カテゴリー: 経営環境

カタカナ用語と日本語の国際化~異文化をどのように表現するのか~

新聞紙上のアンケート調査によると、近頃のカタカナ用語は理解できるかという質問に対して「いいえ」が72%を占めていました。その理由としてダントツの1位は、「意味がわからずモヤモヤする」2位は「漢字やひらがなで翻訳すべき」でした。

そういえば、税務署の問答集などがいつの間にか「Q&A」から「FAQ」に変わっていることに違和感を覚えたのは私だけではないでしょう。多くの税務署員に聞いても、変わった経緯や意味を理解していた人は1人もいませんでした。おそらく、財務省のキャリアが変えたものだと思いますが、上記アンケートの3位にある「気取った感じでイライラする」ことは否めません。

「Q&A (question and answer)」は日本語に訳すと『質問と回答』という意味で、ひとつの質問に関してひとつの回答が載っています。一方、「FAQ」は日本語に訳すと『よくある質問。(frequently asked question)』という意味で、質問だけでなくそれに対する回答も載っています。変えるのであれば、その意味や経過を問答集などに載せたら違和感の減少につながると思うのですが。

さて、漢字やひらがなで表記してほしいカタカナ用語の上位5位を上から並べると、インキュベレーション「親鳥が卵を抱く、転じて企業支援」、アジェンダ「議事日程、行動計画」、サブスクリプション「雑誌の予約購読」、オーバーシュート「度を超す、新型コロナが蔓延してきて感染者(患者)の爆発的増加」、インスタレーション「芸術的空間」の順です。

私見では、その意味を括弧書きなどしてそのままカタカナで表記した方がシックリいくのではないかと思います。

一方、日本語が国際用語になっているものもたくさんあります。私が週1回レッスンを受けている英語の先生が「信じられない」のダントツ第1位にあげたのが「Karoshi」過労死でした。その他、ネガティブなものとして「Hikikomori」引きこもり、「Otaku」おたくなどです。文化の違いからは「Susi」寿司、「Sake」酒、「Judo」柔道、「Tempura」天ぷらなどがあります。興味のあるものでは「Mottainai」もったいない、Anine「アニメ」なども使われています。

英会話レッスンで使っているテキストの中に英訳できないものの代表として「行ってきます」と「行ってらっしゃい」があります。もし英語で無理やり表現すると「行ってきます」は「See you later」、「行ってらっしゃい」は「Bye」になると記載されていました。

英語は世界各国で使われていますが、日本語は、島国である「日本国」でしか使われません。私は、英会話の勉強をする中で、多くの文化の違いを感じているところです。

今後、インバウンドを数多く迎えて「観光大国」にするという国家戦略がありますが、文法などもまるで違う英語を今の若者には身につけてもらい「バイリンガル」つまり「2つの言語で話せる能力を持つ人」になってもらうことが大事だと思います。そうでないと、否が応でも「グローバル化」している国際社会に通用しなくなるでしょう。

成長しない国ニッポンとアジアの世紀~内部留保のため込みすぎが成長を妨げているのか?~

20世紀は「戦争の世紀」と言われましたが、21世紀は「アジアの世紀」と呼ばれています。 それは、新しい世紀に入ってアジア諸国が大きな発展を遂げているからです。

20世紀のアジアの経済秩序は日本が握って成長を遂げてきましたが、一極から多極へと変容しています。この要因は、①日本の経済成長が停滞していること、②日本を除くアジア諸国が豊かになったことで、その国内市場が拡大し地場産業が台頭するようになったこと、③グローバル化が進展し、アジア諸国がものづくりになくてはならない「世界の工場」となったことなどが考えられます。

因みに、2000年のアジア主要国の一人当たりのGDPのランキング(単位千ドル)の上位5カ国を上げると、1位日本38.5、2位香港25.6、3位シンガポール23.8、4位台湾14.9、5位韓国11.9でした。

それが2016年になると1位シンガポール53.0(222.6%増)、2位香港43.5(170.2%増)、3位日本38.9(101.0%)、4位韓国27.5(230.0%)5位台湾27.5(230.0%増)と日本は3位に転落し、伸び率はほぼゼロです。

