おかげさまで、4月1日で総合会計は30周年を迎えました!!~さらなる成長発展のためにスタッフ全員がスクラム組んで~

「企業30年説」という言葉を耳にした人もおられるのではないはでしょうか。これは1983年に『日経ビジネス』が特集記事で初めて取り上げ、人口に大きな衝撃を与えました。つまり、人間に寿命があるように、企業にも寿命がありそれが30年というものでした。

それが事実なのかどうか定かではありませんが、帝国データバンクの統計データでは、企業の10年後の生存率は約7割、20年後に約半分になるとのことです。それだけ企業の生存競争は激しく、栄枯盛衰が繰り返されていることが見て取れます。

さて、企業が持続的に成長発展するためには、①時代を半歩先取りする成長エンジンを持つこと、②常に顧客満足を意識した製品やサービスを提供すること、③揺るぎない経営理念を持ちそれを社員に浸透させること、④それらを実行する人材の育成を図ること、が必要となります。

税理士業界の事業継承には税理士資格が必須条件なので、他の業界よりも困難だと言えます。日本税理士会連合会が公表した「第7回税理士実態調査報告書」では、後継者(後継者候補)がいないとの問いに84.5%がいないと答えています。さらに後継者不在の所長税理士に今後の見通しを問う設問では「自分の代で廃業する予定」が44.1%で最多でした。

幸いなことに、総合会計は創業者である私から、18歳ほど年齢が若い有能な後継者にスムーズに事業承継ができました。そして、バトンタッチ以後さらなる飛躍を遂げています。

ここで、総合会計が誕生した30年前のエピソードを少しだけ紹介します。『1995年阪神大震災が起きた年の4月1日、故郷の山口の地で開業しました。開業初日は、阪神大震災の影響で家財の荷物がまだ届かず、新幹線も動いていなかったので、夜行バスで到着する妻を防府駅まで迎えに行ったことを鮮明に覚えています。開業1年目は、借家の6畳の和室にカーペットを敷いて、大阪の自宅で使っていた古いパソコンと知り合いからもらったFAXやコピーを使って、今まで会計業務にまったく携わったことのない妻に手伝ってもらってスタートしました。もちろんお客様はまったくゼロだったので、知己を頼っていろいろなところへ挨拶回りをひたすらしました。業務連絡は、まだポケベルの時代でした。とにかく必死だったことが伝わったのか、三ヶ月目くらいから、「大阪から帰ってきたちょっと面白い税理士がいる」ということが評判になり、ご紹介のお客様がぼちぼち増えてきました。』

そして、筆舌に尽くしがたいほどのさまざまな紆余曲折を経てこの30年があっという間に経過しました。ものごとは螺旋状にしか発展しないとよく言われますが、まさに総合会計の歴史が螺旋状の歩みそのものでした。

さらに、10年、20年、50年へと未来に向かって総合会計がさらに発展することを切に願ってやみません。そしてそれを保証するには、事務所の全構成員が自分の持ち味を活かしながら、みんなで協力しあって民主的に運営することが必須条件ではないでしょうか。そして、必要なのは「量」を追求しながらも「質」の向上を常に図ることです。量と質の絶妙なバランス、確かに困難な課題ですが、果敢に挑戦することが求められています。

朝日新聞の「ひと」欄に「しんぶん赤旗日曜版」編集長が登場!~日本共産党の前進のキーワードは、赤旗のデジタル化にあります!!~

3月19日の朝日新聞「ひと」欄に、自民党の政治資金問題を暴いた「しんぶん赤旗日曜版」編集長の山本豊彦さん(62)が登場しました。

その記事を要約すると「母親が在日米軍基地問題に関心があり、NHKの番組を一緒によく見た。早稲田大学に進み、友人に誘われて共産党に入党した。『義を見てせざるは勇無きなり』という思いからだった。

赤旗の記者になり、名古屋編集部でゼネコン汚職、東京で日本歯科医師連盟汚職などを担当。自民党をはじめ政界に深い人脈を築いていく。11年前に日曜版編集長に。2019年に安倍晋三首相の『桜を見る会』報道を手がけ、日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞を受賞した。

コロナ禍の21年末、自民党建設族議員のパーティーに記者を潜入させた。『飲食もないのにゼネコンから2万円もぼったくるなんておかしい』。違和感を原点に膨大な調査を手がけた取材班は3人。『うちがひとしずくとなり、東京地検特捜部が動き、うねりができて派閥がつぶれた。こんなことがあるんだと』。24年度、2度目のJCJ大賞を受賞した。

昨年の衆院選で共産党は10議席から8議席に減らした。『共産党の機関誌が赤旗だというイメージが有権者に結びついていない。発信力を強めるために、デジタル配信に本腰を入れたい』

日曜版は守備範囲が広く、文化やくらしも取り扱う。ジャニーズ問題など芸能界にも食い込んだ。無理がたたって昨年、長期入院し、10種類以上の薬を飲む。体力が続く限り現場にいたいと、好きな酒は断っている。」

赤旗は、日本の政党機関紙としては最大の部数で、最盛期の1980年には日刊紙と日曜版とを合わせ355万部を誇っていましたが、以後、1997年に230万部、2017年には113万部、そして現在は100万部を割り込んでいます。アナログからデジタルへの大転換期を迎えている昨今の状況で、どの新聞もその発行部数を減らしています。しかし、しんぶん赤旗の減少数は相当に深刻です。

そこで共産党のチラシで、「~昨年の総選挙では、自民党・公明党の政権与党を過半数割れに追い込みました。これに日本共産党と『赤旗』が大きく貢献したこと、とりわけ、日曜版の一連の裏金報道、日刊紙の裏公認料2万円のスクープが決定打となったことは私たちの誇りです。~ところがいま、この『赤旗』の経営が大変厳しい事態にあります。日刊紙は、年間10数億円の赤字であり、日曜版読者も後退が続いています。~『赤旗』の発行を守るためには、読者を100万人にするとともに、そこに至る途上、とくに日刊紙の発行を支える10億円の募金が必要です。~」と党員や支持者に呼びかけています。

共産党は昨年末「SNS戦略室」を設置することを決めました。新聞のデジタル化は焦眉の急です。この際その募金を活用し、SNS戦略室の主導で「赤旗」とくに日刊紙のデジタル化を早急に進めるべきです。共産党はデジタル先進党となってもらいたいです。

たかが10万円?されど10万円!!~古い自民党政治とはおさらばしたいものです!~

朝日新聞が今月15、16日に実施した全国世論調査によると、石破茂内閣の支持率は26%で、前回2月調査の40%から大幅に下落し、昨年10月の内閣発足以降で最低となりました。また、不支持率は59%(前回44%)という結果でした。

件の商品券問題について、石破首相は13日深夜の緊急記者会見で「会食前に商品券をお届けした」と事実関係を認め、自身の指示だとした上で、政治資金規正法や公職選挙法に「抵触するものではない」と、法律への抵触を否定しました。そして、政治活動に関する寄付行為を禁じた政治資金規正法21条2(何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない)について問われると「政治活動ではございません」と否定し、会食のみやげ代わりや家族へのねぎらいなどの観点から「私自身の私費、ポケットマネーで用意した」と述べました。騒動になっていることについては、謝罪の言葉を口にしました。

この問題について毎日新聞の全国世論調査では、首相の事務所が当選1回目の自民党衆議院議員15人に1人10万円分の商品券を配った問題では「問題だと思う」が78%に上り、「問題だとは思わない」(12%)を大きく上回りました。

