさわやかな演技を堪能しました。

もう一話は、「町工場の娘、主婦から社長になった2代目の10年戦争」を出版したダイヤ精機社長の諏訪貴子の実話をNHK名古屋放送局が「総合ドラマ10」で放映したものでした。物語は「主人公が父の急逝によりダイヤ精機の社長を引き継ぐことになったが、様々な障害にぶつかりながらも女性ながらの経営手法を導入することにより、赤字経営から黒字化した奮戦記」を「マチ工場のオンナ」というタイトルで久々に内山理名が主演で好演する番組でした。

私は、1999年から2014年までの15年間で中小企業の数が100万社以上の減少し、団塊の世代が後期高齢者になる2025年になるときまでに、どれだけ中小企業の数が減少するか不安でたまりません。中小企業・小規模事業者が減れば、雇用が失われ、税収も減り、その地域が疲弊することに、政治家や政府が気づかないのか、気づいているのに気づかないふりをしているのかわかりませんが、その感性に危機感を抱いています。

 

介護保険料と差し押さえ~徴収行政の発想の転換~

読売新聞の2018年7月27号に次のような記事が掲載されていました。記事は以下の通りです。

『介護保険料を滞納し、市区町村から資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の高齢者は、2016年度に1万6161人で過去最多になったことが、厚生労働省の調査で分かった。高齢化による要介護者の増加に伴い保険料が上昇し、負担できない高齢者が増えているとみられる。

全1741市区町村のうち約3割が処分を実施。処分を受けた人数は15年度から2790人増え、調査を始めた12年度以降で最も多かった。

大半の人は、年金から保険料を天引きされているが、年金が年18万円未満の人は自分で納める必要がある。こうした低年金の人が滞納しているとみられる。預貯金などの資産が少ない人も多く、処分を受けて一部でも滞納分を回収できたのは、6割強にとどまった。』

もともと「徴収実務を簡素化」し、「滞納を防止する」という趣旨から65歳以上の人の介護保険料は、年金から強制的に天引きされる「特別徴収」の人が約9割です。年々減額される年金制度になっているのに、実質的に扶養している息子さんから「なぜ社会保険料控除の対象にならないのか。」とのお叱りを無料相談会場等で受けることがあります。

一方「普通徴収」される方は、無年金の方や年金が年18万円以下の人です。これらの人の生活はおおむね苦しいことはほとんどの人がわかるはずです。こんな人に差し押さえをすることは、全体の奉仕者であるべき公務員がすることでしょうか。

私が勤務している下関市の市報にも「市税の納め忘れはないですか?」というタイトルで、①どこで納税するの、②夜間や休日に納税したい、③滞納するとどうなるの?……④督促状が送付され、督促手数料が100円必要と言うことが書いてあります。⑤延滞金……延滞金(納期限の翌日から1か月以内)だと平成29年中年2.7%、平成30年中年2.6%(上記の期限後)平成29年中年9.0%、平成30年中年8.9%との記載があります。⑥延滞が続くとどうなるの?という項目では、まず催促状を催告し、文書などで催告を促します。それでも納税がない場合には、財産を差し押さえをします。差し押さえの際、滞納者の自宅などを捜索することもありますと記載がされ、平成27年度から平成29年度ごとに財産ごとの差し押さえ件数と合計額、続いて差し押さえた財産をインターネット公売して積極的な公売に詰めている旨、⑦最後に期限内納税にご協力をと記載されています。

何か抜けていませんか?それは、様々な事情で税金等を払いたくても払えない人はたくさんいます。もちろん、財産があるのにそれをわからないように隠したり、内縁関係を続けながら本人は高級車乗っている人もいるでしょう。しかし、それは 極々一部の納税者です。

私が相談にのった人は、昼間は街のクリニックの看護師の仕事をして、夜はとあるホテルで皿洗いをしている女性で、その収入のほとんどを3人いる子供さんの養育費として生活をされていました。

ところが、その女性の持ち分がわずか十分の一しかないのに、市役所から元夫が延滞している固定資産税を払えとの督促がきたのです。民法では、共有財産にかかる税金には「連帯納付義務」があるとされていました。元夫に親権があるのですが、離婚原因が元夫の浪費にあったものです。差し押さえするにも徴税吏員には適正な手続きが必要です。その相談者にアドバイスをして、合法的に差し押さえができないようにしました。長い間固定資産税を払っていなかったので、延滞金も含めかなりの金額の催告書が来ていました。

また私の知人で、サラ金から金を借りても延滞している税金を払えと言われたということもありました。すでに私の知人は経営していた会社の倒産が原因で多重債務に陥っており、2010年に深刻化する多重債務に対処するため改正貸金業法が完全実施されたことと知り合いの弁護士を紹介して問題の解決ができ、生活保護の受給も受けることができました。

