2020年9月25日の税理士新聞(会計事務所のための実践的経営情報誌)に信じられない記事が載っていました。あきれるというか空恐ろしい内容だったので全文紹介します。
記事の内容は次の通りです。
『1800申請で5億円取得 沖縄県那覇市に事務所を構える50代の男性税理士が、持続化給付金の不正取得に関して約5億円を手数料として得た疑いがあることが分かった。複数のメディアが報じた。既に沖縄県警は事務所を含め関係先4ヶ所を家宅捜索。任意の事情聴取も行い、県内で多発している不正受給の操作を進めている。
税理士の男性は6月から7月にかけて、事業をしていない人たちに虚偽の確定申告書類などを用意させて、最大200万円の持続化給付金の虚偽申請を行っていた。関与先の従業員一人ひとりを独立した事業主に見せかけて多額の給付金を受け取った疑いもあるという。作成に関与したのは給付金の申請代行約700件、確定申告書1,000件で、着手金や手数料の名目で給付金の3割程度を受け取り、不正に取得した額は約5億円に上るとみられる。
男性は11日、琉球タイムズの取材に応じ、大量の申請代行を行ったことを認めた上で「なかには不正な申請も含まれたかもしれない」述べたという。
神津会長「言語道断」この報道を受け、日本税理士会連合会の神津信一会長は11日、ホームページ上で「持続化給付金等の適正な支援について」とするコメントを発表した。「給付金の不正受給は犯罪行為であり、税理士にはその未然防止の役割も期待されているところ、税理士自らが不正に加担することは言語道断」と強く批判し、「各税理士に対して改めて法令遵守を強く要請する」と呼び掛けた。』
どの業界でも多かれ少なかれ、嘘をついたり、ごまかしたりして法令遵守をしていない輩が少数だと思いますがいることは否めません。しかし、多くの税理士は不正に加担することなく、むしろ不正受給の未然防止に寄与しています。
当事務所にも、まったく所得税の確定申告をしていなく、申告に必要な証憑書類も残していないが、「友人たちが簡単に持続化給付金の受給ができているのでして欲しい。」と相談に来られましたが、「適正な申告をしないと手続きできません。」と説明したところ、他を当たってみるということがありました。
また、個人の白色申告者で「売上が1000万円を超えたので消費税の申告をしないといけないと知りながら、収支内訳書を付けずに単に所得金額を適当に申告された人」が来所され相談しました。事務所の方針として、「過年度分の適正申告を消費税、所得税ともしないとお手伝いはできませんよ。」とお伝えするとこの方も他の税理士を探すと言われました。「他の税理士も同じように答えますよ。」と念のためお伝えしておきました。
それにしても那覇の税理士は、税理士全体の社会的信頼を失墜した犯罪をこれほど多くやったことにあきれてものが言えません。発見されないとでも思ったのでしょうか。仮に発見されなかったら「得べかりし利益」はどうしたのでしょうか。困った人がいたものです。