この問題は、「常識的に許容できる範囲の行動かどうか」「一般国民が通常期待する水準の注意や配慮がなされていたか」「倫理的・道徳的に妥当であるか」という視点で国民一人ひとりがどう判断し、それについてどのような意思表示をするかが問われています。

サンデーモーニングなどでお馴染みのジャーナリストの浜田敬子さんは「政治家としてどうなのかという姿勢が問われてくるのだと思います。まず一つは金銭感覚ですよね。『10万円』というのが、お土産として、そんな多額の物をあげるのか」「そしてタイミングですよね。政治とカネの問題があったから、比較的クリーンだと思われた石破さんになったのに、しかも野党から企業団体献金のことを言われている時にやってしまった。石破さんはやはり党内基盤が弱くて、『石破さんじゃ参院選戦えない』という声もあり、予算を通すのにも四苦八苦している時に、世論の支持がなくなってしまったら、より所がなくなるんじゃないかなと思います」とコメントをされています。

れいわ新選組で参院政策委員を務める長谷川ういこ氏は、16日に放送されたNHK「日曜討論」で「自民党の新人議員に10万円分の商品券を配るなら、物価高騰に苦しむ国民全員に10万円給付をぜひしてもらいたい。そしてコメをもっと出してもらいたい。自民党内のくだらない権力争いに国民を巻き込まないでもらいたい」と述べました。

西田昌司自民党参議院議員は党本部で記者団に対し「なんでそういうことになったのかなという感じだ。ちょっとまずい。そもそも石破総理大臣は政治とカネの問題について一番、物を言っていたようなタイプの人であり、指摘されたら返す言葉がない。新年度予算案を成立させたら使命を果たしたことになるので、退陣するのが正解だ」と述べました。

今後の国会での徹底した追求を期待するとともに、今年7月末までに実施予定の参議院選挙で国民が審判を下す絶好の機会でしょう。古い自民党政治とはおさらばする時です。

基礎控除の大幅な引き上げと消費税減税で国民生活は豊かになります!!~政府は小手先ではなく抜本改正を論議すべきです!~

確定申告も後半戦に突入しました。3月4日衆議院本会議にて来年度の予算案、税制改正法案が、政府当初案を修正して可決し参議院に送られました。衆議院で、政府の当初案が修正されるのは29年ぶりです。それでも、早急に対応すべき国民生活に重要な物価対策など国民生活関連問題は置き去りのままで、防衛費などの問題にはほとんどメスが入ることなくことが進んでいます。

今回の予算案では、所得税をめぐり大幅な改正がされます。従来の「103万円の壁」を「160万円の壁」に引き上げるものです。所得税では、所得から一定額を差し引く「控除」の仕組みがあり、現在の制度では、給与を得て働く人は「基礎控除」の48万円と「給与所得控除」の55万円をあわせた103万円を年収が超えると所得税が生じます。与党は、この税制関連法案の修正で、年収200万円以下の人は、非課税枠を160万円に引き上げられます。ただし、年収によって引き上げ幅が異なる、かなり複雑な内容となっています。

さて、日本の所得税の基礎控除の水準が極めて低いことが明らかになっています。主な国では、イギリス237万円、アメリカ209万円、ドイツ184万円、フランス179万円です。今般の改正では基礎控除はわずか10万円の引上げで58万円になるだけです。

所得税には「生計費非課税」の原則があります。少なくとも生活費には税金をかけないことを求めており、生存に必要な所得には課税すべきではないとされています。この原則は憲法の要請であり、基礎控除としてすべての納税者の収入から差し引かれるべきです。

さて、給与所得者は給与所得控除がありますが、事業所得者にはそれがありません。不平等です。どの所得でも同じ控除を受けられることができるように給与所得控除を廃止して、基礎控除をせめて160万円にしたらどうでしょうか。すると欧米並になります。また、それによって高額所得者に有利になる部分は、税率のアップで税収が落ちないようにすべきでしょう。さらに不公平税制である「金融所得課税(基本的に20%の分離課税)」も見直し、総合課税にすべきです。

基礎控除を引き上げても根本的な問題は解決にはなりません。というのは、住民税非課税世帯だけでも約1,500万世帯、それ以外の所得税非課税の人が900万規模、生活保護世帯が165万世帯あります。

所得税は累進課税が原則ですが、消費税はそれとは逆に所得の低い人ほど負担が重い逆進性が大きな問題です。負担能力に応じて税負担をするというのは憲法25条の生存権を税制の面から保障するための原則です。消費税を現行の10%(食料品は8%)から5%に減税すれば、国民の購買力は向上し結果として経済は上向きます。

財源はあります。最も有効なものは、防衛費の削減です。国は、航空戦力の質・量をさらに洗練・強化するため、戦闘機などの爆買いをしています。例えばF-35Aだけでも8機、1,120億円の予算です。防衛費増大より国民の暮らしや命が大事と思うのは私だけではないと思います。日本の経済浮揚には、基礎控除の大幅な引上げと消費税減税が最も有効です。

窓口は大混乱!?~西京銀行5万円キャンペーンを考えてみました~

2月27日午前8時、たまたま西京銀行小郡支店の横を車で通り過ぎました。9時開店のはずなのに、目の子で50人位の長蛇の列ができていました。

そうです。今年1月6日に始まったキャンペーンは、山口県在住者が新たに同行の普通預金口座を開設し、3月末時点の残高を100万円以上にすれば、4月末までに最大5万円がもらえるという内容に多くの人が押しかけたのです。想定外の人気にキャンペーン期間は当初3月末まででしたが、2月末に短縮されました。

こうしたキャンペーンはメガバンクのみずほ銀行でも、ポイントと現金で最大計5万円相当がもらえるキャンペーンを実施しています。しかし、給与受取口座への指定やNISA(少額投資非課税制度)口座の開設、クレジットカードの発行など複数の条件達成が必要でかなりハードルが高くなっています。ところが、同行のキャンペーンはそのハードルが低いため人気が殺到したのです。

読売新聞3月1日付は、『受け付け最終日の28日午前8時半頃、山口市の小郡支店には整理券を受け取る10人ほどが並び、未明から並んだ人も含め、既に数十人が受け取った後だった。店の入り口には「最大待ち時間は6時間以上が予想されます」、「(受け付け後は)ご自宅等で待機願います」、「順番によっては15時以降(夜間対応含む)となります」などと記された貼り紙もあり、行員は対応に追われている様子だった。

一方、来店した山口市の女性(50)は「職場の同僚から聞いて知った。物価高なので5万円は生活費の足しにしたい」と声を弾ませた。当初から西京銀行の予想を上回る来店があったとみられ、この数日前には営業時間内にもかかわらず「本日は終了しました」と、受け付けの一時停止を知らせる貼り紙を出す店舗もあった。』と報道していました。

私の知人も2月25日に山口支店に赴いたが、駐車場に車が止められず、付近の駐車場に車を止めてやっとのことで店舗に入りましたが、「本日は既に終了しました」との張り紙がしてあったそうです。その足で県庁内の支店も訪れたが、同様の事態にがっかりして諦めたそうです。

県内の第一地銀の山口銀行は下関市に、第二地銀の西京銀行は周南市にそれぞれ本店があります。両行とも県庁所在地以外に本店があるという全国でも珍しい形態です。

さて、西京銀行の売上は310億円、経常利益80億円、預金残高1.9兆円です。一方、山口銀行は、売上850億円、経常利益215億円、預金残高5.5兆円とかなりの差があります。

このキャンペーンで、同行へ預金がどれだけシフトしたかはわかりませんが、今後金利上昇が見込まれる状況の中で、積極的な貸付けで収益の拡大を意識しているのでしょう。また、証券投資信託やNISAなどの金融商品の増大も企図していると思われます。