滋賀県野洲(やす)市では、「ようこそ滞納していただきました条例」(2016年4月施行)といった一見ふざけたような条例なのですが、この条文は「債権管理の適正化を通じて」「市民生活の安心の確保に資する」としていることがミソで、山仲善彰市長は「税金を納めてもらう以前に、市民の生活が健全でなければならない。市民の生活まで壊してまで滞納整理をするのは本末転倒だ。」と語っているそうです。

滞納を生活困窮のシグナルとみて、生活相談課を置き、仕事・生活・借金などに悩む相談者に寄り添って、生活再建を目指すシステムを構想しているらしいのです。ちなみに、平成28年度の収納率は97.2%で、滋賀県内の平均96.1%を上回っているとのことです。(税理士新聞2018年2月5日号参照)

昭和35年に国税徴収法の大改正があり、その会長をつとめられた我妻栄(私が学生時代に民法を学んだ本の執筆者で、その当時は我妻民法と呼ばれていた東大の教授でした)先生が、その著作の「序」で書かれているように「~いいかえれば、これらの優先的効力の主張も、強制力の実施も、真に止むを得ない場合の最後の手段としてはこれを是認せざるをえないと考えたからである」。従ってまた、徴税当局がこれらの制度の運用に当たっては慎重の上にも慎重を期することが、当然の前提として諒解されるのである。~良く切れる刃物を持つものが必要以上に切らないように自制することは、すこぶる困難である。不必要に切ってみたい誘惑さえ感ずるものである。本書がこれを戒めるためにも役に立つことを希望してやまない。」と書かれています。

この我妻先生の危惧がおざなりになっていないかどうか、徴税吏員の自己チェックをして欲しいものです。

カープの強さと球団経営~プロ野球を優遇する通達を考える~

ついに8月15日の阪神戦で広島カープに優勝マジック32が点滅しました。昨年より1日早い101試合目での点滅です。私には、カープが強いと言うよりは、他の5球団がすべて負け越しをしていることを考えると他のチームが弱いといえるのではないでしょうか。

多くの人が知らないでしょうが、実は私は大のカープファンです。

最近強くなってきたからではなく、北別府学投手と同い歳(1957年生まれ)ということと彼の投球術に惚れ込んだからです。彼は宮崎県立都城農業卒業(自宅は鹿児島県)で甲子園にも出場していないのにスカウトが彼を見出しドラフト1位でカープに入団しました。しかし、彼は他のプロのピッチャーを見て自分のストレートでは通用しないことに気づきました。その後お得意のスライダーの出し入れで打者を打たせて取ることと、針の穴をも通す言われたコントロールを磨き球界では「精密機器」と言われたのでした。彼の審判にもたびたび「ストライク・ボール」の判定に注文をつける勝ち気の投法に惚れカープのファンになりました。

それ以前は巨人ファンで、カープが初優勝したときに巨人が最下位になったことはかなりショックでした。79年にカープは日本一になるのですが、そのときの「江夏の21球」のテレビ番組をこれまで何度も観て、その都度感動する自分がいます。

ところでカープの強さとは何でしょうか。それば、ずばりセ・パ併せて12球団の中で唯一の親会社を持っていないことではないでしょうか。実は、40年上にわたり黒字決算なのです。売上高も、10億円以上の年俸を蹴って4億円でカープへの恩返しと帰国し「黒田効果」と言われた2015年では、巨人、阪神についで約150億円と3位でした。周辺人口と球場の定員を考えれば驚異的なものです。

親会社を持たないと言うことは、球団独自で徹底的なサービスや仕掛けを造りファンやリピーターを作らないといけません。ハード面で言えば、球場に「寝そべりあ」という、寝ながら観戦できるゾーンがあります。例えば焼き肉などをしながら観戦できるパーティ席もあります。私はその席で観戦しました。「エバラ黄金の味 びっくりテラス」と命名されたシートで、焼き肉を頬張りながら観戦した経験があります。

ソフト面ではなんと言っても「カープ女子」の存在です。2009年完成した新球場「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」だけではなく、その他の球場でも「カープ女子」は、大いに試合を盛り上げてくれます。その効果は、絶大だと思います。私も、交流戦で「ヤフオク!ドーム」に観戦しましたが、彼女らの持つ相乗効果は物凄いもののあります。

また、カープ選手の年俸が高いことが強さにつながっているのかと思いきや、驚くことにセ・パ併せて12球団の中で8位の低年俸でした。ちなみに2位の巨人は、菅野投手の4.5億円を最高に合計約46.2億円で、1億円以上の選手は16人います。

