消費税は「付加価値税」と名称を変えるべき!!~益税とインボイス制度を再度考えます~

日本の「消費税」は、1989年4月1日、当時の竹下登(DAIGOの祖父です)政権のもと3%の税率で施行されました。その当時、「消費税」のような「大型間接税」は広く「付加価値税・VAT 」という名称でした。ちなみにVATとは “Value Added Tax” の略です。

導入に強く反対していた中小零細事業者を懐柔してこの税をどうしても導入したかった政府は、その名称を「消費税」としました。誰がそのネーミングにしたのかは謎ですが、中小零細業者までが納税義務者となるヨーロッパ型付加価値税とは趣を変えて反対の矛先を変えたいと思ってのことだったと推測できます 。

その「消費税」というネーミングが国民に誤解を与え、消費者自身が税金を負担している錯覚をしています。また、財務省も「益税の解消」というプロパガンダを与えている土壌になっています。

そもそも「付加加値税」を最初に導入したのはフランスです。1954年のことです。当時は、第2次世界大戦が終わり、戦勝国だったアメリカが世界最大の貿易大国でした。そのアメリカに対抗するため、自国経済を盛り立てるためには輸出企業に頑張ってもらうしかないという発想で輸出補助金を出していました。しかし、ガット(現在はWTO)という関税と貿易の協定ができたとき、自国企業だけに補助金を与えるのは自由な貿易に反するとの理由でガットに抵触してしまったのです。

それでも何とかして自国の輸出企業に輸出補助金を与えられないかと、フランス政府が考えたのが「間接税」としての付加価値税です。初めから輸出企業を援助するという目的が強い税金でした。日本でも「輸出免税」として、その効果を果たしています。

現在、140カ国余りで付加価値税を採用(主要国ではアメリカだけが採用していません)していますが、「消費税」というネーミングをしているのは日本だけです。

今年の10月からインボイス制度が始まりますが、その影響を受ける多くの中小零細事業者の認知度は必ずしも高くなく、一般消費者は、ほとんどこの制度の理解ができていません。それどころか、財務省の巧妙な「益税論」の影響を受けています。

インボイス導入の理由に「益税の解消」が挙げられてから、免税事業者にはまるで「消費者から預かった税金を懐に入れている」という非常に厳しい目が向けられています。「益税」でも「預かり金」でもないのに、言われなき差別を受けています。新たな社会的分断です。

消費税という法律を読み解けは、「消費者」とか「価格の転嫁を義務づける」という規定はありません。小売業者が受け取った金額は単なる価格であり、「消費者」は「消費税」を負担はしていません。これは、裁判でも確立されています。つまり消費者からの「預かり金」ではないので「益税」などは存在しません。レシートなどを見れば勘違いしやすい(外税表記なので)のですが、実際の納税義務者は消費者ではなく、事業者です。

消費者が消費税を負担しているような誤解を与える「消費税」という名称を今こそ「付加価値税」に今こそ変えて消費者に大いなる誤解を解消する必要性を痛感します。