このキャンペーンが吉と出るか凶と出るかは不明ですが、支店の窓口での混乱は想定外とのコメントがありました。西京銀行と山口銀行が利用者にとってメリットがあるように切磋琢磨して、さらなるサービスの向上に努めて欲しいものです。

254億円の寄付にびっくり仰天!!~そこで考えました。やはり資産家に対する課税強化は必要!~

新聞の記事をみて驚愕しました。宝塚市は2月3日、老朽化に伴う市立病院の建て替えに役立てて欲しいと、市内在住の高齢夫妻から250億円、そして手術用支援ロボットの購入費として約4億円、併せて254億円の寄付を受けたと発表しました。

このような高額の寄付をする人はごく少数です。わが国は欧米などと比べ寄付する文化や慣習が稀薄です。最新の報告資料によると、2020年時点でのわが国の個人寄付総額は1.2兆円と、2010年に比べて2.5倍に増加していますが、これは、特に東日本大震災の影響が大きかったとされています。また、寄付者の割合も増加傾向にありますが、2020年時点では44.1%でした。しかし、まだまだ寄付総額も寄付者の割合も低いレベルに留まっています 。世界的な視点で見た場合、日本は「World Giving Index(世界寄付指数) 2021」で114カ国中107位、つまり「世界で最も寄付に冷淡な国」の一つされています 。

この高額寄付で考えたのが、富裕層に対する課税のあり方です。税制調査会の資料では、資本所得(資産を元手に新たな資産を生むこと)の分布について分析したところ、全体では1,764万人が7.4兆円の資本所得を得て、そのうち上位0.3%の者(資本所得1,000万円以上を保有する者)が総額の53%(3.9兆円)を得ているという偏りがあります。

さて、わが国は最高税率が45%(所得が4,000万円を超える人に適用される)の累進税率になっています。ところが、1億円以上の所得がある人の場合、給与所得者のみの場合は少なく、株式等の売却益などの金融所得の割合が多くなっています。そして、株の売却益などの金融所得に対する課税は、源泉分離(他の所得とは分離して課税される)となっていて、金融所得がいくら多額でも原則一律20%の課税となります。これが、「1億円の壁(所得が1億円を超えることを境にその税率が下がる現象)」と言われるものです。高額所得者になればなるほど株式等の譲渡所得が高くなっています。

また、家計で保有する金融資産(貯蓄現在高)のうち、世帯主の年齢が60歳以上の高齢世帯の割合が増加し2019年には63.5%になりました。さらに、高齢階層を見てみると、最も少ない層(450万円未満)と最も多い層(3,000万円)の割合がそれぞれ高くなっていて、金融資産の保有が二極化していることがわかります。つまり金融資産の多くが高齢世帯に集中し、しかも偏在している事実です。

こうした現状を解決するには、現在の課税のあり方を根本的に見直す必要があります。つまりフローとしての「所得税」とストックとしての「相続税」です。

所得税は、株式等の譲渡所得を分離課税から総合課税にして、かつ累進税率を引き上げることで、公平で公正な課税が期待できます。相続税は、居住用の財産とその他の財産(金融資産を含む)を区分して、前者には軽い税金を、後者には重い税金を課して、かつ相続税がかかる人の割合を少なくし、全体として相続税の税収を上げる工夫をすべきです。

欧米のように寄付の文化や慣習を根付かせるとともに、税制の面で「富の偏在」を是正する措置を講ずる必要が問われています。

旬のものを食べてこそ豊かな食卓になるのでは?~広島の牡蛎を食し、そのおいしさに感動しました!!~

先週、知人から広島の殻付き牡蛎とムキ牡蛎をいただきました。殻付き牡蛎は電子レンジで3分くらい、殻が空くまでチンしました。殻をこじ開け、レモン汁をかけて、醤油を垂らして食べるとこれが最高でした。ムキ牡蛎は牡蛎フライにして食べました。こちらも、シンプルにレモン汁をかけて食べました。なんとも言えない食感がたまりませんでした。

広島の名物と言えばお好み焼き、もみじまんじゅうなどが有名です。そして冬の時期の広島の牡蛎は最高です。広島では5月から翌年の3月ごろまで、牡蛎を生産していますが、その中でももっとも美味しい牡蛎を食べることが出来るのが、年明けで この時期は、牡蛎が冷たい海にさらされて、身が引き締まりずっしりとしたものになるからだと言われています。

やはり、季節ごとに旬のものを食べるのは最高です。この「旬」とは、自然の中でふつうに育てた野菜や果物がとれる季節や、魚がたくさんとれる季節のことで、食べ物によってその時期はちがいますが、一番おいしくて栄養もたっぷりです。また、たくさんとれるから、値段もお手頃です。

栄養豊富な旬の食べ物は、その時期に必要な栄養が豊富であることが多いです。例えば、夏に旬をむかえるトマトやキュウリは水分量が多く、熱中症予防や夏バテ対策になります。その一方で、ダイコンやホウレンソウといった冬に旬をむかえる野菜はビタミンやβカロテンが豊富で、体を温めたり、免疫力を高めて風邪を予防したりする効果が期待できます。

しかし、最近はハウス栽培や品種改良の進歩、外国からの輸入などにより、季節に関係なく多くの食材が手に入るようになりました。でも、旬の食べ物の本当のおいしさは、その時期でしか味わうことができません。

野菜や果物では、春が旬のものは、菜の花、たけのこ、ふき、春キャベツ、イチゴ、いよかんなど、夏が旬のものはトマト、きゅうり、なす、とうもろこし、オクラ、枝豆、メロンなど、秋が旬のものは、かぼちゃ、さつまいも、里芋、レンコン、ながいも、大根、栗、梨など、冬が旬のものは白菜、ほうれん草、かぶ、にんじん、春菊、みかんなどです。

魚では、春が旬のものは、真鯛、鰹、さより、鰆、めばる、鯵などです。夏が旬なものは、穴子、鮎、鰻、カンパチ、キス、ハモ、スズキなどです。秋が旬のものは、さんま、鰯、太刀魚、にしん、はたはたなどです。冬が旬のものは、あんこう、金目鯛、鱈、フグ、ぶり、ワカサギなどです。

さて、和食は各地の風土に合わせて生み出され、古くから親しまれてきた日本の伝統的な食文化です。もちろん旬な野菜や魚などの食材をふんだんに取り入れています。2013年には、未来に向けて保護・尊重すべき文化であるとして、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。それにより、海外での人気や知名度が飛躍的に高まっています。訪日外国人(インバウンド)にも大好評です。ファストフードもたまには良いでしょうが、健康でおいしい和食の文化をそれぞれの家庭の食卓にもっと取り入れることが大切だと思います。

うまい、安い、早い!! ~車の修理の事例から顧客満足について考えてみました~

インフルエンザがそこかしこで、その猛威を振るっています。新年早々、わが家族にも襲いかかりました。元旦の日に娘が、3日から妻が、そして4日には私とさながらリレーのごとく体調を崩しました。近所の医療機関で受診すると同じような患者がたくさんいました。余り体調を崩すことはありませんが、このたびは3日間床に伏せってしましました。

さて話は師走に遡ります。「ああ!またやってしまいました。」私は車の運転が不得手です。自宅のガレージを出ようとしたところ、ハンドルを左に早く切りすぎて、車の左後ろ付近をこすってしまいました。この日は午後7時から用事がありました。決して慌てていたわけではありません。おそらく注意散漫になっていたのでしょう。わが家でガレージでのことなので誰にも文句は言えません。翌朝、明るくなって車を見てみると左後輪の前の部分が大きくヘコんでいることがわかりました。私の気持ちも大きくヘコみました。