それに比べカープはあれだけ強いのに年俸の総額は約26.9億円です。年俸を高い順序で並べると、今年はケガで泣かされましたが先発ローテーションの中軸のジョンソン投手3.4億円、大きな体でもないのにホームランも量産し、打率も良くおまけにチャンスにめっぽう強い、さらに守備もうまい3番バッターの丸選手2.1億円、日本一うまいセカンドと言われている2番バッターの菊池選手が1.9億円、切り込み隊長としての役割を果たし守備力もセンスがある田中選手が1.4億円、巨人の菅野と同い年で、明治大学からドラフト1位で入団し新人王も獲得し、2016年には16勝をあげ最多勝利と最高勝率を上げた野村投手(昨年、今年とあまり成績は芳しくありません)が1.2億円、いつもひやひやどきどきさせてくれるセット・アッパーの中崎投手1.15億円、チームのリリーフの要と言われていますが、ケガで本格的な調子ではなく現在2軍で調整中のジャクソン投手1.15億円、その一発は素晴らしい飛距離がありますが今年はエンジンのかからないエルドレッド選手1.13億円(彼も現在二軍で調整中です)、チーム最年長でリーダーの役割を果たしチャンスにはめっぽう強い新井選手1.1億円、以上の9人が年棒1億円以上の選手です。財務分析的に言えば、労働分配率が低い、生産性が高い収益構造になっています。

おそらく、他球団が目をつけていない選手をドラフトで取り、その選手を徹底的に鍛え上げる選手育成法(去年の夏の甲子園で清原選手が持つ一大会5ホームランの記録を上回る6本のホームランを打って、ドラフト史上初めて高校生が複数球団から指名をされ、めでたく希望のカープに入った中村奨成捕手さえ二軍で徹底的に鍛えられています)や10億円の年俸をけって大リーグから黒田投手を帰国させたほど魅力ある監督を初めとした球団との絆、そして、今は阪神の監督をされている金本元選手や前田投手にみられるように年俸が高くなりそうな選手には慰留をせずに放出する姿勢などが考えられます。

そして、その市民球場のカープも含めプロ野球を所有したいという会社があるのす。2004年にライブドアのホリエモンが近鉄球団の買収を株主総会で発表し世間を驚かせた動きがありました。売名行為という側面もあったと思いますが、実は、プロ野球の球団を持つと税制上の優遇を受けられるのです。

それは今から64年前の昭和29年に作られた通達の存在があるのです。具体的なその優遇内容は、(1)プロ野球球団の親会社が球団に対して支出した金銭のうち広告宣伝費と認められる金銭と、(2)球団の欠損金を補てんするために親会社が支出した金銭は『上記(1)の「広告宣伝費の性格を有するものとして」取り扱うものとする』は、損金にするというものです。

言い換えれば、子会社として所有する球団が赤字になったら球団が倒産など危機的な状況になる場合以外は、親会社と球団との損益通算(プロ野球球団の経営をすることによる節税)ができるのです。

この規定は、今はプロ野球と同じく人気となっているサッカーJリーグなどのプロスポーツにはないのです。今から64年前(私はこの世には存在しませんでした)は、戦後の復興期でプロ野球ぐらいしか国民に娯楽や夢を与えられるものがなかったからだと考えられます。

しかし、この規定を知っていて節税のために球団の買収をしようとしているならば、それを知った国民はどう思うでしょうか?今や、国民のスポーツへの関心はプロ野球だけでなく、サッカー、バドミントン、卓球、レスリング、ラグビーなど多岐にわたっています。

あるプロ野球球団の親会社はこの手法を使ってかなり節税をしているようです。このようにプロ野球とJリーグなどと取り扱いが違うのであれば税の「公平性」に問題があると思いますし、カープのような球団側の自助努力が損なわれてしまうのではないでしょうか。(2018年7月30日納税通信の記事を一部参照)

税理士試験受験生頑張れ!

平成30年度(第68回)税理士試験が今日(8月7日)~明後日(8月9日)にかけて実施されます。税理士試験は年一回しかないため受験者は相当のプレッシャーの中でラストスパートをかけていることと思います。

弊事務所でも数人の受験者がおりますが、ここが踏ん張りどきです。自分の受験科目が始まるまであるだけの力を発揮して欲しいと願っています。

今までは、合格点に達していなかった科目のある者に対してA(59~50点)からD(29点以下)のランクが本人に通知されてきました。

私が、受験をしていた30年以上前は、確か「あなたが受験された科目に合格に達したものはありませんでしたのでお知らせします。」という通知しか郵送されてこなかったのでこの間、受験者に対する通知については一歩前進したのだろうと思います。

