月別: 2018年2月

STEAM(スティーム)から学ぶ~アメリカが近年力を入れている教育方針は~

STEAMとは

Science…科学

Technology…技術

Engineering…工学

Arts…芸術

Mathematics…数学

のそれぞれの単語の頭文字をとったものです。

科学、数学、芸術領域に力を入れる教育方針、教育方法のことです。

元々はアメリカの国家戦略として理数系人材の教育に力を入れる動きが盛んになり注目されました。オバマ大統領が、演説で優先課題として取り上げたことで広まったと言われています。

その背景には、スマホやタブレットなどが飛躍的に普及してきたことによる「論理的思考力の低下」と反対にIT化やAI社会に対応できる理数系の人材の不足から提唱されたのだと思います。

会計事務所業界でも同じで、AI社会の到来で10年後には定形的な作業、例えば記帳、税務申告、また、非常に時間と労力を必要としていた条文と判例の検索と判断などの業務は、無くなるか圧倒的に少なくなるのだろうと思われます。

そこで、必要なのは顧問先様や相談者などの琴線に触れるようなスペシャリスト、つまり「困りごと」の解決や10年後の将来を予測できる力を身につける必要に迫られます。ただ、自分がそうだと思うだけではダメで、相手に納得してもらい、それを実行してもらい、軌道修正のアドバイスができる人材が必要になるのです。

けだし、それは「良い教育はチャンスをつかむ必須条件」だと言われています。

次から次に出る新しい真実!~森友問題の張本人が「国税庁長官」で確定申告は乗り越えられるのか?~

すでに昨年の8月18日付けで掲載したブログで、佐川国税庁長官の就任記者会見をしなかった事実や彼の部下である税務の最前線にいる約5万人の税務職員の苦悩、そして納税者が「今こそもの言うことの重要性」を東京新聞から引用し紐解きながら書きました。それから半年を超え、いよいよ国民の一大イベントである確定申告が今月の16日から始まります。

この間、安倍首相は「国民が納得してくれるように親切でていねいな説明をする。」と言葉では発しながら、その疑惑には「だんまり」を一貫して通しています。そういう意味では、「ぶれない」精神力を持った御仁だと思いますが、別の角度で言えば「安倍一強政治」のなせる技だろうと思います。

財務省は3月9日、学園との交渉内容がわかる新たな20件の文書を国会に提出しました。「記録は廃棄した」という答弁は虚偽だったことがますます深まりました。野党の国家での「辞任要求」に対しても、虚偽答弁をした佐川宣寿(のぶひさ)氏の国税庁長官への任命は「適材適所」だとうそぶき多くの国民の怒りを買っています。

ところで私たち税理士の業界新聞に「税のしるべ」というものがあります。その1月8日号に佐川長官に対するインタビュー記事が掲載されていました。氏は、税のしるべの「29年分の確定申告に向けた納税者へのメッセージについて」という問の中で、税制改正で医療費控除の方法が変わることに対し「~医療費の領収書については、確定申告期限等から5年間自宅等で保管していただく必要がありますので、ご留意願います~」と答えています。開いた口が塞がりません。国会での答弁と180度違います。佐川長官の頭の構造はどうなっているのか私みたいな浅学非才な者にはわかるはずもありません。

ところで、2016年3月頃に行われた土地取引の責任者である佐川前理財部長の前任者は迫田秀典氏(いわば実行犯)で、その後佐川長官と同じように、国税庁長官に就任されていました。この御仁は、下関市豊北町出身で、山口高校から東京大学法学部、そして旧大蔵省に採用された超キャリア官僚です。私より二つ若い1959年生まれです。

その後、2017年7月の人事で国税庁長官が佐川氏になるのに合わせて財務省を退職されています。キャリア官僚は自分の同期が事務次官(各省庁の事務方トップ)になったら辞職するという慣例になっているそうです。新しく財務事務次官に就任された福田淳一氏は迫田氏の同期です。その慣例に従って退職されたと思われます。そして、今年の1月8日にTMI総合法律事務所という知的財産権が得意な大規模弁護士事務所(弁護士数は200人を超)の顧問に就任されています。

国会では、佐川長官の虚偽答弁のことはかなり追求されていますが、私は実行犯である迫田元理財局長のことも追求すべきだと思います。そうすると、民間人になった前川喜平前文部科学省事務次官のような答弁が得られるかもしれません。このままでは、「スルリ」と交わされる蓋然性が高いと思います。発想の転換をしてみることも有益かと個人的には思いますが、皆さんはどう思われますか?

安倍総理のお膝元のご当地、下関市の復活の鍵を考える

安倍晋三総理は、東京生まれの東京育ち、本籍は長門市にあるので厳密に言えば直接のお膝元とは言えませんが、選挙区の主たるところが下関市ですので「ご当地」と表記します。

下関市は、かつては鯨をはじめ水産業の基地として発展してきました。1950年からわずか3年ですが、大洋ホエールズの本拠地がご当地にありました。その後、捕鯨禁止になった影響は少なくありませんが、現在もフク(下関では幸福の福にかけてフグと濁りません)の集積地として有名ですし、アンコウの水揚げも日本一です。できれば、国策として、捕鯨の解禁を強く国際的にアピールして欲しいものです。現に、鯨の捕獲をしなくなって生態系に悪影響が出ています。

