年の瀬には恒例行事となっている今年あった○○のランキングが話題となります。税理士業会をめぐるランキングのダントツ第一位はなんといっても消費税率の10%への引き上げでしょう。
納税通信(エヌピー通信社発行)10月28日号に「中小企業イジメの消費増税、日本を支える99.7%の声を聞け」というセンセーショナルな記事が掲載されていました。また、中見出しは「今こそ5%への減税を」後見出しには「税制は経団連だけのモノじゃない!」とまるで私の声を代弁してくれているような特集を組んでいました。
記事の内容を要約すると①今回の消費増税によってGDPの牽引力になっている個人消費がさらに冷え込むことは避けられない、②休廃業・解散する企業が増え続けているが消費増税との関連性は否定できない、③先進国のGDPは過去20年で約2倍になっているが日本は1.02というひときわ目立つ低調ぶりで、OECD36カ国中最下位になっていることも消費税の影響といわざるを得ない、④消費税の税制の仕組みから税率の引き上げのしわ寄せは常に弱い立場の下請けなどにきていたが、10%の大台に乗った今後はさらに買いたたきや価格転嫁拒否などの不当な取引が増加するとみられることを指摘しています。
さらに紙面は、「軽減税率、ポイント還元、プレミアム付き商品券などの政策」にも批判的に論評しています。
その一方で、優遇されてきたのは大企業と超富裕層への施策で、①31年間で集めた消費税収は397兆円に上るが、法人3税の税収は275兆円減ってきたこと、②租税措置法や「輸出戻し税」で増税するほど得する仕組みとなっていること、③所得税は、証券優遇税制により所得が1億円を超えると負担が減っていく仕組みで、保有時価総額が1000億円以上の超大株主は2012年の末には12人だったのが、18年には58人に増え保有総額は3.5兆円から17.6兆円と急増したことが記載されています。
こうした状況から、国民や中小企業からは「少なくとも8%へ引き上がる前の5%に戻し、国内消費を喚起すべき」という声が上がり、デフレ脱却のためにも今こそ減税という提案には説得力があり、99%以上を占める中小企業が元気にならなければ日本経済の復興はあり得ないとされ、最後にいま、勇気をもってそれに踏み切るのはあながち無謀な選択ともいえないのではないかと締めくくっています。
過日、私は中小企業家同友会という全国で5万人の会員を目指してがんばっているまじめな中小企業の経営者団体の、とある支部で消費税を中心にした報告をする機会がありました。そのときには上述した記事はなかったのですが、話のあらすじはほぼ同じ内容でした。
そこで私は、中小企業の経営者がこのような事実をあまりにもご存じなかったことに驚きました。
さらに驚いたことはインボイス制度に対する理解がまるでなく、経営に与える大きさに議論白熱しました。
おそらく、スポンサー企業から莫大な広告収入を得ているマスメディアがそうした「不都合な事実」を伝えることをサボタージュしていることが最大の要因なのだと思います。
すでに政党では、日本共産党やれいわ新撰組、社民党が5%への減税をすることで合意をし、他の野党もその方向で協議しています。しかし私たちは、政治家だけに頼ってばかりではいけません。ありとあらゆる機会に、政府にとっての「不都合な真実」を伝える責務があります。
そのためには、このブログをご覧になった方が一番身近な家族、同業者、関与先、ご近所などと消費税について対話し、5%への減税の世論をもり立てることが必要のではないでしょうか。