しかし、今年からさらに総得点が仕組みになる改正が行われます。これで、また一歩不透明さが緩和されることになるのかもしれませし、現状の税理士制度そのものの抜本改正につながればよいと思っています。

この試験は税理士法施行令6条で合格基準が60点となっていますが、これは全く当てになりません。この試験のほとんどの科目で理論問題が50点、計算問題が50点です。私の経験では、合格する前年のある科目では、計算の最終値が受験予備校の模範解答と合っていました。途中の計算過程も問題はありませんでした。つまり、計算問題では50点のはずです。理論問題は、2問出題され、解答用紙はそれぞれ2枚ずつの4枚で、不十分ながらも4枚とも全部埋め尽くしました。それで、10点以下はないだろうと思っていましたが、まさかの不合格でした。いまだに、あれは何だったのかと思う時があります。

この試験は、模範回答もなければ配点基準もわからないと言った極めて閉ざされた試験です。過去には受験予備校から、明らかに出題ミスだとか解答が複数あるという指摘も幾度もありました。この改正でも、模範解答や配点基準はないようです。

一方、昨年の一般試験で出題ミスがあった京都大学では、来年の一般試験から、これまで非公開だった解答例や出題意図を全科目で公表するそうです。また、記述式の問題も多いため、一義的な解答を示すのが難しい場合は、意図だけを公表するケースもあるとしています。(2018年7月20日日経新聞)

少なくとも京都大学のような方向性に向かうのが当たり前だと思いますし、現行の試験のように、暗記力といかにそれを素早く解答用紙に埋めるのかの理論問題やアクロバット試験のような計算問題をやめて、税理士としての適性があるのかどうかの試験問題にして欲しいし、司法試験など他の士業試験にあるような口頭試問も必要でしょう。さらに、既得権益化している税務署に23年間勤務していた人にも、少なくとも一般試験を1科目合格するか、または、それに準じた何らかの試験を課しその結果を公表すべきだろうと思います。よく世間で言われている「税金取りの税法知らず」という言葉を、税理士になるためには何が「公平化」を議論すべきだろうと考えます。

また、今回の改正で、受験手数料が1科目当たり500円引き上げられます。昨年までなら1科目の受験で3,500円、1科目増えるごとに1,000円プラスになる手数料体系で、5科目受験すると7,500円(3,500円+1,000円×4科目)でした。改正後は1科目なら4,000円、1科目増えるごとに1,500円と科目当たり500円上積みされることになり、5科目受験すると10,000円(4,000円+1,500円×4科目)になりました。私が受験していた四半世紀以上前は何科目受けても同一料金(私の記憶では2,000円だったように思います。)随分高くなったように思います。この値上げで、受験者の減少が加速しなければ良いなと思います。

因みにほかの資格の受験手数料は公認会計士19,500円、司法試験28,000円、弁理士12,000円、司法書士8,000円、土地家屋調査士8,300円、日商簿記1級7,710円なので税理士試験は意外に安いのではないかと思います。税理士試験の受験手数料がまだ安いのは、上述した口頭試問がないからだと思います。

さらに、この試験の特徴は、試験日から合格発表までの期間がやたらに長いことです。今年は平成30年12月14日(金)に行います。

これはあらかじめ合格率を約2%と決めておいて、多くの試験科目で得点調整をしているからだと思います。私の経験はまさしくそれだったのではないかと思います。なぜなら、その試験問題はやたらと難しく、しかも理論問題が3問出題されて解答用紙が6枚ありました。計算問題は40点で私は、前年と違い致命的なミスをしました。しかし、かなり難度の高かった理論問題は、ほぼ今までに出題予想もされていなかったので多くの受験者が相当手間取っていたらしいのです。

また、異常なまでの酷暑が続いているので、国税庁のホームページに「第68回税理士試験について、試験中の飲食は原則禁止としていますが、水分補給のため700㎖以下の蓋付きペットボトル1本に限り、試験中、自己の責任において、机上に置いて飲むことを認めます。ただし、必ず蓋を閉めて机上に置き、こぼしたり、水滴によって問題用紙や答案用紙を汚損しないよう十分に注意してください。万が一、問題用紙や答案用紙を汚損した場合においても、交換はいたしません。なお、ペットボトルカバーの使用及び缶、瓶、水筒等を机上に置いて飲むことは認めません。」との記載があります。私が、受験をしていたころはクーラーもなく、汗をかきながら2時間の試験時間に集中して、終わったらもう立てないくらいでした。暑いのが嫌いな人は、全国の試験会場で唯一クーラーが効いていた金沢会場で受験をしていました。

