月別: 2024年7月

いかなる暴力も許されない!!~平和こそ人類が求める最大の英知ではないでしょうか~

トランプ氏がペンシルベニア州で7月13日に開かれた集会で、演説開始直後に右耳に銃撃を受け、その場で容疑者は射殺されました。米連邦捜査局(FBI)は、暗殺未遂事件として捜査していますが、いまだ容疑者の犯行動機や思想を特定できずにいるようです。

大統領選への立候補予定者を暴力で抹殺しようとする事件が起きたことに、米国社会で激しい衝撃が広がっています。安倍元総理の銃殺事件を彷彿させるものでした。いかなる理由があったとしても、このような卑劣な暴力行為は断じて許されるものではありません。

その2日後の15日、ミルウォーキーで開催された共和党大会が開催されました。全米から集まった参加者は口々にトランプ前大統領の名を叫び、自分たちの大統領候補決定に熱狂しました。この大会でトランプ氏は共和党の候補者として正式に決定をされます。

さて、このトランプ氏の言動にも問題はあります。7月15日の日経新聞では「3月の集会で、自身が敗北したら『この国が血の海になるだろう』と話していた。」「4月公開の米誌タイムのインタビューで、大統領選で自身が勝利した場合、議会襲撃事件で訴追された支持者への恩赦を『必ず検討する』と明言した。」と報じていました。

米国には現在、約4億兆丁の銃があると推定されているそうです。 米国は世界でも有数の裕福な国にも関わらず最も銃による殺人の死亡率が高い国です。前述の日経新聞は「米誌ニューヨーク・タイムズによると、米シカゴ大学の6月の世論調査で回答者の10%がトランプ氏の大統領就任を阻止するために『暴力は正当化される』と答えた。このうち3分の1が銃を所有していたという。」「トランプ氏が大統領に返り咲くために『暴力を支持する』と答えた人も7%いた。このうち半数が銃の所有者だった。」とも報じていました。

ことを世界に向けるとさまざまな国や地域で、いまなお戦争や紛争が起きています。それにより、多くの人が亡くなり傷ついています。また多くの難民の発生や食糧不足、貧困などの様々な重大な問題を引き起こし、人々の生活はどん底に陥っています。

さて、日本国憲法第九条は、次のように規定しています。『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』と「平和主義」を高らかに宣言しています。その中身は「戦争をしない」「武力を持たない」「交戦権を否定」です。平和こそ人類が求める最大の英知ではないでしょうか。

自衛隊が、陸海空軍その他の戦力に当たるかどうか議論が分かれるとことですが、私は違憲だと思います。国を守ることは必要ですが、それは武力ではなく、外交努力により解決すべきです。日本は唯一の核被爆国として、1971年に核兵器を「持たず、作らず、持ちこませず」という「非核三原則」を国会で決議しました。

これを援用して、世界中であらゆる武器を「持たず、作らず、持ちこませず」を高らかに宣言したらどうでしょう。間違いなく憲法9条は「ノーベル平和賞」を受賞できます。

中国電力は電気料の値下げをすべきです!!~山口県はモノ言う株主になるべきでしょう~

6月後半は上場会社(3月決算法人)の株主総会のラッシュです。2024年6月26日に中国電力の第100回の株主総会定時株主総会が開催されました。この株主総会は、広島市中区の同社本店で246名の出席者が決議を行いました。決議は会社の提案とおりでした。

営業収益は、電気料金の値上げを行ったものの総販売電力量の減少などの要因で、1兆6,287億円と前年度に比べ658億円の減収となりました。しかし営業利益は、2,067億円と前年度に比べ2,756億円の増益となりました。また、支払利息などの営業外損益を加えた経常利益は1,940億円と前年度に比べ3,008億円の増益となりました。経常利益、純利益ともに過去最高となり4年ぶりの増益となっています。売上高対経常利益率は11.9%、総資産は2.31%増の4兆1,332億円、株主資本は31.51%増の5,508億円、利益剰余金は56.89%増の3,642億円と絶好調です。

2024年はじめの電気料金は変動が少なく安定していましたが、5月に再生可能エネルギー発電促進賦課金の増額によって値上がり。加えて政府の電気・ガス料金に対する補助の適用が6月請求分で終了となったため、7月請求分の電気料金はさらに高くなることが見込まれます。世帯平均で中国電力は783円増の15,444円となる見込みです。

ただし、政府は8月使用分から3か月間補助金の再開を行うことを決定しました。この措置は岸田内閣の支持率を上昇させるための方策だと識者は指摘しています。

したがって、9月請求分(8月使用分)の電気代は値下がりする予定です。政府からの補助金が終わり、燃料価格の上昇などの要因で今後年末にかけて、さらに値上がりするのではという見方も出ています。

