過日、地元の刑務所を見学する機会を得ました。受刑者は、刑期を終え更正と円滑な社会復帰をめざして「矯正処遇」を受けています。「矯正処遇」にはいろいろなプログラムがあります。
そのプログラムは、受刑者の勤労意欲を高めるための「作業」、受刑者に対して犯罪の責任を自覚させ、健全な心身を培わせるようなものになっています。また、社会生活に適合させるための知識や生活態度を取得させるために必要な「改善指導」、社会生活の基礎となる学力が身についていないため、改善や円滑な社会復帰支障がある者に対する「教科指導」、囲碁や将棋等のクラブ活動、高等学校等の通信教育課程や資格取得のための通信教育、ラジオ・テレビの視聴の「余暇活動の援助」溶接・フォークリフト運転・ワープロなどの情報通信技術・介護福祉・CAD技術などの「職業訓練」が行われています。
「現在日本の犯罪は減少傾向にありますがそれとは逆行して右肩上がりに上がっているのが『再犯率』です。再犯率は現在では48%超え過去最高水準になり先進国でもトップクラスです。この事態を重く見た政府も平成28年12月に再犯防止推進法を施行しました。
再犯の原因のひとつに出所後の仕事の有無があります。有職者の再犯率7.6%に対して、無職者は28.1%と、約4倍です。
再犯の問題をなくすには、さまざまな問題があり、そのひとつに服役経験者が再挑戦しにくい社会環境というものが挙げられます。住むところが無い人や、教育や家庭養育を十分に受けていない人も多く、仕事に就くことは非常に難しいのが現状です。その結果、また犯罪に走ってしまうという悪循環に陥っています。」
※良心塾のホームページより引用
犯罪をした者等の自立や社会復帰に協力することを目的として、その者の雇用をする事業主になる「協力者雇用主制度」やハローワークを通じて就労の支援をするコレワーク(矯正就労支援センター)が近年では行われています。
さらに令和元年12月末全国の刑務所等で約4万人弱の受刑者が木工・印刷・洋裁などの作業の大半が民間企業からの発注でそれに協力している企業は約2千社あります。
しかしながら、それらのシステムを知らない事業主もたくさんいます。
塀のないことで知られるノルウェーの再犯率は世界最低の20%、日本の半分以下です。この国のやり方は「厳罰より治療」「管理より自由」「作業より教育」を実践しているとのことです。
この見学を通じて社会貢献の一つとして再犯率を下げていく社会的な活動が必要であり、国民性の違いがあっても、政府だけでなく、企業や国民1人1人が一度犯した罪を償った人の社会復帰しやすい環境作りを意識することが大切だと感じました。