月別: 2022年1月

時代に取り残されないための30のワード~いなさら聞けない重要単語をひもときます~

「通販生活」というカタログハウス(ユニークな商品を通販で売っている会社で、テレビCMもしています)が刊行している季刊誌の2022年春号にカタカナ語辞典という付録がありました。日常生活で使う「カタカナ」から502語が厳選されています。それを参考に、30の単語を4区分にまとめてみました。

A+(知らないと時代から完全に取り残される)

ICU……集中治療室。大手術後の患者や重傷患者を特別な訓練を受けた医師や看護師が24時間交代で見守り、高度な治療を行う病室のこと。

インフルエンサー……世間に大きな影響を与える人で、芸能人、スポーツ選手、有識者やユーチューバーと呼ばれる人気動画投稿者のこと。

エッセンシャルワーカー……医療・介護、日用品店舗従業員、警察官、消防士、公共交通の運転士、ゴミ収集など社会生活に欠かせない職業に従事している人のこと。

クラスター……コロナなどの疾患が特定の条件下で蔓延する集団感染。

ジェノサイド……ある人種、民族、宗教、思想に属する人々を計画的に絶滅させること。

スクリーニング検査……地域、職場、学校、新生児、妊婦、高齢者などの集団の中から病気の疑いのある人を発見するための検査。ふるい分け試験ともいう。

バズる……短期間で爆発的に話題が広がり、多くの人の注目を集めること。

フェーズ……段階、局面。単位や数字で明確に区切れないが変化するものに使われる。

ボトルネック……障害、支障。円滑な進行や発展の妨げになるものや場所のこと

ポピュリズム……大衆主義。大衆の意見を尊重した政治的主張や政治運動のこと。

A(知るとニュースの理解が深まる)

アナフィラキシーショック……アレルギーを起こす物質が体内に入ることで、急激に発症するアレルギー反応(じんましん、呼吸困難、腹痛、嘔吐など)をいう。

インボイス……商品名、金額、適用税率、消費税額が記載された適格請求書のこと。

M&A……企業の合併・買収のこと。相手方企業の資本や人材、経営手腕などを取り入れ、相互に自社の弱点を補うための手法。

デドックス……解毒・浄化。体内の有毒物や老廃物を排出すること。

パラダイムシフト……一般的、常識的とされる考え方や枠組みが劇的に転換すること。

フードバンク……製造や流通段階で出る余剰品や賞味期限が迫って廃棄される予定の食品を企業などから寄付を受け、必要な人や団体に無償で提供するボラティア活動のこと。

フェイクニュース……主にインターネット上で拡散される、事実とは異なる情報のこと。

プレゼンス……存在、存在感。個人や企業、国家に対して使われ、特にある地域に対して軍事的・経済的に影響力があることを指す。

ベーシックインカム……すべての個人が生活するために必要とする基本的な所得を無条件で現金給付する制度のことをいう。

リカレント教育……社会人になってから再度学校などの教育機関で学び、また社会に出るのを繰り返すこと。社会人の学び直し。

B(知ったら他人に教えたくなる)

EV……電気自動車のこと。ガソリンや軽油などの石油資源を使わず、車に搭載したバッテリーに充電した電気を使って走る。環境に優しい自動車として期待をされている。

クオータ制……政治、行政、企業の組織内で、役職の男女間格差をなくすため、事前に取り決めた一定数を両者に割り当てる制度のことをいう。

ダイバーシティ……多様性のこと。会社の組織管理や人事の分野では、性別・国籍・年齢・宗教などで区分せず、様々な人材を積極的に受け入れようとする考え方を指す。

デカップリング……連動性の強い二つのものを切り離すこと。経済成長や利便性を保持したまま消費エネルギーを減らした状態などのことをいう。

レガシー……遺産、語り継がれる業績のこと。東京オリンピックの時に多用された。

C(知らなくても暮らしに支障はないけど)

アンバサダー……大使、施設、代理人のこと。企業や組織の依頼を受けて商品やサービスの認知度を向上するために活動する人。

イシュー……議論すべき課題、問題点。長期にわたって検討するという意味合いが強い。

オルタナティブ……代替物。他の選択肢。元は二者択一の意味。通称オルタナ。

サステイナブル……環境破壊をせずに維持、継続する経済活動のことをいう。

バイアス……傾向、偏向、先入観、データ等の偏り、思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪みのことをいう。

 

「思いやり予算」新協定で負担増~思いやるべきは米軍ではなく、国民の命と暮らしです~

日米両政府は今月7日、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を開催し、2022~26年度まで5年間の米軍に対する「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)の新たな特別協定に署名しました。政府は17日からの通常国会にこの協定を承認案件として提出し、3月末までの承認をめざしています。

日米両政府は昨年12月21日、「思いやり予算」にかかわる新たな特別協定に基本合意しました。その内容によると、今後5年間の負担総額は、16~20年度より1086億円増の1兆551億円に及ぶ見込みです。