直ぐにディーラーで、この修理の見積もりを依頼しました。修理代金は約19万円でした。想定していた金額の倍の金額でした。午後、知人の紹介の修理工場でも見積もりをしました。どうやら私の車は特殊な塗装がされているようで、その仕様だと見積金額は約18万円、普通の塗装だと約14万円でした。修理には、2週間かかるとのことでした。週明けに返事をすることにしました。

たまたま次の日曜日に、友人宅で用事があり、その友人にぼやいたところ、「自分のいとこが修理工場をやっている。安くて、腕も確か、連絡してあげよう。」と行ってくれました。月曜日に修理工場に行くと、これなら10万円以内でできますと言われたので、正式な見積書をとらずに依頼をしました。ついでに、前から気になっていたフロントガラスについた小さな傷(おそらく小石が飛んできてできたもの)の補修も依頼しました。修理には1週間必要と言うことでした。見積もりをとった修理工場にはお断りの電話をしました。

その週の金曜日の夕方連絡があり、修理ができたとのことでした。次の週の月曜日にできあがると思っていたので、すごく早く仕上がりました。車を取りに行くと、修理は完璧にできていました。修理代金は、追加の修理代金と合わせ消費税込みで88,000円でした。

この修理工場の修理は「うまく」、値段も「安く」、修理も「早い」でした。まるで牛丼の「吉野家」のキャッチコピー「うまい、安い、早い」を地で行ったような私にとってすごく満足感がありました。

さて商いの本質は、その製品・商品・サービスが「うまい」は顧客の想定を超えて満足がいくものを提供すること、「安い」は絶対的な値段の安さではなく、コスパがいいこと、「早い」は顧客の期待以上の納期の早さだと考えます。いずれも、顧客を重視の目線です。

「吉野家」はかつてそのキャッチコピーは「早い、うまい、安い」でしたが、2000年代に「うまい、安い、早い」となり現在に至っています。ちょっと順番が変わっただけのようにも見えますがこの順番が大事だと言えます。「うまい」つまり、顧客満足を最優先にした現れだと思います。企業経営の原点がここにあるのではないでしょうか。

核兵器廃絶は待ったなしの課題です!!~ノーベル平和賞を機に大きなうねりを作る必要があります~

2024年を振り返ると、自民党による企業・団体献金の「抜け穴」である政治資金パーティーを利用しての多額の裏金作りと、その後に発覚した総選挙における政党助成金2,000万円の「裏公認料」の支出が明らかになりました。

その結果10月27日に投・開票された総選挙では、自公連立政権が過半数割れをしました。この問題は、さらに追求して真相を明らかにしなければなりません。しかし政治は着実に民意で大きく変わろうとしています。

明るいニュースは、2024年のノーベル平和賞に、被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会が受賞されたことです。核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが受賞理由となっています。日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元総理大臣以来、50年ぶりです。

ノーベル平和賞の授賞式が12月10日ノルウェーの首都オスロで行われ、メダルと賞状が授与されました。演説を行った代表委員の田中熙巳さんは「直ちに発射できる核弾頭が4,000発もある」「核のタブーが壊されようとしている」「人類が自滅することがないように、核兵器も戦争もない社会を求めてともに頑張りましょう」などと訴えました。さらに田中氏は原稿にはなかった「原爆で亡くなった死者に対する償いを、日本政府は全くしていないと言う事実をお知りいただきたい」との言葉を繰り返しました。

田中氏ら3人は、授賞式の翌日ノルウェーのストーレ首相と面会し、「日本政府が私たちの声に十分に耳を傾けているかと言えばそうではなく、日米同盟の中で核兵器禁止条約にすら署名も批准もしないという態度を持ち続けている。核戦争被害国と言っている日本が先頭に立たないといけないので、帰国後、政府に対してまず核兵器禁止条約を固めて、最終的には速やかに核兵器をなくすまで指導性を発揮するよう要請したい」と述べました。

いま、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続き、プーチン大統領は核兵器の使用の可能性をちらつかせて威嚇しています。国連のグテーレス事務総長は「かつては考えられなかった核兵器を使った紛争がいまや起こりうる状況だ」と強い危機感を示しました。

こうした流れを食い止めることこそ、唯一の被爆国である日本の役割であり責任でもあります。たとえアメリカの核の傘の下にあってもそれは変わりません。政府は核兵器禁止条約の締結国会議へのオブザーバー参加を含め、より積極的で実効的な一歩を踏み出すべきでしょう。核兵器廃絶は待ったなしの課題です。

ところが、現在のところ石破茂首相に、唯一の被爆国の首相として、核廃絶への責任を担う意思がうかがえないことは甚だ残念です。

一方で世論調査会では、核兵器禁止条約に日本が「参加するべきだ」とした人が6割を超えています。今、政治の力関係が大きく変わりつつあります。ノーベル平和賞の受賞を力に、さらに世論を喚起して、核なき世界、戦争なき世界の実現のために、思想や信条を乗り越えて、日本が果たすべき役割を実行に移す年に2025年がなればと切に願っています。

経営理念とともに歩み続ける総合会計~事務所の発展はその質と量のバランスにあります~

年に二度開催している事務所の総会は経営理念の唱和から始まりました。総会には4カ所ある事務所のすべてのスタッフが参加します。改めてその経営理念を紹介します。

 

一、納税者の権利を守り、中小企業と国民を大切にする税制の実現をめざします

一、地域とそれを支える中小企業の繁栄のため、税務・会計・経営のエキスパートになることをめざします

一、みんなで創造し、みんなで成長しあえる、働きがいのある事務所をめざします

 

まず、本日のグループ討論のテーマが、「就業規則」の改定であったことは、経営理念の3番目の「みんなで」というキーワードに該当します。各グループで発表した意見について、直ぐに予算・人事委員会などが対応し、来月までに成案を作成することになりました。

中村代表の全体総括ならびに方針案の(1)の「ワンストップで経営相談ができる総合型会計事務所を目指します」は、総合会計のネーミングと同時に経営理念の2番目です。

方針案(2)の「総合会計の成長を後押しする『強い組織』を目指します」は、経営理念の3番目と合致しています。「経営委員会」に代わり、新たに「管理・運営委員会」「予算・人事委員会」「採用・研修委員会」の三委員会を立ち上げて事務所を運営していくと同時に、労働検討委員会でスタッフの声を聞く組織は、経営理念の3番目に合致します。

方針案(3)の「未来志向の『提案サービス』ができる事務所を目指します」は、経営理念の2番目です。関与先の成長は、スタッフの成長と事務所の成長につながります。

方針案(4)の「専門チームの設置を目指します」は、経営理念の2番目に沿うものです。税務調査を主に担当している熊野所長の「税務調査に強い事務所」と言う発言は経営理念の1番目です。社労士法人の三藤代表の「相談しやすい雰囲気を創る」は経営理念の3番目です。総括や方針、それぞれの発言などが経営理念に密接につながっています。

閉会挨拶で私は、まず「業務の質」について話しました。仕分け入力をしているスタッフに尋ねました。A さんは「上司に言われてしているんですよ」Bさんは「決算書を作るためにしているんですよ」Cさんは「入力を早く正確にすることで事務所の生産性を上げると同時に、その結果を顧問先の社長と共有し、その会社の未来を語るんです」と答えました。携わる仕事の目的や意味を理解するのとしないのでは、自ずと業務の質は変ります。

