防衛省沖縄防衛局が、沖縄県名護市の辺野古新基地建設の警備業務の費用についてコメントをしました。
その業務契約は陸上と海上とそれぞれ別にされていて、建設に着工した2014年7月から21年12月までで、陸上警備業務・海上警備業務それぞれ約300億円で合計約600億円が支出されています。さらに埋め立て工事契約の中にも警備業務が含まれています。その金額は約150億円で、合計すると750億円を超えます。これらを単純に契約日数で割ると、1日あたり約2750万円になります。地方の新築住宅1棟分に相当する金額ですから驚きです。
基地建設に反対する人からは「辺野古の海上では朝7時から1日10隻ほどの警備船が配置され、制限水域から『出てください』とアナウンスするだけ。10隻の必要はなく、税金の無駄遣い。警備費が膨大なのは、県民の理解が得られていないことの裏返しに他ならない。新基地建設に湯水のように税金を使うのではなく、沖縄の経済や医療に回すべき」との声が上がっています。
安倍・菅・岸田政権は、沖縄県民に「よりそう」と言ってきました。その本心は、「沖縄振興対策費は上積みするから、新基地建設には反対するな。」とでも言いたいのでしょうか。
しかも、埋め立て工事の海域には、「マヨネーズ並」といわれる軟弱地盤が存在し、それを改良するために当初5年としていた工期は9年3カ月に延び、工費も約2.7倍の約9300億円に膨らむことが伝えられています。
その渦中の名護市で、先月(1月)23日に市長選挙がありました。その結果は、自民・公明両党が推薦した現職の候補者が57.5%を獲得し再選されました。得票率は68.32%で過去最低になり、前回を8.6%で前回を大きく下回りました。また、期日前投票が投票総数の6割を超えるという異例の選挙戦でした。
その結果をどのように考えたら良いでしょうか。25日の朝日新聞の天声人語(抜粋しています)は次のように伝えています。
「~1997年、移設の是非を問う住民投票があった。反対票が賛成票を上回り、過半数をしめた。~しかし、その後の政府の振る舞いぶりをみると、直接民主主義であれ、間接民主主義であれ、移設への抵抗を示す沖縄の世論を切り捨て続けている。『オール沖縄』を掲げて移設に反対した翁長雄志氏が県知事に当選したときも、聞く耳を持たなかった。辺野古の海に土砂が投入された後の県民投票で、埋め立て反対が7割を上回ったが、作業をやめようとはしなかった。~相手が何を言っても無視するというのも、精神的な暴力にあたる。抵抗する意思を失わせるための手法である。基地を受け入れるとも、反対するとも言わない『沈黙』の市長が2期目の当選を果たした。反対しても無駄だと思わされてきた末の結末だろうか。過去最低であった投票率からも、諦めの気持ちがにじんでいる。」
やるせない名護市民・沖縄県民の思いを私たちも当事者意識を持って真摯に受け止め、この問題をどう捉え、どのように行動するかをわが身のこととして考える必要があります。