米軍駐留経費負担の根拠になっている日米地位協定は1960年に締結されました。その第24条では、米軍基地を提供するために要する地権者補償などを日本側が、それ以外に生じる全ての維持経費を米側がそれぞれ負担すると規定しています。

しかし、駐留経費の一部を日本が負担する仕組みは、米側の「円高・ドル安」を口実として78年から始まりました。この年は基地従業員の福利費、翌年には米兵用の住宅や学校などの施設整備費なども負担するようになりました。

当時の金丸信防衛庁長官が国会審議で「思いやりがあってもいい」と発言し、以来この負担は「思いやり予算」呼ばれるようになりました。同時に、政府はこれらの支出を「地位協定の範囲内」と拡大解釈をするようになりました。しかし、米国からの負担要求はさらに強まり、解釈では乗り切れなくなったために87年度からは「特別協定」を締結するようになり、現在のように労務費や光熱水費を負担するようになりました。96年からは、訓練移転費までも負担するようになりました。

「思いやり予算」は、90年代まで増え続け、99年には歳出ベースで2756億円にもなりました。さすがに米軍が使うボーリング場やゴルフ場の整備などに対する費用負担は批判の的となり、その後は無駄を削減せざるを得ませんでした。

他方、「思いやり予算」の通称について米国側は、日本による駐留経費負担は当然の「責任分担」であると不快感を示していました。そこで、政府は今回の特別協定から「自衛隊の能力強化へも資する」としてその名称を「同盟強靭化予算」と改めることとしました。おまけに、訓練機材調達費を新設し5年間で最大200億円の負担をすることになりました。

防衛省の試算では、日本政府の米軍に対する在留経費の負担割合は86%で同様の負担をしている韓国の40%やドイツの32%よりも突出して高いことはあまり知られていません。

沖縄や岩国だけでなく各地の在日米軍基地でオミクロン株の大規模な感染が相次ぎ、その地元で住民の感染が爆発的に拡大しました。米軍のずさんな感染防止態勢が明るみなっているにもかかわらず、政府の対応はきわめて及び腰と言わざるを得ません。

政府は社会保障費や教育費など生活予算を削減するばかりか、消費税の増税で国民は塗炭の苦しみを強いられています。米軍ばかりを思いやる政府の姿勢に国民の怒りが噴出するのは当然です。思いやるべきは、米軍ではなく国民の命と暮らしではないでしょうか。

インボイス制度廃止には消費税の減税が最も有効!~総選挙の公約を実現することが喫緊の課題です~

来年(2023年)10月1日からインボイス制度が実施されようとしています。すでに、昨年10月1日よりインボイス制度の登録申請が開始されましたが、その周知がされていないのが現実です。

日本商工会議所の昨年11月10日のアンケート調査によると、インボイス制度への準備状況で、「対応を始めている」と回答して割合はわずか6.4%で、「何もしていない」と回答した割合は59.9%にものぼり、実に92.7%の企業が具体的な対応をしていないことが浮き彫りになっています。

また、昨年10月11日号の納税通信では「内容を知っている」「対応を検討している」がいずれも1割台で「制度がわからない」「検討していない」がいずれも8割を超えています。

財務省の思惑は「論語」にある「知らしむべからず、由らしむべし」を地で行っているのではないかと疑わざるを得ません。つまり「人民大衆というものは、政府の政策に盲目的に従わせておけばよいので、彼らには何も知らせてはならない」、有り体に言えば「このインボイス制度の真の姿を中小零細事業者に知らせるとすったもんだの大騒ぎになる」ことを恐れているのではないでしょうか。

消費税は導入時の3%から、5%、8%、10%と順次引き上げられてきました。その都度、中小零細事業者は、消費税の欠陥の一つである「価格への転嫁」が力関係で決まることで、元請け先からの値引き要請に甘んじ、元請け分の消費税分をかぶらされてきました。今回のインボイス制度でも同様なことが繰り返されることが容易に想定されます。

このインボイス制度導入の理由として「複数税率」になったこととしていますが、今の帳簿方式で十分に対応できます。おそらく、現在の軽減税率(8%)と標準税率(10%)の差を遠くない将来に広げていく、つまり標準税率をEU並の20%位にしたいとの思惑が透けて見えます。

インボイス制度の理由が「複数税率」と言うなら、最も効果的なのが消費税を減税し、複数税率をなくすことです。

昨年10月末に実施された総選挙では、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合と立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党の4党による政策合意で、消費税の5%への引き下げが共通政策になりました。

また、躍進した日本維新の会も2年間、国民民主党も経済状況が好転するまでの間という限定付きですが5%に引き下げるマニフェスト(公約)を掲げて戦いました。政党として消費税引き下げを拒否しているのは自由民主党と公明党だけです。しかし、自民党の若手議員を中心として消費税の引き下げを支持している議員が相当数います。

経済格差を是正するためにも「逆進性」の強い消費税の減税は効果があります。国民の世論と運動をさらに大きくして、喫緊に消費税の減税を実現すれば、インボイス制度の導入理由が存在しなくなります。今年は、消費税の減税が実現できる年にしたいと願っています。