すでに昨年の8月18日付けで掲載したブログで、佐川国税庁長官の就任記者会見をしなかった事実や彼の部下である税務の最前線にいる約5万人の税務職員の苦悩、そして納税者が「今こそもの言うことの重要性」を東京新聞から引用し紐解きながら書きました。それから半年を超え、いよいよ国民の一大イベントである確定申告が今月の16日から始まります。
この間、安倍首相は「国民が納得してくれるように親切でていねいな説明をする。」と言葉では発しながら、その疑惑には「だんまり」を一貫して通しています。そういう意味では、「ぶれない」精神力を持った御仁だと思いますが、別の角度で言えば「安倍一強政治」のなせる技だろうと思います。
財務省は3月9日、学園との交渉内容がわかる新たな20件の文書を国会に提出しました。「記録は廃棄した」という答弁は虚偽だったことがますます深まりました。野党の国家での「辞任要求」に対しても、虚偽答弁をした佐川宣寿(のぶひさ)氏の国税庁長官への任命は「適材適所」だとうそぶき多くの国民の怒りを買っています。
ところで私たち税理士の業界新聞に「税のしるべ」というものがあります。その1月8日号に佐川長官に対するインタビュー記事が掲載されていました。氏は、税のしるべの「29年分の確定申告に向けた納税者へのメッセージについて」という問の中で、税制改正で医療費控除の方法が変わることに対し「~医療費の領収書については、確定申告期限等から5年間自宅等で保管していただく必要がありますので、ご留意願います~」と答えています。開いた口が塞がりません。国会での答弁と180度違います。佐川長官の頭の構造はどうなっているのか私みたいな浅学非才な者にはわかるはずもありません。
ところで、2016年3月頃に行われた土地取引の責任者である佐川前理財部長の前任者は迫田秀典氏(いわば実行犯)で、その後佐川長官と同じように、国税庁長官に就任されていました。この御仁は、下関市豊北町出身で、山口高校から東京大学法学部、そして旧大蔵省に採用された超キャリア官僚です。私より二つ若い1959年生まれです。
その後、2017年7月の人事で国税庁長官が佐川氏になるのに合わせて財務省を退職されています。キャリア官僚は自分の同期が事務次官(各省庁の事務方トップ)になったら辞職するという慣例になっているそうです。新しく財務事務次官に就任された福田淳一氏は迫田氏の同期です。その慣例に従って退職されたと思われます。そして、今年の1月8日にTMI総合法律事務所という知的財産権が得意な大規模弁護士事務所(弁護士数は200人を超)の顧問に就任されています。
国会では、佐川長官の虚偽答弁のことはかなり追求されていますが、私は実行犯である迫田元理財局長のことも追求すべきだと思います。そうすると、民間人になった前川喜平前文部科学省事務次官のような答弁が得られるかもしれません。このままでは、「スルリ」と交わされる蓋然性が高いと思います。発想の転換をしてみることも有益かと個人的には思いますが、皆さんはどう思われますか?