次に、事務所の発展について話しました。スタッフに尋ねました。総合会計をどんな事務所にしたいの?Dさんは、「県内で一番の事務所にしたいんです」と答えました。これは量の課題です。Eさんは「世界一の事務所にしたいんです」と答えました。これは質の課題です。私たちにとって大事なことは、量を追求しながら質の向上を図ることで、しかもそれをバランス良く追求することが何より大事です。

最後に、苦戦をしている税理士試験のことを問題提起しました。事務所の安定的な成長と発展をするには、資格の取得は不可欠です。事務所の方針に位置づけることが大事です。

回を重ねるごとに、総会が充実しています。経営理念とともに事務所は発展しています。

選択的夫婦同姓を考える~早期実現は多くの国民の願いです~

選択的夫婦別姓は、婚姻関係にある夫婦が別姓を望む場合に、同姓・別姓のいずれかを強制するのではなく、改姓するかどうか(結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を称するかどうか)を自ら決定する選択の自由を認めるものです。

最近の各種世論調査において選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する割合は、反対の割合を大きく上回っています。朝日新聞の世論調査(7月22日付)では制度導入に「賛成」とこたえたのは73%、自民党の支持層でも64%にのぼっています。地方議会においても、国に対して選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書を採択する動きが加速(今年10月現在426件)しています。

経団連も10月1日、「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるシンポジウム」を開催しました。選択的夫婦別姓をめぐっては、経団連は6月18日に提言「選択肢のある社会の実現を目指して~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える」を公表しています。

女性への差別撤廃を目指す国連の委員会は、ジェンダー平等に向けた日本政府の取り組みに対する見解を発表し、夫婦が同じ名字にすることを定めた日本の民法について、改正を求める勧告を出しました。国連の委員会が夫婦同姓を定めた民法について勧告を出したのは、今回で4回目です。

かつてない世論の高まりを前に、自民党総裁選で制度導入に「選択的ということなんだから、それを拒否する必要はない」と積極的な姿勢を示していた石破茂氏も、首相就任後は、国民の間にさまざまな意見があるということを理由に「さらなる検討を」と慎重姿勢に転じてしまいました。

そもそも、自民党はなぜ反対を続けてきたのでしょうか。それは保守派の強い反発があるからです。その背景には「日本会議」があります。日本会議は、美しい日本の再建と誇りある国づくりを掲げ、政策提言などを行う民間団体です。その主張は、「家族の一体感を損なう」などです。そこには古い家族観・価値観に固執する姿勢があります。

世界で夫婦同姓を義務づけているのは日本だけです。民法は婚姻時に「夫又は妻の氏を称する」と定めていますが、改姓をするのは現在も95%が女性です。姓を選択する権利が事実上否定され、改姓や旧姓の通称使用による不便や不利益の多くが女性に押しつけられています。

氏名は個人の人格の象徴です。姓を変えることはアイデンティティーが奪われると感じるなど個人の尊厳を脅かしています。そのため、夫婦同姓でなければ結婚できない現行制度は「法の下の平等」「婚姻の自由」をうたう憲法に反するとして、多くの訴訟も起こされてきました。

世の中の流れは明らかです。石破氏は所信表明演説で冒頭、「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が真摯に政策を協議し、より良い成案を得ること」と述べました。選択的夫婦別姓が建設的な論議を通じ早期の実現ができることを切に願います。

いつやるか?今でしょう!~物価高に最も有効な政策は何かを徹底的に論議すべきです~

解散総選挙が終わって1ヶ月が経ちました。少数与党となった自民党や連立を組む公明党にとっては非常に厳しい政局にならざるを得ません。自民と立民の国対委員長が会談し、17の常任委員長のポストのうち、8つを野党側に割りあてることで合意し、さらに政府の予算案を審議する予算委員会の委員長ポストを、野党第一党の立民に割りあてることでも合意したからです。野党議員が予算委員長を務めるのは1994年以来、30年ぶりです。

緊迫した情勢の中だからこそ、各党が選挙戦で公約したことをしっかりと議論し、物価高で疲弊した国民生活が良くなるようにしのぎを削って欲しいと国民は願っています。

先の総選挙の経済・税制の政策の主な概要は以下の通りです。

自民…電気・ガス料金・燃料費高騰対策とあわせて、物価高騰の影響を受ける事業者や低所得者、地方などに寄り添った物価高への総合的な対策に取り組む。

立民…「分厚い中間層」の復活に向けて、最低賃金を1500円以上に引き上げ、適正な価格転嫁などによって労働者の賃上げを実現する。

維新…成長のための税制を目指し、消費税や所得税、法人税の減税を行う。消費税は8%とし、軽減税率制度を廃止する。

公明…物価高の影響が大きい低所得世帯や年金生活者に対し、生活支援として給付金を支給する。電気・ガス料金、ガソリンなど燃料費への支援を続ける。

共産…最低賃金を時給1500円以上に速やかに引き上げ、地方格差をなくして全国一律の最低賃金制を確立する。消費税廃止を目指し、当面、緊急に税率を5%に引き下げる。

国民…「令和の所得倍増計画」を実現するために、増えた税収を還元し、国民の手取りを増やす。実質賃金がプラスになるまでの間、時限的に消費税を5%に引き下げる。

れいわ…消費税は廃止し、消費税の「インボイス制度」も撤回する。最低賃金を全国一律で時給1500円とし、介護・保育現場で働く人の給料を月額10万円引き上げる。

社民…大企業の内部留保に課税し、消費税の税率を3年間、ゼロ%にする。労働者の賃上げを大幅に行う。最低賃金を全国一律で時給1500円に引き上げる。

参政…骨太の方針を改め、プライマリーバランス=基礎的財政収支の黒字化目標を撤回し、積極財政による経済成長を実現する。消費税減税や社会保障の最適化を行う。

各党の公約の1丁目1番は物価高対策です。低所得世帯に対する給付金の支給、賃金の引き上げや最低賃金の1500円への引き上げ、消費税減税などが上げられます。

選挙の結果、大幅に議席を伸ばした国民民主党が経済政策のキャスティングボートを握っています。最大の争点は基礎控除等を103万円から178万円に拡大できるかどうかです。

私は、所得税の基礎控除を大幅に増加させることには賛成ですが、累進税率の引き上げをして高額所得者への課税強化をすべきだと思います。すると税収不足も解消されます。

しかし、何より物価高に有効なのは消費税の減税です。逆進性の問題を緩和でき、あまねく消費者がその便益を享受できます。景気も上向きます。いつやるか?今でしょう!

デジタルディバイドを拡大させる収受印押なつの廃止方針に異議あり~納税者サービスを後退させる国税庁に反対の声上がる~

国税庁のHPによると、『国税庁は令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わない方針です。』としています。

その趣旨は要約すると、『国税庁においては、政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を踏まえ、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直しを進めているところです。

令和4年度のe-Tax利用率は、所得税申告で65.7%、法人税申告で91.1%に達しており、今後もe-Taxの利用拡大が更に見込まれるので、国税に関する手続等の見直しの一環としての措置です。』としています。

では、紙で提出している、個人で約3分の1、法人で約1割の納税者はどうしたらいいのでしょうか。国税庁は、『書面申告等における申告書等の提出(送付)の際は、申告書等の正本(提出用)のみを提出(送付)していただきますよう、お願いいたします。申告書等の控えへの収受日付印の押なつは行いませんが、必要に応じて、ご自身で控えの作成及び保有、提出年月日の記録・管理をお願いいたします。』としています。