伸び率上位5カ国は、1位中国の846.0%、2位ベトナム540.5%、3位インドネシア414.2%、4位タイ290.9%、フィリピン277.2%となっています。もっと新しいデータがあれば、中国の伸び率はさらに上昇していると思われます。

この数字を見ると、日本がアジアの成長に乗り遅れた「成長停滞国」となっていることがわかると思います。その原因のひとつが、日本がアジア諸国を部品の供給基地としていることと、もう一つが企業の内部留保を増やし新規の投資を控え、さらに労働力を正社員から派遣等に切り替え人件費を相対的に抑えていることにあると考えられます。

このコロナ禍でも、大企業の内部留保は増え続けています。財務省が発表している法人企業統計から計算すると、2020年1月から3月までの内部留保の金額は487.6兆円と過去最高になり、この1年間で40兆円近く積み増しています。その理由は、2001年をピークにした人件費の削減と1997年から始まった法人税の減税によってもたらされたものです。

この内部留保は、新たな設備投資に使われ雇用を生む「健全な内部留保」と租税回避地などに金融投資をしたり、自社株買いをして雇用や市場の拡大につながらない「不健全な内部留保」がありますが、日本の大企業の内部留保は「不健全な内部留保」となっています。

現金・預金と売却可能な有価証券を併せたものを手元流動性と言います。財界は、「手元流動資金はすぐに使える性格ものではない」言っていますが、日経新聞によると日本の手元流動性が総資産に占める比率は12%で、世界平均企業の6%の倍にあたります。

この資金を臨時的にコロナ対策資金として課税をすることが必要ではないかと思います。この内部留保課税は台湾や韓国でも実施されています。「富の偏在」をコロナ禍で破綻寸前の企業の救済や職を失ったり、大幅に賃金が下がっている人たちに給付金としてお金の循環を作り出して行くことこそ、「成長をする国」への回帰につながり「税の正義」にもかなうのではないでしょうか。

今とる経済政策の最善の策は消費税を0%に凍結することです。~コロナ禍の中でドイツは付加価値税を7月から下げました~

「リーマンショック級の出来事がない限りは予定通り」この言葉を何度聞いたでしょうか。10%への引き上げを見送る常套句でした。

予定通り安倍内閣は、昨年10月に消費税の10%への引き上げという庶民大増税を強行しました。そのため、昨年10月から12月の四半期のGDPは年率で7.3%も減少する異常事態になりました。そのうえ今年からのコロナ危機で、日本経済は大不況に陥っています。

この不況から脱し、景気を回復させるうえで焦点となっているのが、消費税の減税です。

消費税率の引き下げを求める国会議員は自民党の112人、野党も併せると全国会議員の約30%になっています。消費税という税は、最も生活に密着してしかも、富裕層に有利で庶民に冷たい「逆進性の極めて強い」税制です。

ドイツでは、7月から標準税率を19%から16%に引き下げ、軽減税率を7%から5%に引き下げました。減税規模は200億ユーロ(約2.5兆円)で、新型コロナウイルスの感染拡大前の付加価値税収の1割弱に相当します。日本でもぜひ消費税減税を実現させましょう。

7年半におよぶアベノミクスは、大企業と富裕層をうるおしただけで、貧困と格差をさらに大きく広げました。しかも、このコロナ禍のもとでも大企業の内部留保は増え続け、488兆円にもふくれあがっています。いっぽうで社会保障は、介護、医療、年金などあらゆる分野で、給付の削減と負担増が実施され、庶民の負担はふえるばかりです。

いまこそ大企業と富裕層に応分の負担を求めて消費税の減税を実現すべきときです。当面は、ドイツ付加価値税減税のように現行の10%(軽減税率は8%)を5%にしていく、その結果経済が上昇基調になってくれば当面の間消費税をゼロに凍結すべきだと考えています。

財源はあります。消費課税に重きを置くのではなく、所得課税、資産課税にウエイトを置くのが本筋です。「不公正な税制をただす会」の試算では、大企業優遇税制をただすことで10.8兆円、法人税に所得税並みの累進税率の導入で10.5兆円、さらに所得税の累進制の強化で13.4兆円、所得税金融所得の課税強化で5.5兆円、相続税の累進制の強化で1.1兆円、合計41.3兆円の新しい財源試算を公表しています。令和元年度の消費税収21兆7190億円を廃止しても、20兆円のおつりがきます。