いずれにしても受験生の減少は、この業界での危機です。本当に、今の税理士制度が良いのかどうか、今般の改正を機に考えてみたいものですね。

平成29年の確定申告を終えて思うこと~記帳義務化と時代遅れの所得税制~

平成29年の所得税の確定申告が3月15日に、個人の消費税の確定申告が4月2日に終了しました。私も、いろいろな事業者(最近はフリーランスというカタカナ言葉で言うそうです。)の方の相談や申告書作成に携わりましたが、改めて思うのが「記帳の義務化」が平成26年1月からすべての白色申告者に対して始まり、また、その「帳簿等保存の義務化」が始まっているにも関わらずまだまだ十分に認識されていないとことです。

税理士に依頼される方は、何とかこの制度をクリアできたとしてもそれなりの費用がかかります。税理士に依頼される方でもその基になる基礎資料(請求書等)を完璧に保存されている方が少数派ではないかと思います。税理士と依頼者の「あれはないか、これはないかとの攻防」が始まります。税理士も領収書等の整理に時間がかかる先ほど請求する費用が相対的に低いので正直、あまりやりたくない仕事なのです。

それが、税理士等に依頼されない小零細事業者が本当にきるのでしょうか?私は、それを厳密にするのはかなり難しいと思っています。無料の確定申告会場でも未だにそれができていない方がすごく多いというのが実感です。特に高齢者の方や、朝早く市場で仕入れて夜遅くまでそれを販売される八百屋さんや魚屋さんなどは、仕事だけで体力も気力も使い切っていて「記帳どころではない。」という忙しい「生業」の方が、意外に多いのではないでしょうか。

この「記帳義務化」と「帳簿保存義務の義務化」の背景には、消費税の平成31年10月1日スタートすることとなっている税率引き上げ(現行の8%から10%)と日本の消費税では初めてとなる軽減税率(食料品等と新聞の購読料金が8%に据え置かれる)の適用を意識したものだと推認されます。そこで、その制度を4つの観点から、もう一度検証してみましょう。

1.申告納税制度と記帳と帳簿保存の義務化、青色申告と白色申告の違い

現在の日本での所得税の申告納税制度は、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し申告と納税をするというかたちを採用しています。1年間の所得金額を正確に計算し申告するためには、毎日の収入金額や必要経費に関する取引の状況の記帳と、取引の際に作成したり受け取ったりした書類等の保存を行う必要があります。確かにそれは原則ですが、それがきっとできないので「青色申告」の適用申請ができないのです。

では、青色申告者と白色申告者でどのような違いがあったのでしょうか。青色申告を選択した事業者は、「生計を一」にする親族に給料を支給できたり、青色申告特別控除(最高65万円)が所得から控除できたり、30万円未満の少額な資産の場合は最高年間300万円までは必要経費にできるなどの「特典」があります。この制度を採り入れたのは、「記帳制度」を推進したいという国税当局の思惑があったのでしょうが、そもそも他の国では、このような「差別的な制度」を設けている国はないと税制の文献等にも記述されています。

日弁連も2017年11月14日の意見書で「家族従業員としての労働を正当に評価し、家族授業員に対する支給給料についても、他人を雇用した場合と同様、経費に算入することを原則とし、支払われた賃金については、家族従業員本人の労働の対価と明確に位置づけられるよう、専従者給料制度の見直しを図るべきだ。」とその改正を求めています。つまり、「白色申告制度」は時代遅れの「家族主義」を前提にした時代感覚とマッチしていない立法措置だと言えます。

今まで、「青色申告者」の場合はその特典を享受するために、一定の要件を備えた帳簿書類の備え付け、記録、保存が定められていたのに対して、「白色申告者」の場合は、一定の人(前々年分あるいは前年分の事業所得、不動産所得又は山林所得の合計額が300万円を超える方)に対してだけ、記帳制度や記録保存制度が設けられていました。

しかし、平成26年1月からは、これらの所得を生ずべき業務を行うすべての方についても、同様に記帳と帳簿書類の保存が必要になりました。因みに、所得税の申告の必要がない方も含みます。

2.白色申告者への記帳、帳簿保存の義務化はすでにスタートしています。

上記でご説明したとおり、平成25年までは個人の白色申告者については、記帳、帳簿などの保管が義務付けられている対象者は限定されていました。しかし、この税法改正により、記帳・帳簿等保存義務が、平成26年1月からは、すべての白色申告者にこの“記帳・帳簿等の保管”が義務付けられるようになりました。つまり、すべての個人事業者の方が平成26年分から記帳をしなければいけないということです。この制度を知らない方も多いのではないかと思います。

