SNS社会、同じ過ちを繰り返してはいけません!!~関東大震災と福田村事件の歴史を振り返って~

「防災の日」は、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波などの認識を深めて備える日で、毎年9月1日に設けられています。1960年に、災害を未然に防止し、被害を軽減する目的で制定されました。「防災の日」が9月1日に制定されたのは、1923年9月1日に未曾有の大被害をもたらした『関東大震災』に由来しています。

その巨大地震により、東京府(当時)を含む関東地方は最大震度7の地震に見舞われ、死者10万5千人、家屋全半壊21万棟、地震関連の家屋焼失21万棟を記録しました。

その混乱の中、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人や社会主義者が暴動を起こした、放火した」などのデマを妄信した官憲や自警団などが、関東各地で多数の朝鮮人、社会主義者、無政府主義者を殺傷した事件が発生しました。日本人や中国人も誤認により殺傷されました。現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」でも、関東大震災での朝鮮人虐殺にふれた場面がありました。その被害者は1,000人とも6,000人とも言われていますが、その数は判然としません。過去から学ぶために、しっかりと調査すべきです。

家電メーカー・シャープの創業者である早川徳次氏は「朝鮮人従業員の一人が亀戸の自宅を訪ねてきた。そこに町内の連中がやってきて『朝鮮人はいるか?いたら殺すぞ!』と。私は何も悪いことをしていない人を突き出すわけにはいかない。動揺した家族に口止めして彼をかくまった。街で朝鮮人が殺されるのを目撃したこともあった。歩きながら殺される人もいた。しかし、それを止めようとしたらこちらが殺されると。」と証言されています。

ところで101年前の9月6日、千葉県福田村(現野田市)で「福田村事件」は起きました。朝鮮人に対する流言蜚語がこの村でも飛び交い、香川県からやってきた薬売りの行商団に、緊急勅令で急遽結成された自警団は日本人かどうか疑念を抱きました。村の巡査が本署に行って確認してくると行って出かけた間に事件は起こりました。地元自警団をはじめとした群衆は行商団を取り囲み興奮のるつぼと化しました。エスカレートした彼らには、行商団の話す讃岐弁がよく理解できず、朝鮮人だと思い込み、15人のうち幼児や妊婦を含む9人を竹やりや鳶口(とびぐち)日本刀などで殺害し、利根川に捨てました。

この歴史に埋もれていた事実を映画化したのが映画「福田村事件」です。放映は昨年9月1日、100年前の関東大震災の日に放映されました。この映画を是非見たいと思っていたところ、マイナーな映画だったので都会の限られた映画館でしか上映はされませんでした。ところが、最近ふとネットでこの映画の検索をしていたらU-NEXTで見られることがわかりました。直ぐに登録して見ました。被害者目線でなく、ごく普通の人も加害者となりえるという視点でこの映画は作られています。

「流言蜚語=確証のないうわさ話、根拠のない扇動的な宣伝、デマ」は100年後のSNS社会でさらに大きくなっています。SNSの匿名性は誹謗中傷、差別的発言の温床になりかねないことから、実効性のある対策が講じられるべきではないでしょうか。私たちは、同じ過ちを繰り返さないよう、歴史に学ぶべきです。