「消費税を一度下げたら再び上げるには数十年かかる」そんなばかげた理由で消費税引き下げ税論議を一蹴していることもあるようですが、どんな税目でもこれまで上げ下げは、頻繁にしています。繰り返しになりますが、ドイツ付加価値税減税を見習いましょう。

陸上イージス・アショアは撤回に、辺野古新基地計画も即刻止めるべきです!~日本の防衛計画を考えてみました~

新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止をめぐり、河野防衛大臣は6月25日午前、自民党の安全保障に関する会議に出席し、政府が6月24日開いた国家安全保障会議で山口県と秋田県への配備を断念したことを明らかにしました。

元々は、「北朝鮮の弾道ミサイルの脅威から国内を守る」とのうたい文句でしたが、実際は「北朝鮮からハワイやグアムの基地に飛ぶミサイルを、海上イージス・アショアで迎撃できなかった場合に、萩市と秋田市のそれぞれの陸上基地から迎撃するのが狙いでした。

この配備計画は安倍晋三首相がトランプ米大統領と兵器の「爆買い」の約束から始まりました。既に米国政府と1,800億円の契約が交わされ、そのうち125億円の血税をコロナ禍において支出しています。さらに損害賠償金等の費用がかさむと思われます。

それ以上に重要なことは、沖縄の玉城知事もTwitterで米軍普天間基地の辺野古基地への「移転」(新基地建設)も断念し、普天間基地を即時返還するように求めていますが、私は、即刻辺野古基地の埋め立てを中止すべきだと思います。

民意は、明確です。自民党が総力をあげて戦った6月7日投開票された沖縄県議選でも玉城知事の与党が過半数を維持しました。しかし、翌日の管官房長官は「かなり(移設への)理解が進んでいるのではないか」と語り、埋め立て工事をわずか5日後に再開しました。

安倍政権は18年12月から埋め立て工事を始めていますが、18年度末までに1,471億円をつぎ込んだにもかかわらず、その工事の進捗率はわずか1%です。また、マヨネーズ状の地盤改良費を含めると建設費用は2兆5,500億円(沖縄県試算)かかります。仮に完成したとしても、使える基地なのかどうかわかっていません。コロナ禍、不要不急の無謀な計画は即刻止めるべきではないでしょうか。

私には、ある思いがあります。それは、日本国憲法を愚直に守ることです。その中でも特に第9条こそその核心だと思います。爆笑問題の太田光氏も提言していたように「日本国憲法をノーベル賞」にすべきではないかとの意見に大賛成です。特にその2項は「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」としています。

しかし今の自衛隊は、外形的に見ると誰がどう見ても軍隊です。同じ税金を使うのならば、自衛隊を「国際災害救援隊」に組織改編し、国内・国外に関わらず、地震、台風などの自然災害や事故が発生したら真っ先に救援活動に行く組織にすれば良いのではないかと思います。私が幼少時にTVで観ていた「サンダーバード」のようなイメージです。

そんな組織がある国に、どこの国が攻め込んでくると言うのでしょうか。防衛費の予算5兆円よりは費用対効果があると思います。防衛には抑止力が必要だと言うことは一見正論だと思います。しかし、本当にそうでしょうか?

軍隊を捨てた国にコスタリカ共和国があります。この国は国家予算の大部分を教育関係に注ぐようになり、現在の識字率は97%までなりました。日本も少し見習うべきでは?

ドイツの最新情報~降伏75周年とコロナの対策としてのマスク着用~

ドイツでは、5月8日はナチス・ドイツが降伏してから75周年を迎えました。ベルリン市は今年に限り祝日としました。また人種や宗教などによる差別が絶えないなかでも「ファシズムからの解放の日」として恒久的な国民の祝日にしようとの声も上がっているようです。

この日シュタインマイヤー大統領は首都ベルリンで演説をし、多くの苦しみや犠牲を生んだナチス・ドイツの歴史を直視することが国際社会の信頼の獲得や民主主義や自由を守ることにつながると語りました。メルケル首相も献花をしました。

