「リーマンショック級の出来事がない限りは予定通り」この言葉を何度聞いたでしょうか。10%への引き上げを見送る常套句でした。
予定通り安倍内閣は、昨年10月に消費税の10%への引き上げという庶民大増税を強行しました。そのため、昨年10月から12月の四半期のGDPは年率で7.3%も減少する異常事態になりました。そのうえ今年からのコロナ危機で、日本経済は大不況に陥っています。
この不況から脱し、景気を回復させるうえで焦点となっているのが、消費税の減税です。
消費税率の引き下げを求める国会議員は自民党の112人、野党も併せると全国会議員の約30%になっています。消費税という税は、最も生活に密着してしかも、富裕層に有利で庶民に冷たい「逆進性の極めて強い」税制です。
ドイツでは、7月から標準税率を19%から16%に引き下げ、軽減税率を7%から5%に引き下げました。減税規模は200億ユーロ(約2.5兆円)で、新型コロナウイルスの感染拡大前の付加価値税収の1割弱に相当します。日本でもぜひ消費税減税を実現させましょう。
7年半におよぶアベノミクスは、大企業と富裕層をうるおしただけで、貧困と格差をさらに大きく広げました。しかも、このコロナ禍のもとでも大企業の内部留保は増え続け、488兆円にもふくれあがっています。いっぽうで社会保障は、介護、医療、年金などあらゆる分野で、給付の削減と負担増が実施され、庶民の負担はふえるばかりです。
いまこそ大企業と富裕層に応分の負担を求めて消費税の減税を実現すべきときです。当面は、ドイツ付加価値税減税のように現行の10%(軽減税率は8%)を5%にしていく、その結果経済が上昇基調になってくれば当面の間消費税をゼロに凍結すべきだと考えています。
財源はあります。消費課税に重きを置くのではなく、所得課税、資産課税にウエイトを置くのが本筋です。「不公正な税制をただす会」の試算では、大企業優遇税制をただすことで10.8兆円、法人税に所得税並みの累進税率の導入で10.5兆円、さらに所得税の累進制の強化で13.4兆円、所得税金融所得の課税強化で5.5兆円、相続税の累進制の強化で1.1兆円、合計41.3兆円の新しい財源試算を公表しています。令和元年度の消費税収21兆7190億円を廃止しても、20兆円のおつりがきます。
「消費税を一度下げたら再び上げるには数十年かかる」そんなばかげた理由で消費税引き下げ税論議を一蹴していることもあるようですが、どんな税目でもこれまで上げ下げは、頻繁にしています。繰り返しになりますが、ドイツ付加価値税減税を見習いましょう。