消費税法では、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。小規模・零細業者でも業種(例えば粗利が低い卸売業の事業者など)により、課税売上高が1,000万円超えるケースもあるでしょうし、将来の「インボイス制度」が導入されれば、課税売上高が1,000万円いかない方でも自らが課税業者を選択しなければ「商売」の存続ができなくなる可能性があります。その場合、「簡易課税制度選択」を選択していない限り、請求書等(等とは領収書などを含みます)と帳簿との二つ(記載事項はほとんど同じです。)のものを揃えなければなりません。改訂以前は請求書等と帳簿とのいずれかがあれば良かったのですが、今はなぜか両方とも必要な改訂がありました。その「理由」は不明ですが、この前受講したセミナーの講師は、国税庁の親しい官僚に聞けば「税務署員が税務調査をやりやすいから。」と言っていたそうです。

3.記帳、帳簿保存とは何をすればいいのか。

今までは記帳・帳簿等の保管の義務がなかった方も、すべての事業者の方が行わなければならなくなり、いったい何からはじめればいいのかと不安に思われている方も多いでしょう。しかし、前述したようにこの制度を知らない方が大変多いことを実感しています。

そこで改めてその仕組みを解説します。

①記帳とは。

記帳とは、売上などの総収入金額と仕入その他必要経費に関する事項を記録として残すことをいいます。記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっています。また、記帳は所得金額が正確に計算できるように、整然とかつ明瞭にする必要があります。

②帳簿等保存とは。

帳簿等保存とは、売上の帳簿、請求書、経費の領収書など、事業の取引に関連した帳簿を一定期間保管しておくことです。帳簿や書類を、基本的には5年間の長きにわたり納税者の住所地や事業所などの所在地に、整理をし、保存しなければいけません。

※株式会社エフアンドエム Tax House記帳代行サービス 白色申告者の義務化とはより引用

4.本当にすべての事業者にこの記帳等の制度ができるのでしょうか

AI技術で税理士事務所の8割が存在しなくなると言われています。今でも「クラウド・コンピューター」が普及して、どんどん進化しています。確かにそういう流れがあることは否めません。それはそれで、今後の税理士や税理士事務所の「生き残り作戦」は必要です。

しかし、前述したようなことを小・零細企業に一律に求めることができるのかは、極めて懐疑的です。デジタル・ディバイド(情報格差)という言葉があります。「情報通信技術(ICT)を利用できる人とできない人との格差」を意味していますが、高齢の方や障がいを持っておられる方が、PCを駆使できるかどうか疑問ですし、ましてや現場を知らないキャリア官僚が机上で作成した「記帳等の義務化」を浸透させることなどとても困難なことではないかと思います。

また、前述した「家族授業員に対する支給給料についても、他人を雇用した場合と同様、必要経費に算入することを原則とすること」をなぜ法案化しないのかが納得できません。これでは、記帳等の義務化とのアンバランスが是正されません。所得税や消費税など問題ある税体系を根本的に改めるべきだと痛感しています。私は、この国の税体系が「強きを助け、弱きを挫く」ものだと思えて仕方がありません。

カリスマ塾長「伊藤真弁護士」の講演を聞いて~私は伊藤先生の生き方に感銘しました~

私は司法試験のカリスマ塾長と言われる伊藤真先生が、「日本国憲法を守ろう」ということを高らかに主張され、様々なところで講演をされていることは知っていましたが、それはTVなどから流れてくる情報のみで、実際に講演を聞くのは初めてでした。

「議員定数不均衡問題」に取り組まれその訴訟で奮闘されておられることも、「憲法9条の会」という全国に網の目のようにある地域で講演活動をされており、いつかは生の講演を聞きたい願望はありました。

そう思っていた矢先に「とある場所」で生の伊藤先生の講演を聞く機会を得ることができました。どんな話をされるか期待感が膨らんでいたので最前列に座りました。先生はおそらく190㎝に近いと思われる長身で、かつ「がたいも良く」とてもおしゃれでスーツの上着を脱ぐとサスペンダー(ズボン吊り)姿でした。おまけに、アナウンサー声、堅い話を分かり易く、ユーモアも交えての内容でした。自己紹介では、年齢は私より一つ下ということだったので今年還暦になられます。

先生は「憲法は理想からかけ離れているので現実に合わすために改訂すべきだ。」という少なくない人々の主張に、「いや、現実を理想に合わせるべく努力を重ねるべきだ。」と明確に反論されていました。こんなカリスマである先生がこれだけの「護憲派」の論客だとは本当に意外でした。