氏は「私たちがナチスの過去から解放されることはない。思い出すことを怠れば未来を失うと」と強調しました。そして「責任を受け入れるからこそ世界の人々から信頼され、私たち自身もドイツを信頼できる」とのべました。

ところで、二女が住んでいるノルトライン=ヴェストファーレン州(州都はデュッセルドルフ)では、新型コロナウイルス感染防止のための接触禁止、営業禁止等に関わる条例を改正し、マスク着用義務等に関する条文を追加・公表(おそらく全ての州が同じようにしていると思います)しました。二女によると欧州人は元来マスクが大嫌いだそうです(それがイタリアなどの感染増につながったという報道もありました)が、それに踏み込みました。

その主な内容は「公共交通機関や小売店を利用、訪問する際、ならびに営業を許可されているサービス(医療機関訪問を含む*)を受ける際、小学生以上の全ての市民にマスク(自制のものやスカーフも可)の着用が義務づけられる。なお、健康上等の理由にマスクを着用できない場合には適用されない」というものです。

*具体的には、小売業、市場、レストラン(テイクアウト時)、ショッピングセンター、展示販売店、医療機関利用時、または、その他1.5メートルの距離が確保できないサービスの受領時。

わが国の極めて曖昧なものと違って、政府(具体的には州)が明確にマスクについての基準を設けていることはさすがだと思いました。

「9月入学」問題について思うこと

コロナウイルスの影響で急浮上してきたのが、9月入学の是非です。多くの学校が自主規制によって遅いところでは、6月末まで学校が再開されません。一方すでに再開している学校も少なくありません。また、オンライン授業を試みているところもあるようですが、それもその環境のない家庭では受けられないという「教育格差」も横たわっています。

今の小学校入学を9月にすれば、世界の主流である秋入学となります。秋入学の例外としている主な国は、シンガポール1月、オーストラリア•ニュージーランド1月末~2月初め、韓国3月、タイ5月、フィリピン6月、ドイツ8月などです。

9月入学にすれば留学生や研究者の交流が増え、企業の外国人採用などの国際化が進む大きなメリットがあります。

一方、入学を後ろ倒しにすると今の小学生1年生の入学が6歳児なので日本だけがすごく遅れた入学になります。前倒して義務教育の始まりを5歳にすると国際標準よりも速くなり世界の中で優位性も発揮できるのではないかという識者もいます。

ただ、秋入学にすると様々な問題が出てきます。ことを一気に進めれば、その学年だけ生徒数が4割ほど増えてしまうなどにより、教室や教師をどう確保するかが大きな問題になります。その他社会構造全般を揺るがすような様々な課題と直面しなければなりません。

また卑近な問題では今般、中止になった夏の風物詩でもある「高校野球の夏の大会」をどうするか「秋のインターハイ」など学校行事も大きく変えなければなりません。

大学の入試制度改革、中高一貫教育、飛び級制度の採用の是非、教師の超過密労働の解消などなど、学校教育に関わる問題を大きく国民的に論議にしていくことのプロセスが大事で、政治家や行政だけに頼っていたらいけないと思います。

現在、憲法の改正論議がしきりに言われていますが、憲法論議をするなら、この問題を国民的論議とするのは有益でしょう。基本的には私は秋入学に賛成ですがコロナ禍の今、やるべきことではないと思います。それはあまりにも短絡的すぎるからです。じっくりやることが肝要です。

民主主義は護られた!~検察庁法案 今国会で成立断念に~

安倍首相が、4月1日に意気揚々と掲げた「アベノマスク」の配賦率は、ゴミが入っていたなどの返品騒ぎがあってその配賦率は未だ10%にもなっていません。466億円の巨額な予算を使いゴールデンウィーク前には一家に2枚配布すると豪語していたのでは?