つまり納税者の自己責任での管理を求めています。確定申告の内容を証する公的な書類が必要な場合はどうしたらいいのでしょうか。次の方法がありますが、いずれも納税者の時間と費用が発生します。①申告書等情報取得サービス(オンライン請求のみ)…マイナンバーカードが必要。②保有個人情報の開示請求・・・有料で300円(オンラインは200円)、取得に1ヶ月程度かかり、法人は使えません。③税務署での申告書等の閲覧サービス・・・閲覧先は税務署窓口のみ、写真撮影は可、申告当日は対応しない。④納税証明書の交付請求・・・有料で税目ごとに1年度一枚につき400円(オンライン申請は370円)となっています。

税理士会もこの国税庁の方針に異を唱えました。その反対に対して国税庁は、当初令和6年4月と予定をしていた実施期限を、令和7年1月と9ヶ月延長をしました。

多くの反対の中で、国税庁の方針に柔軟化がみられます。令和7年1月以降、当分の対応として、窓口で交付するリーフレットに申告書等の提出を収受した日付や税務署名を希望者に渡すというものです。そんなめんどうなことをするなら、従前通り収受日付印の押なつの対応をすればすむことです。ほかの省庁では、収受日付印押なつは継続するのに国税庁だけが異例の方針を決めています。

インターネットやパソコン等の情報技術を利用できる人とできない人との間に生じる格差をデジタルディバイドと言います。利用の格差は、高齢者、低所得者、ひとり親層、単身者に多いと言われています。省庁の中でも総務省は、インターネットにアクセスできないことで生活に必要なサービスにアクセスできず、負の連鎖を生むことを懸念しています。

そうした中で、国税庁が今般の収受日付印押なつの廃止措置により、e-TAXに半ば強制的に誘導することは総務省の考え方に反すると言わざるを得ません。大いに異議ありです。

SNS社会、同じ過ちを繰り返してはいけません!!~関東大震災と福田村事件の歴史を振り返って~

「防災の日」は、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波などの認識を深めて備える日で、毎年9月1日に設けられています。1960年に、災害を未然に防止し、被害を軽減する目的で制定されました。「防災の日」が9月1日に制定されたのは、1923年9月1日に未曾有の大被害をもたらした『関東大震災』に由来しています。

その巨大地震により、東京府(当時)を含む関東地方は最大震度7の地震に見舞われ、死者10万5千人、家屋全半壊21万棟、地震関連の家屋焼失21万棟を記録しました。

その混乱の中、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人や社会主義者が暴動を起こした、放火した」などのデマを妄信した官憲や自警団などが、関東各地で多数の朝鮮人、社会主義者、無政府主義者を殺傷した事件が発生しました。日本人や中国人も誤認により殺傷されました。現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」でも、関東大震災での朝鮮人虐殺にふれた場面がありました。その被害者は1,000人とも6,000人とも言われていますが、その数は判然としません。過去から学ぶために、しっかりと調査すべきです。

家電メーカー・シャープの創業者である早川徳次氏は「朝鮮人従業員の一人が亀戸の自宅を訪ねてきた。そこに町内の連中がやってきて『朝鮮人はいるか?いたら殺すぞ!』と。私は何も悪いことをしていない人を突き出すわけにはいかない。動揺した家族に口止めして彼をかくまった。街で朝鮮人が殺されるのを目撃したこともあった。歩きながら殺される人もいた。しかし、それを止めようとしたらこちらが殺されると。」と証言されています。

ところで101年前の9月6日、千葉県福田村(現野田市)で「福田村事件」は起きました。朝鮮人に対する流言蜚語がこの村でも飛び交い、香川県からやってきた薬売りの行商団に、緊急勅令で急遽結成された自警団は日本人かどうか疑念を抱きました。村の巡査が本署に行って確認してくると行って出かけた間に事件は起こりました。地元自警団をはじめとした群衆は行商団を取り囲み興奮のるつぼと化しました。エスカレートした彼らには、行商団の話す讃岐弁がよく理解できず、朝鮮人だと思い込み、15人のうち幼児や妊婦を含む9人を竹やりや鳶口(とびぐち)日本刀などで殺害し、利根川に捨てました。

この歴史に埋もれていた事実を映画化したのが映画「福田村事件」です。放映は昨年9月1日、100年前の関東大震災の日に放映されました。この映画を是非見たいと思っていたところ、マイナーな映画だったので都会の限られた映画館でしか上映はされませんでした。ところが、最近ふとネットでこの映画の検索をしていたらU-NEXTで見られることがわかりました。直ぐに登録して見ました。被害者目線でなく、ごく普通の人も加害者となりえるという視点でこの映画は作られています。

「流言蜚語=確証のないうわさ話、根拠のない扇動的な宣伝、デマ」は100年後のSNS社会でさらに大きくなっています。SNSの匿名性は誹謗中傷、差別的発言の温床になりかねないことから、実効性のある対策が講じられるべきではないでしょうか。私たちは、同じ過ちを繰り返さないよう、歴史に学ぶべきです。

防衛費の増加分は災害対策へ回すべきでは!!~戦争は最悪の人災です~

台風10号は、非常にゆっくりと日本列島を縦断して、多くの被害を発生させました。今度の台風10号は、台風の進路とその周辺だけでなく、東海地方や首都圏などでも大雨をもたらし、新幹線などの交通機関にも大きな影響を与えました。

プロ野球も屋根付きの名古屋のバンテリンドームでの試合が中止になりました。9月1日にKDDI維新ホールで開催が予定されていた「NHKのど自慢」も中止になりました。

ところで、災害には自然災害と人為災害があります。日本は自然災害が大変多い国です。古くからの格言に「地震・雷・火事・親父」というものがありますが、親父の由来といわれる説の一つに、台風説があります。昔の台風は『大山嵐(おおやまじ)』『大風(おおやじ)』と呼ばれていました。いつしかこれが親父に変化した、というのが台風説です。

自然災害のうち、地震は最新科学でも予知は不可能ですが、南海トラフ地震は今後30年のうちに70~80%の確率で、また、首都直下地震も今後30年のうちに70%の確率で起こると言われています。台風の、進路予想などの分析はできるようになりましたが、この台風に関してはままならなかったというのが実情です。いずれにしても、防災や減災は必須です。政府や地方自治体にできることは十分に予算を確保してさらに積極的に実行すべきです。まだ成すべき対策はあります。個人でも防災グッズの準備を含めて、対策が必要です。

一方で、人為災害には、戦争(紛争を含む)、公害、労災事故、交通事故などがあります。これらのうち公害は未然に防ぐ余地があります。労災事故、交通事故などもその発生を極限まで縮小できます。しかし、戦争を未然に防ぐには自ずと限界があります。

戦争は国際法上、一方の宣戦布告によって戦争状態となり、どちらかが負けを認めるまで続きます。しかし戦争にもルールがあります。世界的な戦争ルールの整備の先駆けとなったのが「ジュネーブ条約」です。1864年に赤十字国際委員会が提唱したものです。幾多の改訂と追加を経て、第二次世界大戦後の1949年に全面的に見直されました。2019年現在、世界196ヶ国と地域が批准しています。ロシアやイスラエルも批准しています。

その内容は、非戦闘員・施設の保護、捕虜の殺害の禁止、捕虜等への拷問又は非人道的行為の禁止、病院や救命隊員の保護、非戦闘員への避難径路の確保・提供、非戦闘員・負傷者等の人道支援物資入手の権利、使用兵器による過度な損失・苦痛の禁止です。

ところが、ウクライナでは捕虜や市民への拷問や虐待が確認されて、民間施設(病院、学校、原子力発電所にまで)への攻撃が頻発しています。中東でも子どもら大量の民間人が犠牲になっています。いったん戦争が起こると、もはや収拾がつかないのが現実です。