また、先生は「人間は忘れやすい生き物である。勉強したことをすべて覚えていられたら、どんなに楽だろう。でも、ぽろぽろと忘れてしまうから、みんな悪戦苦闘しているのだ。私も記憶力はそれほどいいほうではない。むしろ忘れっぽいほうだから、大事な予定や約束事を忘れないように、手帳は肌身離さず持ち歩いている。だから私は人一倍努力し、工夫して忘れないように努めてきた。私の記憶法は『五感を使う』というものだ。『見る』『聞く』」『さわる』など体のありったけの感覚を総動員して知識を記憶する方法である。」と話されていました。

東大在学中に国家試験で最難関と言われる司法試験に合格された先生がそれほどの苦労はしなかったのではないかと思っていましたが、あにはからんや私とあまり変わらないので「変な意味」で安心しました。

そして、カリスマ塾長は、「この人はすごい」と思った人に会ったときは、3つの質問をしているようです。その質問とは「大変失礼ですが、あなたの人生の目標は何でしょう?それはなぜですか?そのために何をしてらっしゃいますか?」もし、こんな質問をされたならば、私は何と答えるのでしょうか?

英語では「努力家」のことを「Hard Worker」と言いますが、国民栄誉賞を受賞された将棋の羽生義治「永世七冠」も、競馬の武豊さんなども、世間では「天才」と言われていますが、おそらくかなりの「Hard Worker」なのではないかと思います。

「この人はすごい」と言われる人に私もなりたいと努力をしているつもりです。私は、自らを「才能がない」「不器用である」ことを自分で「客観視」しているので、「人一倍の努力」を継続してやり続けるしか能はありません。「継続は力なり」「努力は嘘をつかない」という諺を信じてひたすら「努力」を継続していきます。

大学授業料と奨学金などドイツと比べてみて思うこと

私の知り合いのご子息が国立の医学部に見事に合格されました。そこで、この際日本の大学の授業料と奨学金や入試制度のことを改めて調べて見ました。

まず初年度納入金ですが、国立大学は医学部を含む全学部が、入学金28万2,000円、年間授業料が53万5,800円の合計81万7,800円とかなりの高額です。私の母校(私立文系)は、入学金20万円、授業料その他の費用が78万円、合計98万円とそんなに大きな差はありません。

もう12年前になりますが、私の二女は国立大学の前期試験で不合格、同じ大学の後期試験に何とか受かったので親の負担は少なくて助かりました。滑り止めで合格した大学(私立文系)は、入学金30万円、授業料その他の費用が95万2,300円、合計125万2,300円と少々高い大学でした。とりあえず払った入学金は結果的に「どぶに捨てた」ことになります。

私の甥は、ある私立の理工系が第一志望でした。いろいろな入試形態があって5回同じ大学の同じ学部に果敢に挑戦しましたが見事不合格(桜散る)でした。その大学は、入学金26万円、授業料その他の費用が140万1,000円、合計166万1,000円でした。やはり私立の理系は高額になります。たまたま、ダメ元で受けた国立大学に合格したので、結果的に親の負担は少なくて済みました。

日本の大学は、高校を卒業するか、高等学校卒業認定試験(高等学校を卒業した者と「同等以上の学力」があるかを認定する試験のこと)に合格すれば受験できます。しかし、まずは国公立大学を受験する生徒はセンター試験を受験し、その結果と2次試験(前期、中期、後期)の結果を勘案して合否が決まります。最近では、センター試験を私立大学でも使うところが増えてきました。

特定の資格(医師、歯科医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師など)をとるために受験する生徒と将来就職するか研究職などをめざすか別として理工系、文系を受験する生徒に分かれますが、特徴的なことは、「偏差値」という非常にもどかしい数値に惑わされます。特に予備校などが、一つでもランクが上の大学をめざします。

特定の資格の取得のために必要なものでも、それ以外でもとにかく偏差値が高い大学をめざします。したがって、晴れて目標の大学に合格した時点で「燃え尽き症候群」に苛まれる学生が多いそうです。

OECD諸国の大学進学率を見ると1位は、意外にもオーストラリアの96%、アメリカが9位で74%、10位が韓国の71%、イギリスが63%で、OECDの平均値の62%に近いようです。わが国は51%で22位、意外に低いのはドイツで42%です。

ドイツに就職している二女の情報によると、ドイツの基礎学校(小学校)は4年制で、10歳で、将来総合大学の入学資格である「アビトゥーア」を得るためにカリキュラムは9年制の進学コースを選ぶか、マイスターの資格を得られる授業学校コースの選択を迫られるそうです。しかも、学校は午前中だけで終わり昼過ぎには子供達は帰宅することになるそうです。

進学コースを選んだ子は、勉強するのは、国語と算数が中心で、体育や音楽、宗教などはあるが日本で言う理科や社会はないそうです。また、第二外国語もあって英語を重視して学ぶそうです。

