民主主義は護られた!~検察庁法案 今国会で成立断念に~

安倍首相が、4月1日に意気揚々と掲げた「アベノマスク」の配賦率は、ゴミが入っていたなどの返品騒ぎがあってその配賦率は未だ10%にもなっていません。466億円の巨額な予算を使いゴールデンウィーク前には一家に2枚配布すると豪語していたのでは?

確かに「アベノマスク」の配布の遅れはコロナ対策の象徴である「スピード感」のなさの表れです。すでに市場ではマスクは十分供給されていますし、値段も下がってきています。結局大いなる「無駄遣い」になったと言われても仕方がありません。

国民には、財政的な裏付けもないまま自粛要請をしながら、一方で「不要不急」の法案である「検察庁法案」が上程されました。この法案は、表向きは公務員の定年延長ですが、その本質は「検事総長など検察官の定年」を「3年間延長」できるもので「内閣または法務大臣が延長の理由があると認めた場合」との条件がついています。つまり、「定年の延長」は、ときの内閣の胸三寸ということになり、中立性が損なわれ流行語にもなった「忖度」がまたしても検察官にも及ぶことになる極めて問題のあるものです。

15日には、元検事総長の松尾邦弘氏ら検察OBが法案に反対する意見書を森雅子法務大臣に提出するという異例な事態になりました。意見書は「再生案の発端になった黒川弘務東京高検検事長の定年延長を、検察庁法に基づかず、法的根拠ない」と指摘したものでした。

首相は同日に右派の論客として著名な櫻井よしこ氏が主宰するネット番組に生出演し、同氏との関係を聞かれ「私自身、黒川さんと2人でお目にかかったこともないし、個人的なお話をしたこともまったくない」と全面否定しましたが、新聞各紙の「首相動静」では2018年12月11日午後に面会した記録がありました。このためツイッター・ユーザーからの指摘が相次ぎました。

また、この法案に対し全国に52ある弁護士会の約9割にあたる46弁護士会の会長が15日までに反対声明が出され、法曹三者である弁護士会の猛反対にもさらされました。

さらに新聞各社が16日付で一斉にこの法案を批判する社説を掲載しました。政府よりだと言われている「日経新聞」も「拙速な検察庁法の改正は禍根を残す」というものを掲載しました。ローカル紙でも批判する社説を掲載し、この問題を大きく取り上げました。最近、新聞各社は、購読料にかかる消費税が8%に据え置かれたので政府に批判的な社説が少なくなった傾向がある中では異例なことです。

反対の声はSNSを通じても広がりました。ツイッター上では「#検察庁法改正案に抗議します」という投稿が3日間で500万件近くありました。特徴的だったのが小泉今日子さんなど俳優さんたちなどの著名人がたくさんいたことです。

安保法案、共謀罪、モリカケ、そして桜問題など民主主義の軽視が横行しましたが、この法案が継続審議になったことで、この国の民主主義はかろうじて護られたような気がします。今後、廃案になるまで世論をさらに高めていくことが重要だろうと思います。