「75歳以上の後期高齢者が支払う公的医療保険の水準が4月から全ての保険料が上がる。1人あたりの平均保険料は東京で初めて年10万円を超え、島根や青森では2割超上昇する。」との新聞記事が出ていました。
団塊の世代が全て後期高齢者になるので「2025年問題」という言葉もあるくらい医療保険の給付と負担をどうバランスさせるかが問題になっています。
その新聞記事によると「年43兆円の国民医療費のうち、後期高齢者の医療費は16兆円を占める。1人あたりの医療費の額は年92万円と45歳から64歳の3倍にのぼる。窓口負担を除く医療費の1割を後期高齢者の保険料、約5割を国や都道府県などの公費、約4割を現役世代からの「仕送り」でまかなう仕組みだ。」と報じていました。
さらに記事は「実際に医療機関にかかった際に支払う後期高齢者の場合は原則1割だ。現役並みの所得があると判定されれば3割になる。今後は一定所得なら2割負担を求める所得の区分も設けて、後期高齢者の自己負担を見直す。」と今後の方向性を示していました。
この記事を見て感じたのは、いかにも高齢者の医療の給付と負担のバランスが崩れ、高齢者がもっと負担をするような印象を与えるように思えます。
考えないといけないのは、第一に将来の「社会保障費の増加」理由に消費税を1989年4月から導入したのではないかと言うことです。ところが導入された消費税は、法人税や富裕層の減税に使われてきました。税の理屈で言えば法人税に累進制度を導入することが求められます。また、所得税の最高税率も引き上げるとともに、分離課税をしている株式等の総合課税化をして、国の責任で社会保障の負担の割合を大きく引き上げることが大事です。
第二に、高齢者に富が偏在している傾向があります。多くの預・貯金を高齢者が所有しています。したがって、所得(フロー)から保険料を決めるのではなく、資産(ストック)を加味して決めることが重要だと思います。しかもそのウエイトを、相対的に所得より資産に置く方が良いのではないでしょうか。資産家から多くの負担をしてもらう必要性を感じます。その場合、株式等の運用で利益を出しながら特定口座で所得申告をしていない人の負担もしてもらうべきです。また、相続税の基礎控除が下がり大衆課税化しているので、富裕層にもっと負担をしてもらうように相続税の最高税率を上げることが必要だと考えます。
第三に、4割を現役世代から「仕送り」している層の負担のあり方を見直すべきです。現在、健康保険は月額139万円で頭打ちをしています。税率は低くなっているとはいえ累進課税を所得税は青天井で適用しています。私はここにメス入れるべきではないかと思います。上場企業で年収が1億円以上の役員は570人、国税庁のデータによれば1億円の年収がある人は約2,400人、トヨタの社長で約3.5億円、上場企業の役員報酬の平均年収は約3,000万円といわれています。また、平均年収の1位はM&Aキャピタルパートナーズは、平均年齢は31.3歳と若いものの2,478万円です。5位の三菱商事は1,607万円です。このような人たちからも健康保険料を徴収したらかなりの保険料が入るのではないかと思います。