また、関門国道トンネルができた1958年までは、関門海峡を隔てた門司との連絡港としての役割も果たしていました。また、関門海峡を隔てて隣接する北九州市との関係もあり、工業都市でもあります。

観光資源(旧下関英国領事館、日清講和記念館、赤間神宮、功山寺、城下町長府、唐戸魚市場、海峡ゆめタワー、しものせき水族館、巌流島、角島など)の宝庫でもあります。

現在、下関市の人口は2017年12月で26.6万人となっています。しかし、1市4町が合併した2005年2月には瞬間的に30万人を超えて、同年10月には中核市になりました。現在中核市は、全国で48市ありますが、最近中核市になった人口22.3万人の呉市(2016年)や22.7万人の八戸市(2017年)を除くと26.0万人の函館市(下関市と同時期に中核市となりました)と同規模で下位から4番目です。今後も、少子高齢化の影響で大幅な人口減少が見込まれています。下関市と同じように水産資源と観光が主な産業として成り立っている北海道最南端の函館市と本州最西端の下関市は同じような構造を抱えている典型的な衰退していく地方都市の代表格と言えると思います。

水産業も工業も観光も人口減少と同じで衰退の一途です。商店街はシャッター通りと化しています。

私見ですが、今、日本は東京を中心として2020年の東京オリンピックに合わせるようにインバウンド効果でホテルの確保がままならない状況です。ここ下関も、「旨い魚が食べられる街」「様々な観光が楽しめる街」を全面に出して、国外からも国内からも観光客が呼べるような観光都市になるような街づくりにフォーカス(特化)してはどうかと考えます。しかも、「はこもの」ではなく「おもてなしの心」つまり、ハードからソフトへのパラダイムシフト(劇的な発想の転換)が必要だと思います。そうなると、語学堪能なボランティアガイドの育成や既存の観光資源のブラッシュアップ(さらに磨きをかける)や眠っている観光資源の掘り起こし、交通アクセスの整備など考えることがいっぱいあると思います。

私は、山口市の住人ですが週の内およそ4回は下関に通勤している、いわば「よそ者」かもしれません。ただ、余りにも「もったいない」と考える次第です。

自治体の地方創生が失敗する3つの理由(12月31日掲載)を総括し、下関市に「当てはめ」をすれば、帰結として「観光都市」へのパラダイムシフトが「解」になるのではと考える次第です。

ドイツの付加価値税(VAT)について~現地で見聞して改めて制度の違いを感じました~

年末から年始にかけて、二女が働いているドイツに行ってきました。その文化の違いを体感しましたが、その中でも付加価値税(消費税)のことについて報告します。

標準税率は19% です。軽減税率は7%で、非課税に該当するものがあります。

軽減税率の対象品目 は、食料品、水道水、新聞雑誌、書籍、旅客輸送、宿泊施設の利用等 です。また、非課税のものは、不動産取引、不動産賃貸、金融・保険、医療、教育、郵便等 があります。

注1)食料品は基本的に軽減税率が適用されますので、高級食材のトリフ、キャビア、フォアグラなどが7%の軽減税率となります。また、ペット用のクッキーが7%の軽減税率なのに人間が食べるクッキーは19%の標準税率です。矛盾していますよね。

注2)食料品の中でもチョコレート飲料も標準税率ですし、ハーブティーでも成分によって標準税率のものもあれば軽減税率のものもあります。ドイツ人は内税方式にすっかりなれているので何が標準税率になるのか、軽減税率になるのか意識をしていません。どんなものが標準税率か、軽減税率なのか、非課税なのか、その適用区分についてはカオスな感じです。

注3)水道水は軽減税率ですが、ペットボトルの水は標準税率です。因みにほとんどが硬水の炭酸水です。また、いったんデポジットが加算され、スーパーなどのリサイクルBOXで処分すればデポジットが戻ってくるシステムです。ペットボトルは、ほとんどが1.5リットルなので買い物の際はとても重たくなります。

注4)ホテル代は軽減税率が適用されますが、ベルリンでは別途5%のホテル税が課税されます。他の地域でもホテル税が課税されているところ(例えばドレスデンなど)もあります。

注5) ビールは、0.5リットルの瓶ビールは一本65セント(約88円)前後。これに8セントのデポジットが加算され、瓶を返却するとお金が返ってきます。ビール税も、0.5リットルあたり4.3セント(約6.5円)と格安(ビールの種類、醸造所の規模により幅があります)。日本では0.5リットルあたり約111円。ドイツの約17倍の税金が課されています。ビールは16歳から飲酒が許されています。またアルコール度数が高いワインは18歳からです。因みに、トイレはほとんど有料ですが、その料金は1ユーロ(約135円)が平均です。

注6)何より注目したのが、ドイツでは標準税率が19%で国税収入に占める付加価値税の割合が30%強であるのに、日本の消費税のそれは29%強であることです。もし、税率の引き上げが予定通りされたら、その割合はドイツを超えてしまします。現在ドイツでは、標準税率を引き下げる変わりに軽減税率を廃止するという論調が高まっているそうです。

さて、わが国では来年10月より消費税を10%にし、軽減税率するという既定路線がありますが、消費マインドがあがらない昨今の経済情勢下で増税をすべきかどうか、また、仮に増税しても僅か2%しか差がない軽減税率を適応すべきか大いに論議すべきです。