大学受験シーズンもほとんど終わりました。志望校に晴れて合格した人は本当におめでとうございました。高い志と本人の血のにじむような努力、そして予備校などの受験テクニックにも助けられたのかもしれません。わが国で一番入学するのに難しい大学は東京大学です。その親の平均年収も一番高いとよく言われます。教育にも「格差」が存在するのでしょう。しかし、国際的に見れば東京大学のランクは46位と意外に低いのに驚きました。「THE世界大学ランキング」によれば、1位はオックスフォード大学(イギリス)、2位はケンブリッジ大学(イギリス)、3位はスタンフォード大学(アメリカ)などベストテンまでは、スイスの一校を除きすべてイギリスとアメリカです。まだまだ、高等教育だけでなく日本の教育あり方全般を含め、見直しが求められていると思います。
ところで、日本の大学では名門と言われる大阪大学や京都大学で、昨年2月に実施した一般入試で両大学とも「物理」で、出題と採点にミスがありました。大阪大学では不合格とした30人を、京都大学では17人を追加合格としました。驚いたことは、1点差でこれだけの人が泣きを見ていたことでした。その日の体調や過去やったことのある問題や得意分野が出題された、反対にまったく手つかずのところが出題されたことなどにより、多くの人の運命が変わるのですから実に恐ろしいものです。
『朝日新聞の2月20日号によると、『正解や回答例の開示について、文科省は各大学に「標準的な回答例や出題の意図を明らかにするよう務める」と通知をしている。国立大学協会も「受験生の便宜のために望ましい」と指針を示す。これについて、大学側の姿勢にばらつきがある。朝日新聞が全国の29大学に対応を尋ねたところ、13大学が公表または一部公表、16大学が非公表と回答した。』との記事が載っていました。公表(一部も含む)は、国公立では、北海道、金沢、名古屋、大阪、大阪市立、九州など、私立では、関西、関西学院、近畿です。非公開は、国公立では、東北、東京、京都、広島、山口など、私立では、青山学院、慶応、上智、同志社、立命館、早稲田などです。
公表していない大学の言い分は、正解が一つとは限らない記述式などについては「回答例を示すとかえって混乱を生む」との意見が出ています。例えば早稲田大も「回答を導く課程を評価する設問もあり、一律の公表は適切ではない」と説明しています。ただ、今後の方針については、東京大は「国の動向を踏まえつつ考えたい」との意向のようです。
文科省によると、大学の入試ミスの報告件数は、2017年度の入試で153大学計291件あり、林文科大臣は記者会見で、回答例公示がミス防止につながるとのとの考えを示し、「問題や解答、出題の意図などの開示について検討したい」と述べています。』大学の自治と努力した受験者の公平をどのように担保するのかのバランスの問題だと思いますが、個人的には受験予備校とも連携をして回答例と出題の趣旨を公表することが、出題をする大学側の緊張感と説明責任、受験生の知る権利につながると思います。
※【駒寄テケテケ日記】(2/18)数え歌 解答例公表、入試ミス防げる? 「学習の一助に」「示すと混乱生む」 大学の対応にばらつき2018年2月20日 でぶりんブログ記事より引用
私たちの業界には、税務署出身や大学院で論文を書き一部を免除される仕組みもありますが、一般的な税理士試験の場合には国税庁によると60点が合格基準点としています。しかし、実際は予め最終合格者(受験者の2%位と思われます。)を何人か決められていると言われています。それに応じて、下記のそれぞれの科目の合格率を決めている節があります。おまけに、何が正解で、採点箇所がどこに何点あるか全く公開されていません。上述した大学の入試の採点ミスの悲劇より、もっと悲劇です。すべてがブラックボックスに入っているからです。受験予備校では「明らかに出題ミス」という試験科目もありました。
税理士試験は、5科目を累積的に合格(1科目合格するとそれが永遠に有効になります)すれば合格になります。したがって、働きながらでも受験ができると言うことでかなりの受験者がおりました。私が受験していたころは約6万人の受験者がおりましたが、最近は4万人を割っています。税理士会も、大学への寄付講座をしたり、高校生向けにパンフレットを作成しているようですが、減少傾向には歯止めがかかりません。受験者が減ると言うことは、この業界の衰退につながるので深刻な問題です。
税理士の試験科目は、選択可能性によって、必修科目(簿記論、財務諸表論)、選択必修科目(法人税法、所得税法)、選択科目(相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、事業税又は住民税、固定資産税)に分類されています。 必修科目は、2科目の両方が課されます。 選択必修科目は、法人税または所得税のいずれか1科目の選択が必須とされます。
私の場合は、簿記論、財務諸表論、所得税、相続税法、相続税法の5科目で合格しました。20歳代の頃は、簿記論しか合格していなくて、30歳から真面目に受験して35歳で合格しました。12回目の受験での栄冠でした。おそらく、1万時間以上の勉強時間を費やしました。
私がもっとも不思議だったのは、税法は理論問題が50点、計算問題が50点と言う配点がオーソドックスです。ある税法科目で計算問題の最終値が模範解答(国税庁が公表しないので受験予備校が出しています。)と同じ、つまり50点、理論問題もそれなりに書いたのにまさかの不合格でした。ところが、翌年は、計算問題の入り口で思い違いをしていたので、それ以後はまるで模範解答と違います。しかし、その年は、いつもなら理論問題が2題の出題なのに3題出され、配点も理論問題60点、計算問題40点と変則的でした。その科目は、最後の科目だったので、来年も受験するのかなと思っていたら、まさかの合格通知がきました。当時は、個人情報にうるさくなかったので、新聞にも掲載されました。今でも、なぜ合格したのか不思議な思いを思っています。
最後に言いたいことは、税理士の試験のあり方、60%合格水準のまやかし、試験の模範解答と採点基準を明確にして欲しいと願っています。今は、私が受験していたときの「今回の受験で合格に達した科目はありません。」というにべもない通知から、一歩前進して、A判定(60点未満50点以上)、B判定(40点以上50点未満)、C判定(30点以上40点未満)、D判定(30点未満)ということになっていますが、そうではなく各人の本当の点数を是非、公開してもらいたいものです。
『司法試験では、平成16年度から、それまで不合格者に対してのみ行っていた論文式試験の成績通知が合格者に対しても行われるようになりました。また、論文式試験合格者に対しては、科目別順位ランク及び総合得点が通知されるようになりました。
また、東京地裁平成16年9月29日判決は、平成9年度から平成11年度までの司法試験の成績に関する個人情報開示請求訴訟において、①論文式試験の科目別得点及び総合順位、並びに②口述試験の科目別得点は不開示情報であるものの、③口述試験の総合順位は開示すべきであると判断しました。控訴審である東京高裁平成17年7月14日判決は、論文式試験の総合順位も追加で開示すべきであると判断しました。
その結果、平成18年度からは、論文式試験の総合順位も通知されるようになりました。』
税理士試験も同じような対応をしてもらいたいものです。
※Markの資格Hack(税理士試験) 司法試験の成績開示の現状は、度重なる要望の末に実現しました 2017年5月9日 まあくブログ記事より引用