コロナ禍で求められるのは消費税減税では?!~世界の潮流で見えてくるものは~

消費税は所得が少ないほど負担が多い逆進性の強い税金です。コロナ禍で増えている年収200万円未満の人は所得の10.5%の負担になり、年収2000万円の裕福な人は1.8%の負担ですみます。収入のまったくない人も、支出する度に容赦なく消費税がかかってきます。

中小零細業者は消費税を価格に転嫁できず、身銭を切りながら消費税を払っています。法人税や所得税は業績が悪ければ税の負担はありません。しかし、消費税は赤字でも支払わなければならない中小零細業者にとって過酷な税金といえます。

この消費税が導入されてから32年間、法人税率と所得税の最高税率は大幅に下げられてきました。大企業と富裕層は減税の恩恵を受け、その一方で中小零細業者と庶民は増税に苦しみ続けています。その結果、大企業と中小零細業者、富裕層と庶民の所得格差は想定外の大きさに拡大しています。

ところで、世界を見渡せば消費税(世界の多くは付加価値税と呼んでいます)の減税に踏み出した国が50カ国になっています。コロナ禍で消費税の減税がトレンドになっています。

その減税方法は二つに区分できます。一つは、飲食店、ホテル、映画館、美術館など売上が激減した業種に限定した引き下げです。例えば、イギリスでは、飲食店や観光業に対して20%の標準税率から5%の軽減税率に引き下げをしました。ベルギーではホテル、カフェなどに適用されていた21%の標準税率とレストランに適用されていた12%の軽減税率をそれぞれ6%に引き下げました。オーストリアもレストラン、バーに適用されていた20%の標準税率を5%に引き下げています。ノルウェーでは旅客運賃、映画館などに適用されていた12%の軽減税率を8%に引き下げています。さらにウクライナ、チェコ、コスタリカ、ウズベキスタンでは文化事業などで引き下げを実施しています。

もう一つは、業種を問わずすべての事業者に対して減税をしているやり方です。例えばドイツでは、19%の標準税率を16%に引き下げ、7%の軽減税率を5%に引き下げました。韓国では年間売上6000万ウォン(540万円)以下の個人事業主の税金を免除しています。中国では簡易課税を選択している小規模事業者に適用される売上高の3%の税率を1%に引き下げをしました。アルバニアでは中小企業の税を免除にしています。

二つの引き下げのうち日本がまねをするならドイツのように業種を限定しない引き下げです。また、韓国や中国、アルバニアのように中小業者に免税や軽減税率にすることは疲弊している経済にカンフル剤を与える効果が期待できます。ただ、この諸外国の減税措置は期間が一年足らずの限定措置です。日本の場合には、当面5%に引き下げ、さらに廃止へと展望することが可能です。

税のゆがみを是正し公平な税制を実現することがその担保です。「不公平な税制をただす会」の試算では、大企業や富裕層に応分な負担を求めることにより年間42兆円もの財源が生まれます。それを実現すれば、消費税の減税、そして廃止が展望でき、社会保障の財源も生み出せます。資本主義の大前提は「富の再分配」です。多くの人が声を上げましょう。