政府の概算要求が8月末に出そろいましたが、防衛費は今年度当初予算を約6千億円上回る約8.5兆円になりました。朝日新聞の9月1日の社説でも「膨張への一途 持続可能か」という見出しで、批判的な内容を掲載しています。防衛費は、「国を守る」ためのものです。同じ国を守る観点で言えば、「国防」より「防災・減災対策」です。「国防」は外交努力によって成すべきです。いつまでも米国の言いなりになることは人為災害を招きかねません。

金融所得や金融資産に課税強化を!!~次期首相は格差の是正を責務とすべきです~

 

岸田文雄首相は終戦記念日の前日の14日、唐突に記者会見をし、9月の自民党総裁選に出馬しない意向を明らかにしました。マスコミは自民党の派閥裏金事件を受けての退陣と報じています。早くも二桁の議員が次期総裁に「我こそは」と立候補を表明しています。

しかし、岸田首相はその任期内にせめて国民の多くがその真相を知りたがっている、統一教会問題や自民党の裏金事件を彼のお得意の言葉である「丁寧な説明」をしてからその身を引いてほしいものですが、その意思も気迫も今の彼にあるとは思えません。

さて、厚生労働省が7月に発表した2023年度の国民基礎調査によると、22年の1世帯あたりの平均所得金額は524万円と前年比3.9%減少し、21年の3.3%減に続くマイナスでした。相対度数分布(ある階級の度数における全体に対する割合を表すもの)では、平均所得金額以下の世帯数が62.2%で、300万円未満の層が36%を占めます。つまり、富が「富裕層」に偏在していることを示しています。また、23年7月時点での生活意識への問いでは「苦しい」の回答が59.6%と22年の51.3%を大幅に上昇しています。

一方、野村総合研究所が23年に発表した21年を対象にした推計によると、純金融資産(保有している預貯金や株式、債券などの金融資産の総額から負債を差し引いた金額)が1億円以上の「富裕層」、5億円以上の「超富裕層」は合計148.5万世帯で、全世帯の2%台を占めています。日本証券業協会が23年に発表した調査によると、日本の総人口に占める個人株主の割合は22年度で11.9%に過ぎず、年齢階層別では、60歳以上の合計が4割強となっています。生活資金にゆとりのある一部の人が投資で恩恵を受けています。

政府は新ニーサを24年から始めました。比較的若い中間層に老後資金を意識させる仕組みです。この制度は、非課税期間が無期限なことから、長期運用に適しています。一般的に運用期間は長期になるほどリターンが安定するとされています。

岸田首相は、前回の総裁選挙で新しい資本主義と言う概念を打ち出し、金融所得課税を表明していましたが、株価の低迷で腰砕けになっていました。

もとより非課税枠の増大と金融所得課税はワンセットと言われていました。新ニーサが創設されたことで、金融所得や金融資産(相続税における金融資産に対する課税)に対する課税強化の土俵ができあがりました。

アベノミクスで様々な部面で格差が広がりました。労働市場における正規雇用と非正規雇用、都市と地方、基地がどんどん拡大している沖縄、教育の質、高齢者とひとり親世帯の相対的貧困率などです。

3分の1の世帯が年収300万円未満で生活し、6割の国民が生活実感を「苦しい」と答えています。憲法第25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としています。次期総理は、経済格差を真正面から受け止め、すべての国民が平和で豊かな暮らしを享受できるようにする責務があると思います。

いかなる暴力も許されない!!~平和こそ人類が求める最大の英知ではないでしょうか~

トランプ氏がペンシルベニア州で7月13日に開かれた集会で、演説開始直後に右耳に銃撃を受け、その場で容疑者は射殺されました。米連邦捜査局(FBI)は、暗殺未遂事件として捜査していますが、いまだ容疑者の犯行動機や思想を特定できずにいるようです。

大統領選への立候補予定者を暴力で抹殺しようとする事件が起きたことに、米国社会で激しい衝撃が広がっています。安倍元総理の銃殺事件を彷彿させるものでした。いかなる理由があったとしても、このような卑劣な暴力行為は断じて許されるものではありません。

その2日後の15日、ミルウォーキーで開催された共和党大会が開催されました。全米から集まった参加者は口々にトランプ前大統領の名を叫び、自分たちの大統領候補決定に熱狂しました。この大会でトランプ氏は共和党の候補者として正式に決定をされます。

さて、このトランプ氏の言動にも問題はあります。7月15日の日経新聞では「3月の集会で、自身が敗北したら『この国が血の海になるだろう』と話していた。」「4月公開の米誌タイムのインタビューで、大統領選で自身が勝利した場合、議会襲撃事件で訴追された支持者への恩赦を『必ず検討する』と明言した。」と報じていました。

米国には現在、約4億兆丁の銃があると推定されているそうです。 米国は世界でも有数の裕福な国にも関わらず最も銃による殺人の死亡率が高い国です。前述の日経新聞は「米誌ニューヨーク・タイムズによると、米シカゴ大学の6月の世論調査で回答者の10%がトランプ氏の大統領就任を阻止するために『暴力は正当化される』と答えた。このうち3分の1が銃を所有していたという。」「トランプ氏が大統領に返り咲くために『暴力を支持する』と答えた人も7%いた。このうち半数が銃の所有者だった。」とも報じていました。

ことを世界に向けるとさまざまな国や地域で、いまなお戦争や紛争が起きています。それにより、多くの人が亡くなり傷ついています。また多くの難民の発生や食糧不足、貧困などの様々な重大な問題を引き起こし、人々の生活はどん底に陥っています。

さて、日本国憲法第九条は、次のように規定しています。『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』と「平和主義」を高らかに宣言しています。その中身は「戦争をしない」「武力を持たない」「交戦権を否定」です。平和こそ人類が求める最大の英知ではないでしょうか。

自衛隊が、陸海空軍その他の戦力に当たるかどうか議論が分かれるとことですが、私は違憲だと思います。国を守ることは必要ですが、それは武力ではなく、外交努力により解決すべきです。日本は唯一の核被爆国として、1971年に核兵器を「持たず、作らず、持ちこませず」という「非核三原則」を国会で決議しました。

これを援用して、世界中であらゆる武器を「持たず、作らず、持ちこませず」を高らかに宣言したらどうでしょう。間違いなく憲法9条は「ノーベル平和賞」を受賞できます。

中国電力は電気料の値下げをすべきです!!~山口県はモノ言う株主になるべきでしょう~

6月後半は上場会社(3月決算法人)の株主総会のラッシュです。2024年6月26日に中国電力の第100回の株主総会定時株主総会が開催されました。この株主総会は、広島市中区の同社本店で246名の出席者が決議を行いました。決議は会社の提案とおりでした。

営業収益は、電気料金の値上げを行ったものの総販売電力量の減少などの要因で、1兆6,287億円と前年度に比べ658億円の減収となりました。しかし営業利益は、2,067億円と前年度に比べ2,756億円の増益となりました。また、支払利息などの営業外損益を加えた経常利益は1,940億円と前年度に比べ3,008億円の増益となりました。経常利益、純利益ともに過去最高となり4年ぶりの増益となっています。売上高対経常利益率は11.9%、総資産は2.31%増の4兆1,332億円、株主資本は31.51%増の5,508億円、利益剰余金は56.89%増の3,642億円と絶好調です。

2024年はじめの電気料金は変動が少なく安定していましたが、5月に再生可能エネルギー発電促進賦課金の増額によって値上がり。加えて政府の電気・ガス料金に対する補助の適用が6月請求分で終了となったため、7月請求分の電気料金はさらに高くなることが見込まれます。世帯平均で中国電力は783円増の15,444円となる見込みです。