確かに「アベノマスク」の配布の遅れはコロナ対策の象徴である「スピード感」のなさの表れです。すでに市場ではマスクは十分供給されていますし、値段も下がってきています。結局大いなる「無駄遣い」になったと言われても仕方がありません。

国民には、財政的な裏付けもないまま自粛要請をしながら、一方で「不要不急」の法案である「検察庁法案」が上程されました。この法案は、表向きは公務員の定年延長ですが、その本質は「検事総長など検察官の定年」を「3年間延長」できるもので「内閣または法務大臣が延長の理由があると認めた場合」との条件がついています。つまり、「定年の延長」は、ときの内閣の胸三寸ということになり、中立性が損なわれ流行語にもなった「忖度」がまたしても検察官にも及ぶことになる極めて問題のあるものです。

15日には、元検事総長の松尾邦弘氏ら検察OBが法案に反対する意見書を森雅子法務大臣に提出するという異例な事態になりました。意見書は「再生案の発端になった黒川弘務東京高検検事長の定年延長を、検察庁法に基づかず、法的根拠ない」と指摘したものでした。

首相は同日に右派の論客として著名な櫻井よしこ氏が主宰するネット番組に生出演し、同氏との関係を聞かれ「私自身、黒川さんと2人でお目にかかったこともないし、個人的なお話をしたこともまったくない」と全面否定しましたが、新聞各紙の「首相動静」では2018年12月11日午後に面会した記録がありました。このためツイッター・ユーザーからの指摘が相次ぎました。

また、この法案に対し全国に52ある弁護士会の約9割にあたる46弁護士会の会長が15日までに反対声明が出され、法曹三者である弁護士会の猛反対にもさらされました。

さらに新聞各社が16日付で一斉にこの法案を批判する社説を掲載しました。政府よりだと言われている「日経新聞」も「拙速な検察庁法の改正は禍根を残す」というものを掲載しました。ローカル紙でも批判する社説を掲載し、この問題を大きく取り上げました。最近、新聞各社は、購読料にかかる消費税が8%に据え置かれたので政府に批判的な社説が少なくなった傾向がある中では異例なことです。

反対の声はSNSを通じても広がりました。ツイッター上では「#検察庁法改正案に抗議します」という投稿が3日間で500万件近くありました。特徴的だったのが小泉今日子さんなど俳優さんたちなどの著名人がたくさんいたことです。

安保法案、共謀罪、モリカケ、そして桜問題など民主主義の軽視が横行しましたが、この法案が継続審議になったことで、この国の民主主義はかろうじて護られたような気がします。今後、廃案になるまで世論をさらに高めていくことが重要だろうと思います。

再犯の多発国ニッポン!~刑務所の見学をして感じたこと~

過日、地元の刑務所を見学する機会を得ました。受刑者は、刑期を終え更正と円滑な社会復帰をめざして「矯正処遇」を受けています。「矯正処遇」にはいろいろなプログラムがあります。

そのプログラムは、受刑者の勤労意欲を高めるための「作業」、受刑者に対して犯罪の責任を自覚させ、健全な心身を培わせるようなものになっています。また、社会生活に適合させるための知識や生活態度を取得させるために必要な「改善指導」、社会生活の基礎となる学力が身についていないため、改善や円滑な社会復帰支障がある者に対する「教科指導」、囲碁や将棋等のクラブ活動、高等学校等の通信教育課程や資格取得のための通信教育、ラジオ・テレビの視聴の「余暇活動の援助」溶接・フォークリフト運転・ワープロなどの情報通信技術・介護福祉・CAD技術などの「職業訓練」が行われています。

「現在日本の犯罪は減少傾向にありますがそれとは逆行して右肩上がりに上がっているのが『再犯率』です。再犯率は現在では48%超え過去最高水準になり先進国でもトップクラスです。この事態を重く見た政府も平成28年12月に再犯防止推進法を施行しました。

再犯の原因のひとつに出所後の仕事の有無があります。有職者の再犯率7.6%に対して、無職者は28.1%と、約4倍です。

再犯の問題をなくすには、さまざまな問題があり、そのひとつに服役経験者が再挑戦しにくい社会環境というものが挙げられます。住むところが無い人や、教育や家庭養育を十分に受けていない人も多く、仕事に就くことは非常に難しいのが現状です。その結果、また犯罪に走ってしまうという悪循環に陥っています。」

※良心塾のホームページより引用

犯罪をした者等の自立や社会復帰に協力することを目的として、その者の雇用をする事業主になる「協力者雇用主制度」やハローワークを通じて就労の支援をするコレワーク(矯正就労支援センター)が近年では行われています。