政府の補助金がいくらなのかは定かではありませんが、そもそも過去最高益を計上している会社に、補助金を出す必要があるのでしょうか。少なくても補助金なしでも値下げは可能だと思います。政府は電力各社とまともに交渉をしたのか甚だ疑わしい限りです。中小企業の多くは、コスト分上昇を価格転嫁することが極めて困難な状況にあります。

山口県の対応も問題です。実は、県は中国電力の大株主です。なんと約3,400万株8.78%を保有して第2位の大株主です。株価は2024年7月8日現在1,014円なので、保有時価総額は約344億円です。ところが、県は2013年以降株主総会を欠席し、議決権行使書は白紙提出する対応を続け、事実上経営方針に賛成をし続けています。株は県民の共有財産です。県民の暮らしを少しでもよくするために電気料金の引き下げ要求するモノ言う株主になるべきです。

景品表示法違反にあたるとして、消費者庁は課徴金としては過去最高額の16億5,600万円を求めた不祥事について、また同様に、事業者向けの電力販売をめぐり関西電力との間でカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会から707億円の課徴金納付命令を受けた不祥事について、その経営体質についての言及が必要でした。

何より、上関への原発と中間貯蔵施設の建設について、この地震大国に本当に原発が必要かどうか広く県民の声をよく聞いて、意見表明をすべきです。問題を先送りすればするほど住民の分断は広がります。

豊かさとは何か~今必要なのは、自己肯定感、人権そして相互承認!!~

 

2024年6月21日付けの朝日新聞、オピニオン&フォーラムに暉峻 淑子(てるおか いつこ)先生へのインタビューが載っていました。11面5段の紙面を使っての特集でした。

先生が一躍脚光を浴びたのは岩波新書から出版された「豊かさとは何か」でした。ちょうどバブルの最盛期1989年に出版されました。

その内容は、『 モノとカネがあふれる世界一の金持ち国・日本。一方では、環境破壊、過労死、受験競争、老後の不安など深刻な現象にこと欠かず、国民にはゆとりも豊かさの実感もない。当時の西ドイツでの在住体験と対比させながら、日本人の生活のあり方を点検し、真に豊かな社会への道をさぐる。』と言うものです。

実は先生とは、曰くがあります。総合会計を開業して程なく、新入職員向けの独習文献にこの本を指定しました。中学生時代につらい目に遭い、自らの進路に思いあぐねていた二女に、この本を手渡すとものすごく興味を持ち、未来へ一筋の光明が見いだされました。

私は先生の自宅の住所を調べ、早速、彼女は先生に長い手紙を出し、先生からの返事が来ました。先生のアドバイスは「大学でドイツ語専攻したら」という内容で、それを機にがむしゃらに勉強を始め、とうとう大阪外大ドイツ語学科に進学することができました。先生が大阪で講演されたときには、わざわざ出向き、控え室で先生と直接話す機会を得て、勉強のモチベーションを高めました。今でも先生とはメールで繋がっているそうです。

先生は96歳ですが、バリバリの経済学者です。朝日新聞のインタビューには、いつも怒っておられますね、という質問に「私は日常生活の中では、決して怒りっぽい人間ではありませんよ。しかし、人権や民主主義を踏みにじり、ないがしろにする政治を承認できますか。貧困化してフードバンクの列に並ぶ人々がいるのに、一方で政治家たちは何億のカネを裏金にして私物化する。子どもの義務教育の場がブラック企業のような労働現場になっているのに、ほぼ放置したまま。どうして起こらずにいられますか。笑ってみていなさい、という方が不自然ではないですか」と答えておられます。

「バブルが自信過剰の絶頂期だったとすれば、いまは逆に、自信喪失の時代です。でも変わっていないものもあります」と続けられ、具体的には「例えば、労働時間は相変わらず長く、社会保障も削減される一方です。新自由主義によって非正規労働が広がり、フリーランスや、ギグワークなど生活の計画を立てられない働き方が多くなりました。偏差値重視の教育もそう。私たちの意識の画一化、つまり権力持つものになびきやすいという特徴も変わっていません」と指摘されています。

「10年近く『安倍一強』が続く中で起きた民主主義の毀損は、今も回復されていません」その流れを変えるには「多くの人が、社会参加し、そこに連帯が生まれれば、恣意的な権力を止めることができると信じています」と締めくくられています。

この記事のタイトルになっている「誰もが自己肯定感,他者の人権を考える、相互承認を起点に」は実に素晴らしく、多くの人々がこの感覚を持てば社会は変わるでしょう。