ただし、政府は8月使用分から3か月間補助金の再開を行うことを決定しました。この措置は岸田内閣の支持率を上昇させるための方策だと識者は指摘しています。

したがって、9月請求分(8月使用分)の電気代は値下がりする予定です。政府からの補助金が終わり、燃料価格の上昇などの要因で今後年末にかけて、さらに値上がりするのではという見方も出ています。

政府の補助金がいくらなのかは定かではありませんが、そもそも過去最高益を計上している会社に、補助金を出す必要があるのでしょうか。少なくても補助金なしでも値下げは可能だと思います。政府は電力各社とまともに交渉をしたのか甚だ疑わしい限りです。中小企業の多くは、コスト分上昇を価格転嫁することが極めて困難な状況にあります。

山口県の対応も問題です。実は、県は中国電力の大株主です。なんと約3,400万株8.78%を保有して第2位の大株主です。株価は2024年7月8日現在1,014円なので、保有時価総額は約344億円です。ところが、県は2013年以降株主総会を欠席し、議決権行使書は白紙提出する対応を続け、事実上経営方針に賛成をし続けています。株は県民の共有財産です。県民の暮らしを少しでもよくするために電気料金の引き下げ要求するモノ言う株主になるべきです。

景品表示法違反にあたるとして、消費者庁は課徴金としては過去最高額の16億5,600万円を求めた不祥事について、また同様に、事業者向けの電力販売をめぐり関西電力との間でカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会から707億円の課徴金納付命令を受けた不祥事について、その経営体質についての言及が必要でした。

何より、上関への原発と中間貯蔵施設の建設について、この地震大国に本当に原発が必要かどうか広く県民の声をよく聞いて、意見表明をすべきです。問題を先送りすればするほど住民の分断は広がります。

豊かさとは何か~今必要なのは、自己肯定感、人権そして相互承認!!~

 

2024年6月21日付けの朝日新聞、オピニオン&フォーラムに暉峻 淑子(てるおか いつこ)先生へのインタビューが載っていました。11面5段の紙面を使っての特集でした。

先生が一躍脚光を浴びたのは岩波新書から出版された「豊かさとは何か」でした。ちょうどバブルの最盛期1989年に出版されました。

その内容は、『 モノとカネがあふれる世界一の金持ち国・日本。一方では、環境破壊、過労死、受験競争、老後の不安など深刻な現象にこと欠かず、国民にはゆとりも豊かさの実感もない。当時の西ドイツでの在住体験と対比させながら、日本人の生活のあり方を点検し、真に豊かな社会への道をさぐる。』と言うものです。

実は先生とは、曰くがあります。総合会計を開業して程なく、新入職員向けの独習文献にこの本を指定しました。中学生時代につらい目に遭い、自らの進路に思いあぐねていた二女に、この本を手渡すとものすごく興味を持ち、未来へ一筋の光明が見いだされました。

私は先生の自宅の住所を調べ、早速、彼女は先生に長い手紙を出し、先生からの返事が来ました。先生のアドバイスは「大学でドイツ語専攻したら」という内容で、それを機にがむしゃらに勉強を始め、とうとう大阪外大ドイツ語学科に進学することができました。先生が大阪で講演されたときには、わざわざ出向き、控え室で先生と直接話す機会を得て、勉強のモチベーションを高めました。今でも先生とはメールで繋がっているそうです。

先生は96歳ですが、バリバリの経済学者です。朝日新聞のインタビューには、いつも怒っておられますね、という質問に「私は日常生活の中では、決して怒りっぽい人間ではありませんよ。しかし、人権や民主主義を踏みにじり、ないがしろにする政治を承認できますか。貧困化してフードバンクの列に並ぶ人々がいるのに、一方で政治家たちは何億のカネを裏金にして私物化する。子どもの義務教育の場がブラック企業のような労働現場になっているのに、ほぼ放置したまま。どうして起こらずにいられますか。笑ってみていなさい、という方が不自然ではないですか」と答えておられます。

「バブルが自信過剰の絶頂期だったとすれば、いまは逆に、自信喪失の時代です。でも変わっていないものもあります」と続けられ、具体的には「例えば、労働時間は相変わらず長く、社会保障も削減される一方です。新自由主義によって非正規労働が広がり、フリーランスや、ギグワークなど生活の計画を立てられない働き方が多くなりました。偏差値重視の教育もそう。私たちの意識の画一化、つまり権力持つものになびきやすいという特徴も変わっていません」と指摘されています。

「10年近く『安倍一強』が続く中で起きた民主主義の毀損は、今も回復されていません」その流れを変えるには「多くの人が、社会参加し、そこに連帯が生まれれば、恣意的な権力を止めることができると信じています」と締めくくられています。

この記事のタイトルになっている「誰もが自己肯定感,他者の人権を考える、相互承認を起点に」は実に素晴らしく、多くの人々がこの感覚を持てば社会は変わるでしょう。

年金の改定について思うこと ~公的年金の引き上げで経済の好循環は生まれます!!~

今年の6月1日付けで厚生労働大臣から年金改定通知書が送付されてきました。

公的年金の支給額は、物価と賃金の変動に応じて毎年度改定され、厚生労働省は、今年4月からの新年度は、去年の物価上昇率が3.2%、過去3年間の名目賃金の上昇率が3.1%となったことを受け、2.7%引き上げると発表しました。

引き上げは2年連続で、伸び率はバブル経済の影響があった1993年度以来で最も高くなりました。しかし、将来の給付水準を確保するため、物価や賃金の伸びよりは低く抑えられていて、実質的には目減りとなります。

物価上昇は3.2%ではすまないと思います。どのような手法で物価の上昇率がはじかれたのかわかりませんが、円安の影響などもあり予想以上に物価が上昇し、しかも長期化していることは否めません。特に食料品で非常に値上がり幅が大きく感じられます。

車の使用が必須の地方ではガソリンの値上げは深刻です。また、電気料も7月請求分から中国電力が一世帯平均453円上がって8,514円になります。今年の夏も猛暑が予想され日中症対策としてエアコンの使用が呼びかけられている昨今です。頭が痛いです。

さて、公的年金額は、毎年度、賃金や物価の変動に応じて自動改定する仕組みとなっています。この仕組みがあるため、仮に物価や賃金が上昇すれば、年金も自動的に金額が増えることになります。しかし、盲点になっているのがマクロ経済スライドです。

マクロ経済スライドとは、年金額は賃金や物価の変動を考慮するほか、年金を支える現役人口の減少や平均余命の伸びを年金額に反映する仕組みです。つまり、賃金や物価が上昇すれば年金額は上がる反面、現役人口の減少や平均余命の伸びは年金額を下げることにつながるため、マクロ経済スライドが発動されれば、実際には年金額は賃金や物価が上がるほどは伸びないことになります。2024年度の調整率は-0.4%が適用され、その結果年金改定率は+2.7%になりました。

年金の低さにも驚かされます。国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を支払った人で、1人1カ月6万8000円、厚生年金額は、標準的なモデル夫婦2人で23万483円です。自営業者などで老齢基礎年金だけの受給者は生活できません。諸事情により無年金の人も散見されます。これで、暮らせますか?

日本国憲法第二十五条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としています。

所得税の最高税率の引き上げと金融所得課税の強化、法人税の累進課税化、相続税のうち金融資産に対する課税の強化、住民税の累進課税化、社会保険料と介護保険料の頭打ちの廃止などで歳入を賄い、防衛費の段階的な縮減、不必要な公共事業の見直しなので歳出をカットして、公的年金に回すべきです。年金の増加がそのまま消費に回ります。つまり経済の好循環が生まれるはずです。定額減税と比べ貯蓄になる蓋然性は低いでしょう。