さらに令和元年12月末全国の刑務所等で約4万人弱の受刑者が木工・印刷・洋裁などの作業の大半が民間企業からの発注でそれに協力している企業は約2千社あります。

しかしながら、それらのシステムを知らない事業主もたくさんいます。

塀のないことで知られるノルウェーの再犯率は世界最低の20%、日本の半分以下です。この国のやり方は「厳罰より治療」「管理より自由」「作業より教育」を実践しているとのことです。

この見学を通じて社会貢献の一つとして再犯率を下げていく社会的な活動が必要であり、国民性の違いがあっても、政府だけでなく、企業や国民1人1人が一度犯した罪を償った人の社会復帰しやすい環境作りを意識することが大切だと感じました。

衰退する国 ニッポン!!1人あたりの名目成長率は26位に急降下

GDPとはGross Domestic Productの略語で、日本語では国内総生産と呼ばれるものです。これは、一定期間に国内に産み出された付加価値の合計を示めします。

例えば、和菓子屋さんは小豆などを仕入れそれをもとにお饅頭などを製造していますが、この最終的にできあがった生産物 (お饅頭など値段) をすべて金額で合計して、原材料費・光熱燃費・間接費等を控除したものがGDPです。なお、GDPの伸び率が「経済成長率」を示し、GDPが拡大すれば経済成長率はプラスとなり、一方GDPが縮小すれば経済成長率はマイナスとなります。

GDPには「名目GDP」と「実質GDP」の2つがあります。名目GDPとは、GDPをその時の市場価格で評価したもの、つまり単純にお饅頭などの価格などをすべて合計したもので、物価の変動を反映した数値を名目GDPと言います。(大和ネクストバンクHPを参照)

名目GDPを人口で割った1人あたりGDPのランキングは、わが国は1988年の高度経済成長期には世界で2位でしたが、現在は26位まで衰退し、先進国では下位に沈んでいます。

因みにアメリカは9位、ヨーロッパのドイツは18位、フランス19位、イギリス22位、イタリア27位、中国70位となっています。

名目GDPを人口で割った数値なので小国が相対的に高くなるのはやむを得ませんが、いかに日本が「成長していない国」となっているのがわかると思います。上位3位までの特徴を見てみましょう。

第1位ルクセンブルク

ルクセンブルクはドイツ、フランス、ベルギーに囲まれている小さな国です。国の面積は日本の神奈川県ほどで人口は同県の10分の1以下です。ルクセンブルクに住むおよそ半分が外国人。ほとんどが近隣のヨーロッパ圏の住民で、移民を受け入れる開かれた国でもあります。

その理由として産業構造が挙げられます。元々、貧しい農業国だったルクセンブルクは戦後に多くの国外企業を誘致します。主に、重工業を中心に誘致し経済大国としての土台を作り上げました。

その後、特に力を入れていたのが金融業です。ルクセンブルクでは、労働人口の5分の1が金融関連の職業についており、産業構造の中でも比重が大きいです。

ルクセンブルクの産業構造が金融業にシフトした背景には、元々力を入れていた鋼鉄業の不振があります。石油ショック後に鋼鉄業の生産性が下がり、変革を求められた際に外国の金融機関を誘致する方向に決まりました。

第2位スイス

国の面積は41,290㎞で中国・四国地方の面積50,725㎞より少し狭いですが、人口は787万人と中国地方の人口756万人とほぼ同じです。

その首都、チューリッヒは、世界の中でも物価の高い都市として知られています。駅でミネラルウォーターを買えば4フラン、トイレの使用料に2フラン、つまり水を飲んで用を足すだけで6フラン(約600円)もかかる計算になります。一説には、高技能職の移民以外は受け入れないために、あえて物価を高くしているとのことのようです。

一方、スイスの最低賃金は、毎月3,500フラン(約35万円)にも上ります。これほどの高賃金だから物価が高くても生活できるわけです。一般的な経済原則に反して、高賃金にも関わらず失業率も低いのです。

その秘密は徹底した高付加価値化にあります。スイスは小国だけに、歴史的にやるべき産業と手を出すべきではない産業を峻別してきました。その結果が、世界に冠たる精密機器産業(オメガなど)医薬品産業(ノバルティスファーマなど)、金融業(UBS、クレディスイス)の成功です。他にも、世界中で知られるコーヒーを中心とした総合食料品メーカーのネスレ(従業員35万人)もあり、観光資源にも恵まれています。