日本で言うとセンター試験のようなものですが、アビトゥーア(高校卒業認定試験)はセンター試験のように何度も受けることが出来ず、この成績によって入れる大学等が決まってしまうので生徒は自ずと勉学に勤しむそうです。その反面、アビトゥーアの成績は一生有効なので、高校を卒業して働きながら、希望の大学や学部、習ってみたい教授がある大学に登録をして入れるまで待機(ボランティアをすればその期間が短くなるとも言っていました)するということもできるようです。

つまりドイツの大学では、入試もありませんし偏差値というものも重要されていないそうです。また、国籍を問わず授業料は無料で、英語で学べるプログラムを用意していることもあり、留学者も増えているそうです。ただし、ドイツは連邦共和局なので州によって多少違うところもあるようです。娘が働いているノルトライン=ヴェストファーレン州(州都は、日本人街もあるデュッセルドルフ)の大学生は、同じ州であれば特急以外の乗り物は学生証があれば無料です。東西に分断されていた時の首都であったボンもこの州にあります。資本論を書いたカール・マルクスや実存主義の代表的な思想家として名高いニーチェもこの大学の卒業生です。実際に、ドイツに行ったときに立ち寄ったのですが、博物館さながらの建築物で見学も自由にできました。学生も、学生食堂で真剣にディスカッションをしていました。

私が娘の友人に日本には奨学金倒産が増えていると言ったところ、即座に娘の友人は「それは奨学金ではなくローンですよ。」と話していました。ドイツは、返済不要のものを奨学金と呼ぶそうです。また、生活費を浮かすため例えば3LDKのアパートを3人でシェアするのが当たり前だそうです。アルバイトにも制限があって週20時間以上はできないそうです。

さて、多くの国民は日本とドイツは国民性が似通っていると言いますが、それは「真面目」なところは共通していると思いますが、教育制度や労働生産性はものすごく違うことをひしひしと感じました。

配当による大盤振る舞い、片や日本だけ賃金低下?~それっておかしくない!~

時事通信社の集計によると、東証一部に上場する2018年3月期決算企業の配当総額が、初めて10兆円を超えることがわかりました。18年3月期は前期比9%増の10兆3,500億円になり、5期連続で過去最高を更新しました。株主への利益還元をアピールするアメリカ企業と似たように日本企業もなりつつあります。10兆円と言えば法人税の税収とほぼ同じです。

増配を予定しているのは、全体の4割を超す591社です。鋼材市場の回復で業績が良くなっている企業や、資源価格の上昇で増益を予定している大手商社も増配です。12月決算法人や2月決算法人などを含めると17年度の東証一部上場企業全体の配当総額は12兆2,100億円にも達する見込みだそうです。

一方で「働き方改革」で労働分配率を下げたい財界の要望で、賃金上昇は低空飛行どころかますます下がるのではないかと危惧をしています。経済協力開発機構(OECD)の経済の見通しを見ても2018年の日本の経済成長率は1.2%と、世界全体の3.7%の3分の1以下です。米国や欧州と比べても異常に低くなっています。逆説的に言えば、特定の大企業は大もうけ、庶民の財布は冷えきっていると言えます。

その経済成長率の異常な低さは賃金の伸び率に垣間見えます。2012年と2016年を比較すると、先進国では、ドイツ6.15%、アメリカ4.34%、カナダ3.96%、フランス3.94%、韓国3.57%、イタリア2.48%、イギリス1.19%、そして我が国日本△1.05%です。

また、最低賃金を比較したOECDの資料でも、円換算で1位はオーストラリア1,456円、2位ルクセンブルグの1,355円、3位フランス1,198円、4位ニュージーランド1,176円、5位イギリス1,154円、以下9位ドイツ1,053円のここまでが1,000円以上、10位カナダ952円、11位アメリカ806円、そして我が国日本750円です。オセアニアや欧州が上位を占める反面、アメリカよりの国家であるところの低賃金が目立ちます。因みにブラジル134円、メキシコ67円、ロシア56円と極端に低賃金です。

日本企業がメキシコに海外進出する背景が賃金にあることが推測されます。また、自殺率が非常に高いロシアの異常なまでの低賃金が原因しているのかなと思いたくなります。

日本経済は、2019年10月から消費税を8%から10%に増税することを決めています。一部食料品や新聞などは8%の軽減税率にするそうですが、消費税はもともと「逆進性」がある税法と言われています。10%の税率にして賃金が上がらないとすると、日本経済は失速する可能性が高いと思います。また、8%の軽減税率にすることは結果的に「富裕層」に対する「忖度」かもしれません。

私は、消費税増税よりは、「分離課税」されている上場株式の配当や譲渡益を総合課税にまず先行してすべきだろうと思います。

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