第3位マカオ

面積は28.6㎞で広島市中区の15.4㎞の約1.8倍に、人口64万人で岡山市の人口72万人よりやや少ない人が住んで知る超過地域で中国の特別行政区になっています。マカオ単体で見たら、一人あたりGDPで、日本の約3倍もあります。産業としてはカジノが主体です。所得税ほぼ0、病院などの医療費も0、高校まで教育費0、毎年政府からお年玉もらえるこの高待遇になっている。ただし、治安は悪いそうです。

島国ニッポンだから外国のことは良くわからないし、大学の授業も含めて長い期間英語を勉強していますが、おそらく私も含めてニュースを理解している人は少数派です。

一方、二女が住んでいるドイツではTVニュースも英語で放映している番組も多いですし、音楽番組はほとんど英語です。

英語教育の変革が教育界でもされようとしていますが、わが国ニッポンのおかれている状況を認識しましょう。

 

社会保険の負担金も応能負担で~頭打ち制度の廃止を提案します~

「75歳以上の後期高齢者が支払う公的医療保険の水準が4月から全ての保険料が上がる。1人あたりの平均保険料は東京で初めて年10万円を超え、島根や青森では2割超上昇する。」との新聞記事が出ていました。

団塊の世代が全て後期高齢者になるので「2025年問題」という言葉もあるくらい医療保険の給付と負担をどうバランスさせるかが問題になっています。

その新聞記事によると「年43兆円の国民医療費のうち、後期高齢者の医療費は16兆円を占める。1人あたりの医療費の額は年92万円と45歳から64歳の3倍にのぼる。窓口負担を除く医療費の1割を後期高齢者の保険料、約5割を国や都道府県などの公費、約4割を現役世代からの「仕送り」でまかなう仕組みだ。」と報じていました。

さらに記事は「実際に医療機関にかかった際に支払う後期高齢者の場合は原則1割だ。現役並みの所得があると判定されれば3割になる。今後は一定所得なら2割負担を求める所得の区分も設けて、後期高齢者の自己負担を見直す。」と今後の方向性を示していました。

この記事を見て感じたのは、いかにも高齢者の医療の給付と負担のバランスが崩れ、高齢者がもっと負担をするような印象を与えるように思えます。

考えないといけないのは、第一に将来の「社会保障費の増加」理由に消費税を1989年4月から導入したのではないかと言うことです。ところが導入された消費税は、法人税や富裕層の減税に使われてきました。税の理屈で言えば法人税に累進制度を導入することが求められます。また、所得税の最高税率も引き上げるとともに、分離課税をしている株式等の総合課税化をして、国の責任で社会保障の負担の割合を大きく引き上げることが大事です。

第二に、高齢者に富が偏在している傾向があります。多くの預・貯金を高齢者が所有しています。したがって、所得(フロー)から保険料を決めるのではなく、資産(ストック)を加味して決めることが重要だと思います。しかもそのウエイトを、相対的に所得より資産に置く方が良いのではないでしょうか。資産家から多くの負担をしてもらう必要性を感じます。その場合、株式等の運用で利益を出しながら特定口座で所得申告をしていない人の負担もしてもらうべきです。また、相続税の基礎控除が下がり大衆課税化しているので、富裕層にもっと負担をしてもらうように相続税の最高税率を上げることが必要だと考えます。

第三に、4割を現役世代から「仕送り」している層の負担のあり方を見直すべきです。現在、健康保険は月額139万円で頭打ちをしています。税率は低くなっているとはいえ累進課税を所得税は青天井で適用しています。私はここにメス入れるべきではないかと思います。上場企業で年収が1億円以上の役員は570人、国税庁のデータによれば1億円の年収がある人は約2,400人、トヨタの社長で約3.5億円、上場企業の役員報酬の平均年収は約3,000万円といわれています。また、平均年収の1位はM&Aキャピタルパートナーズは、平均年齢は31.3歳と若いものの2,478万円です。5位の三菱商事は1,607万円です。このような人たちからも健康保険料を徴収したらかなりの保険料が入るのではないかと思います。